1405「私の中国語の先生」(10月15日(木)晴れ)
私は現在読売文化センターで若い中国人女性に中国語を習っている。彼女には皆とのレッスンが終ったあと、特別に個人レッスンをお願いしている。個人レッスンはこちらがあらかじめ資料を提出しておき、それに沿って授業をしてもらう。それ故資料つくりはかなり大変である。個人レッスンは1対1。中国語のレッスンにとどまらず、政治や文化の話、世間話も飛び出し、なかなか充実している。私にとってはこれを通して現代中国の事情、彼等の考え方等解り、大変勉強になっている。いくらかの謝礼を支払っているが全然高いとは感じない。
ウイキペデイアによれば、中国の文化大革命は1966年から76年まで、終結宣言は77年だという。彼女は「小学校低学年の時に文化大革命が終わり影響はほとんど受けなかった」何であったが忘れたが是と彼女の干支を重ね合わせると彼女は、ピチピチしており、元気で若く見えるけれど、実際の年齢は推定できる。
彼女の切れ切れの話から彼女の経歴を点轍してみたい。中には間違いがあるかもしれぬがご容赦を・・・。彼女は医者の家系らしい。幸い一人っ子政策以前で3人姉妹、その末っ子だが、長女は今でも医者をしているとか。
彼女のおじいさんは、上海出身の中国人であったが日本に長く住み、中華料理店をやっていた。男の子が3人いた。彼女の父親は長男で、上海に住んだが、けんか別れした叔父二人は東京に住んでいる。彼は物理の教師をしていたが、文化大革命で追放され、新疆ウイグル自治区に住むことになった。教師や医者など文化人も農村で働け、という無茶な時代であった。砂漠のようなところで、交通手段がほとんどなく、漢民族もウイグル族もそれぞれにまとまって暮らしており、交流はなかった。
なんとかしようと、父親は、弟たちの事であろうか「親族会見」名目で何度も日本に渡った。一旗あげようと父親の残した中華料理店を継いだがうまくゆかなかった。そのうちに文化大革命が終り、出身地の上海近く、昆山に移った。上海から蘇州に行く途中にある町。彼女はここで幼少時代を過ごしたのだろう。しかし自分の土地には老人たちが住みつき、家賃等も取れぬ情況。結局上海にマンションを買い引っ越した。その際子達にも買ってくれた。彼女は「お父さんを尊敬している。何でもできる人だ。」としていた。親を大切にし、社会規範を重視する様子は少し古い日本人のように感じ、良いと思う。
彼女は、大学を出た後英語を教えていたことがある。20年くらい前にIT会社に勤めている中国人と日本で結婚した。この時に彼女は日本語学校に1年半通い1級を取得したそうだ。彼女は日本人から見れば完全とまではゆかぬが、それでも日常生活に不自由がない程度に良くしゃべれる。私の提出したエッセイをいつも丁寧に見てくるほか、必要なら関連資料まで調べてくる。勉強家なのであろう。
また結婚の結果、日本の「永住ビザ」を獲得することが出来た。有るサイトによれば「永住とは、外国人が外国人の身分のまま日本に住み続けることのできる制度です。」「「永住」の資格は、外国国籍の人が取得する資格として最も安定した資格といえます。つまり離職したり離婚しても入管に出頭して資格を変更したり、在留期間を更新する必要もありません。」などとある。税金を払う必要があるが、母子家庭に与えられる児童扶養手当等はもらえるそうで、彼女は「日本は素晴らしい国だ。子が18歳になるまでだが、中国では考えられない。」としていた。他に父親が入院した時、彼女は病院の対応の差について中国と日本の差を感じたという。
一女をもうけた。しかし90年ころ、これからは中国が発展しそうだと上海に戻った。その時思わぬことが起こった。亭主は北京の出身、こちらが上海系という事で親が結婚に大反対、両家のそりも全く合わず、離婚せざるを得ない状況に陥った。
父親は子達と住むことを考えていたようだが、自分は日本にいつか移りたいと考えるようになった。姉たちともひと悶着あった。3年ほど通訳をしていたが、4年前に娘と二人で日本に来た。アパートを転々としていたが、最近赤坂にマンションを買い住むことになった。永住を希望している。
娘がどの程度日本語、中国語を話せるかは不明。ただし娘の立場から考えてみれば、幼少期を中国ですごし、高校生近くになってから来日したことになる。彼女は駒場高校3年で成績優秀の為「明日を担う日本人」とかいうメンバーに選ばれ、アメリカに1年無料で留学するということで、この8月末に渡米した。永住ビザをもっていると割に楽に帰化出来るらしい。彼女自身はもうその気はないが、娘については日本に帰化させるべきかいなか迷っている様子だ。
彼女は、現在みずほ銀行と丸紅の人材派遣会社「アヴァンテイス」に友人の紹介で属している。大手の為、ある期間勤めると有給休暇が取れる等利点が多い。先週はそこから派遣されて海上自衛隊の船のかなで中国語を教えた。そのため現在の所仕事はある。しかし「正社員ではないため、身分の不安定」が気にかかる。物事を決定するときにやはり男の人にリードしてほしい、と感じている。日本人と結婚を希望しているがなかなか相手が見つからぬとのこと。誠実で勉強家、なかなか美人で明るい彼女の人生にエールを送りたい。
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