1379「つくば市の住民投票に思う」(84日(火)晴れ)

 

つくば市が総事業費305億円をかけて総合体育館や陸上競技場を作る計画を立てていたが、反対が出て、その是非を問う住民投票が行われた。結果、反対が有効投票の8割を上回ってしまった。市庁の仕方なく計画を白紙撤回することにした。

「市長や市議会が決めればよかったことではないか。住民の意思を反映するために議員も視聴も選ばれたのではないのか。住民投票をして再度意思を聞くような馬鹿なことをするからこういう結果になったのだ。」と私は反射的に思った。

民主主義は、一般的には間接民主制、つまり選挙で首長や議員を選び、民意を反映させて政治を代行させる。代議制というものである。この制度は17世紀末から欧米で政党制やどのくらいの人々に選挙権を与えるかなど少しづつ形を変えながら発展してきた。

ところが選出に際して、我々が議員を選ぶ際、その議員の考える政策全てを信頼しているわけではない。すると彼等が自分たちの思いとは相いれない行動をとる場合がある。然し仕方のないことではないのか。すべての行為について住民投票をすればあのギリシャの衆愚政治に陥ってしまう。確かにこの選挙による方式はオールマイテイに見えるけれどもヒトラーやムッソリーニを生み出してしまった。しかしそれでも人類はこれ以上の方法をまだ見つけていないように思う。

選ばれた首長や議員たちが時として選んだものの意思と異なることをする、あるいは一部の人に気に入らないことをする・・・その救済措置として日本では地方レベルにおいて住民投票が一部で行われるようになった。

ただ住民投票は条例で各地が定めるだけであり、国の法律では定められていない。そのため地方自治法に反しない程度というのを基準にする。ただしせっかく住民投票が行われたものの、例えば新潟県巻町の原発を巡っての住民投票では民意が無視されるようなケースもある。住民投票は議員や首長を絶対的に拘束するものではない。然し大きな影響力をもつことは事実。具体的な政策の選択肢が絞りこまれた上で住民投票が行われるから、住民投票がその政策に対して実質的に「拒否権」を持つ可能性があるとも言える。

そしてこの住民投票、最近は問題もいくつか指摘されている。

一般的には問題が持ち上がったら、それに対して住民投票を行うという条例を作るが、一過性のものとせず常設型の住民投票を条例で制定しようと動きが出ることがある。もはや代議制の今の民主主義そのものを否定するものではないのか。

選挙資格を永住外国人に認めたり、年齢についてもあらかじめ投票資格を15歳以上とする条例ができたりかなり自由に決められているそうだ。こうなると憲法に抵触する場合もあり得る。ある市の運動では背景に選挙資格のない外国人が主導で行っているらしい等の指摘もあった。

またごく少数の者の意見であっても、積極的な署名活動が展開されることで、無関心な住民を取り込んで一定の連署を集めることが可能の場合もあるようだ。署名により住民投票が決定した場合、投票を呼びかける投票運動が認められる。しかしその場合、住民投票を請求した側の意見でしか、投票運動が行われないとの指摘がある

住民投票はあるサイトによると3つのタイプがある。

ひとつは、憲法95条の規定に基づく住民投票である。憲法は、特定の地方自治体のみが影響を受ける法律であれば、当該自治体の住民の過半数が賛成しないと法律として認められないとしており、それを確認するために住民投票が行われる。しかし、このような住民投票が最後に行われたのは1952年であり、もう60年以上この形式の住民投票は行われていない。

次に挙げられるのが、市町村合併について住民の意思を問う住民投票である。いわゆる平成の大合併において、合併の賛否を問う住民投票は319件行われ、そのうち賛成多数となったのは171件である。最終的には長や議会の判断ということで、合併を主な争点とした長の選挙などの結果を踏まえて合併の決定が行われることも少なくなかった。

もうひとつの類型は、NIMBYNot in my backyard)問題に端を発した住民投票である。いわば自治体の「政策」について住民の意思を問うもの。このような住民投票は、1990年代後半以降、原子力発電所や米軍基地、産業廃棄物処理施設のようないわゆる迷惑施設の建設などをめぐって行われたが、2000年代後半からハコモノ建設や道路建設などの賛否も問われ始めた。

特にこの型のものは地域エゴに陥りやすい。つくば市の例もこれに近いように見える。スポーツ施設など作らずにその分税金を減らせ、くらいの議論は個人ベースでは不思議ではない。そこを嫌われても「一歩先」を考えて実行する、それが行政の首長たるものの役目だ。

 

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