1403「南沙諸島問題に思う」(116日(金)晴れ)

 

友人が「南沙諸島の問題の私見」というメールを書いてきた。要約すると

「中国は2000年以上アジアの盟主であったが、其の弱体化につけ込みアメリカが進出、対ソ、対中国の防波堤にしたてた。しかしこれらの島は上海や広東を守る防波堤であり、中国に必要、アメリカが口出しする問題ではない。

アメリカはやがてアジアから撤退し、中国がアジアの盟主になるであろう。日本はアメリカと同一歩調をとっていると、二階に上がってはしごを外されるようなことになりかねない。中国ともっと経済交流や人的交流を深め、其のけん制にはロシアを利用すべきではないか。」

ご意見はありがたいが、私は全く反対である。

南沙諸島が中国の昔からの領土であるような書き方は完全に間違っている。かってその存在を知っていたとしてもほとんど無視していた、自由にやらせていたに過ぎない。しかしそれがその近辺に海底資源の存在が明らかになったり、あるいは国力が安定して外洋に出ようとしたときに邪魔になる、それなら自分たちの領土と主張してしまえ、と考えたに過ぎない。はっきりしないとはいえ周辺のヴェトナム、フィリピン、マレーシア等が従来の慣行を考慮し自国の領土と主張するのは当然であろう、と考える。

これらの国との問題が解決する以前に、国際法上島にも当たらぬ岩礁を埋め立て、滑走路を造る・・・・それが武力で劣る周辺国にどれだけ脅威を与えるかは想像に難くない。

しかし今回アメリカがミスチーフ島などを自由に航行し、パトロールしてにらみを利かせたのは南沙諸島の島々が周辺国のものであるという意見を主張する為ではない。航行の自由を確保するためのものである。領海内の航行の自由について私が聞いた範囲では、国際法では軍事用の船も一般の船も航行の自由が認められる。しかし中国国内法では軍事用の船の航行は許されない。それを「許されるべきでしょう。」と主張しているに過ぎない。

日本は国際法優先と考える。それ故にアメリカを支持するというのは当然である。中国の自前のルールは軍艦を正式には持たぬ日本には一時的には関係は薄い。しかしその延長で中東からの石油の移送等に影響が出るなら看過できない。

中國ともっと交流すべきである、という意見はもっともである。しかし現在の中国は国内問題から国民の目をそらそうという目的であろうか、軍事力をちらつかせたり、軍事目的に沿ったようにとられる行動をとりがちである。現にミスチーフ岩礁はアメリカがフィリピンから撤退した途端簒奪してしまったものであるし、尖閣諸島のような取るに足らぬ島の領有権についても強硬である。そのような国と日本が簡単に仲よくできるわけはない、と私は考えている。

国際連合がある、世界は一つという者がいる・・・・確かに全体を見る考えは重要だ。しかし現状では各国は世界の平和と繁栄より自国のそれを考える。なぜならその国のトップは国民に選ばれているからだ。国民の希望に沿わねば引きずりおろされる。国民の希望に沿ってうまく行っていれば大抵の事は歓迎される。戦前の日本が然り、今の中国や韓国もそうではないか。世界はどうでもいい、とにかく自国、とにかく自分の政権基盤。

そうではあるがそんな中で、少しは世界はこうあるべきだ、正義はこうあるべきだ、と考えるのはアメリカ位ではあるまいか。今アメリカだけが「世界の警察」の役割を担っているように見える。アメリカがおりたら世界には混とんが、待っているのではないか。

アメリカが信奉するやり方は民主主義である。世界もまた民主主義で支配されるべきだ、と考えている。その民主主義とは、基本的に個人や国家のそれぞれの権利が認められる社会である。チャーチルであったか「民主主義には問題点が多いがそれに勝るやり方が無い。」と言ったとか。何処の国にも誰にも隷属せず、自由にものの言える社会、しかしそれを実現するためには、他者のそれも認めねばならぬ、そして軍事力や暴力を背景に他国や他人の権利を侵害しない・・・・それが民主主義だ。そしてこのやり方は、は現在の日本に一番合っていると考えている。遠い将来、中国がアジアの盟主になるとしてもそれで他国が脅かされてはならぬ。ヴェトナム半島の国々はまだいいとしてインドネシアやインドは強力に反対するだろう。

いつか自衛隊幹部が中国軍との会談で「アメリカに我が国を守ってもらうためにこんなに負担している」といったところ、中国軍幹部が「その半分の金で中国は日本を守ってあげますよ。」と言ったという。日本人の多くは想定外と考えるに違いない。しかし想定外と感じる理由を考えてみればいい。同じようなことがロシアについても言える。余談に近いが、よくアメリカは沖縄を日本に返還したと思う。「戦敗国の日本が口を出す権利はない。」と着々北方4島を自国領土化するどこかとはだいぶ違わないか。

 

註 ご意見をお待ちしています。

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