1368「幼馴染」(626日(金)曇りのち雨)

 

a君から「東京に出て行くから合わないか。」とのメールが入った。b君も誘って3人で3時に荻窪駅であった。a君は、夜はc君、d君、e君と会食だそうだ。3人も我我高校の同期生。学生時代の仲間・・・・何かのきっかけでその付き合いが復活すると妙に懐かしい。

3時、少少中途半端な時間。まずは千疋屋でコーヒーとスイーツ。それからルミネの上のうどん屋に行き酒を注文。焼酎はいろいろあるがどう違うのかわからん。私は自分の味の区別のつかぬものはやすい方で我慢することにしている。直芋と米の区別はつき焼酎は芋と決めている。a君の注文した「天孫降臨」と言いう酒はいかにも宮崎らしい。私は「てけてけ」という名の同じ宮崎産の芋。どういう意味なのだろう。

やはり共通の友人、我我の場合でいえば同期の仲間の消息の話。次々倒れて行く切なさみたいなものはその年になってみないと分からぬのかもしれぬ。インドネシアで長いこと活躍していたf君は食道がんで倒れた。放射線治療で治ったという事で今度は喉頭がんにかかってしまったとか・・・・。

放射線治療はよそに癌を飛ばしてしまうだけなのだろうか。gさんはおなじ食道がんで摘出手術を受けたが相当やばいらしい。「俺も食道がんかもしれないと友人が言っていた。声がおかしい。しかしその後の一言が気に入らぬ。「間違えた。君のは、単に音程が狂っているだけだ、と言われた。」しかしそんな冗談も何か寂しい。

我我はよい時代に生きたものだ。私がアウシュビッツに言った話をしたところ、二人は広島、長崎の原爆資料館に言った話をした。前者はaが、後者はbがもう行きたくないという。「長崎は気の毒であった。福岡に落とそうと思ったが視界が悪くて落とせなかった。それで面倒くさいとちょうど見つかった長崎の教会に落としたという事だ。」運命の岐路・・・長崎にいたものはたまったものではあるまい。私の年上の従妹は広島で吹っ飛んだ。通学途中で影も形もなくなってしまったそうだ。

それに比べて右肩上がりの幸福な時代。物心ついた時は最低の時代、しかし意識しなかった。マヨネーズをこんなにうまい物がこの世にあるかと感激し、ハーシーのチョコレートは銀紙まで食ってしまった。砂糖壺を友人が来たので開けてなめてしまった。買い物から帰ってきたおふくろに、思いきり尻をひっぱたかれたのは言うまでもない。

そして激しい時代の変化。考えられなかったことが夢であったことが現実になってゆく。ドラえもんはその象徴か。カメラひとつとっても今では自動焦点だの夜間でも昼間のように映るだのすごい変化。先日メトロノームを孫に送ったがあんなものだってとんでもない変化。マッチ箱みたいなものから見事なリズムが流れる。

これから10年先、20年先はどうなるのだろう。ロボットでも全盛になって、老人の介護のみならず、セックスの相手までしてくれるようになるのか。おおきな時という川の流れの中のほんの一点として生きて行く私たち・・・・。それなりにそこに生きていることを楽しむ。

a君は明日は囲碁の合宿だそうだ。「今日は実はそれがメインの目的なのだ。」という。囲碁も西高校同期のメンバー。要するに高校同期に3連発で会いに関西からやってきた?「空間における石の配置が歪んで見える」とa君は言うが下手くその私には分からぬ。

彼とは高等学校の卓球部でいちど一緒だったことがある。彼はあまり意識しなかったが、私は意識していた。自宅の卓球台で練習した私であったが、皆強くてかなわなかった。ひときわ負けず嫌いの私。彼とほかの数人だけが「ひょっとしたら勝てるのではないか。」というレベル。目標にラリーをつづけた。

a君は今では詩吟が趣味、私よりだいぶ先輩で「君もうまくなった。」と余裕を見せる。彼は中国の寒山寺に行き「風橋夜泊」を、金沢に行き室尾犀星の居所かなんかに行き彼の詩を吟じてきたという。もう4行詩、律詩、和歌、新体詩、なんでもござれだ。もっとも彼にコンクールはどうかと聞いてみたが出る気はないらしい。私と同じで趣味として考えているようだ。

女の話に株の話、尽きることはない。一皮むけば3匹の雄に過ぎない・・・・・。色と金は軽蔑する者もいるが、これがなくなれば生きる活力がなくなったようなもの。「今日の株価はどうだ?」「NISAを活用して儲けた。」「私の株の特色は高い時に買い、安い時に売る、仏様みたいな投資だ。」・・・・・いろんな話が飛び出す。

ひどく楽しい時間であった。心をこんなに広げられるなんて・・・・・。5時半ころにようやく別れた。私は今日はガールフレンドのAさんとの夕食のために小さなホタテガイを買っておいた。酒蒸しにする。Aさんも中学校の1年下。高等学校は彼女は女子高だが近くに住み子供の時からの知り合い。

a君、b君、そしてAさん、彼等のような知己がいることは本当に楽しい。

 

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