1393「詩吟の研修会」(9月29日(火)晴れ)
人間は日々変わってゆくものと思う。いや、替わってゆかなければいけないのだと思う。昨日の経験の上にほんのわずかに進歩した私がある、そのように心がけたい。まして研修や旅行は個人にとって大きな経験、それをした後の自分は、ある部分では昔の自分を脱皮しているようにしたいものだ。
今回の詩吟グループ研修旅行も少しは私自身を変えてくれたか。
27日から29日にかけて、霞穂流主催の詩吟グループ研修旅行に参加した。千葉県鴨川ヒルズリゾートホテルに泊まり、詩吟の研修や遊びに励んだ。
指導役は最近レコードもだし、大活躍のa氏。その講義は詩吟の基本と俳句であった。
詩吟の重要な要素は吟声、音程、調和、詩情であるとする。
吟声は母音に返すこと、地声で歌う事(8のみ裏声で良い)腹式呼吸(下腹に力を入れ体重を乗せる)を具体的には言う。そのほかにわたりやビブラートを避けることなどが指摘された。
絶句や律詩はミファラシド(レソ抜き)を音楽のドレミにあたる音階として使う陰旋法である。しかし俳句はミソラシレ(ファド抜き)を使う陽旋法である。
前者は暗い感じががし、後者は明るい感じがするのは音程(二つの音の隔たり)が前者では半音が多く、後者ではみな1音以上になるからであろうか。
俳句の本質はおかしみであるから、この歌い方が向いているのであろうか。さらに俳句は「上の句は主音を高く、下の句は2度づつ繰り返し、2回目を長め、強調的に歌う」という事であった。
個人吟詠は、私は松口月城の「結婚を賀す」を吟じた。
この詩は1年少し前ロンドンで友人b氏の結婚式に呼ばれたときに吟じたもの。我流で吟じて来たけれども、もう少しうまくなって将来孫たちの結婚式があれば披露したい、位に考えている。自分としてはそれなりに歌えたかな、と感じた。
c氏はまだ初めて3年くらいである。彼がd先生の剣舞「日本刀」の板吟を行った。合わせる時にだいぶ強く言われたらしいが随分上手に吟じていた。
みなうまかったけれども中に絶句してしまう者がいた。何度も練習し、完全に覚えているはずである。然し本番に近づくにつれて体内のアドレナリン分泌が上がるのだろうか、あれこれ心配になってくる。そして本番、次の文句が出てこず、頭の中が真っ白になってしまう。あれを防ぐにはどのようにすべきか。
余興でカラオケ。「風雪流れ旅」「アカシアの雨に打たれて」「浜辺の歌」「北国の春」など少しは歌えると思った歌を歌った。下手は変わりないと思うが昔に比べると大きな声で堂々歌えるようにはなった、と感じている。これ詩吟の練習のお蔭であろうか。
仁右衛門島という島に初めて行った。3年くらい前であろうか、ガールフレンドのAさんときたときには台風の影響であったか、海がひどく荒れていて島に渡ることができなかった。島はこちらから目と鼻の先にあり、路漕ぎの船で渡る。小さな島で社が二つあるくらい、しかし岩場にぶつかって荒れ狂う荒波が素晴らしい海の風景を作り出していた。
私は足腰のために1日10000歩、歩くこと考えている。ホテルにいては達成のしようが無いから何度も下に降りて浜を散歩した。二日目の午後であったろうか、e氏と散歩し近くの日蓮宗の寺まで足を延ばした。帰り道海岸を歩いていると学校の練習であろうか子供たちがどたどたと駆け抜けていった。「こんにちは」「こんにちは」・・・・明るい声であった。e氏がこういう元気の良い声をなかなか聞けなくなった、としみじみ言っていた。心が明るくなった。
新宿に戻って、ベテランだけによる反省会。
「俳句の講義は大変楽しかった。今後は和歌や新体詩、あるいは律詩、歌謡吟詠などもさわりだけでもいいから教えてほしい。」と発言すると、喧々諤々の議論になった。
ある者は「七言絶句が基本だ。それができないうちにつまみ食いをするべきではない。」と主張する。
しかし私は、誰もが詩吟のプロになろうと考えているわけではない。詩吟を楽しみ、人生を豊かにしたいと思っている人間が多いのではないか。そういう層の好奇心を無にしてはいけない、と考えている。ピアノを小学生に教えるやり方と中高年に教えるやり方は違う。前者はバイエルから基本を練習させる。しかし後者は好きなものをまず弾かせる、というようなことを聞いたことがある。
私も趣味として詩吟を楽しみたい部類。好奇心だけはまだあるようで次の会では若山牧水の和歌に挑戦したいと考えている。
最後に失敗をしてしまった話。朝のラジオ体操、10年も指導員をやった経験がある私が中心になったが、第二の途中で手足をどう動かしてしまったか分からなくなってしまった。冒頭に述べたように人間は新しい記憶を作りだし、進歩してゆくものであるけれども、歳を取ると同時に退歩、つまり忘れて行くのかもしれない。・・・・悲しい。
註 ご意見をお待ちしています。
e-mail address agatha@ivory.plala.or.jp
ホームページ http://www4.plala.or.jp/agatha/