1414「会社時代の部下と飲み歩く」(12月11日(金)雨後晴れ)
友人というのはどこまで範囲のものを言うのか知らない。たまたま学校や会社が一緒であったならそれでも友人、それならたくさんいる。しかし心の底をさらけ出して付き合える友人というのはそうたくさんいるものではない。
私が葛飾営業所の開発課長に就任したのは77年か76年であったと思う。開発というのは地域にガスを普及し、一方で工業需要家等大口需要家のガス化を推進する課である。葛飾営業所は足立、葛飾、江戸川、それに草加など埼玉県の三市がエリアであった。
aはそこで係長をしていた。私が35,6歳、aは29ないし30歳くらいか。若くて元気の良いころであった。後年、aは新任の私を見て「現場に来て酒とカラオケが出来なくて課長が務まるか。」と考えたという。仕事が終わると青砥やお花茶屋駅近くの飲み屋等に行った。歌がからきしダメだった私も、譜面を見ながらカラオケに挑戦。追いつかぬから我が家でも練習したが、そんな時結婚して10年余りの妻はそっと雨戸をしめた・・・・。
aの下にbという男がいた。仕事熱心で話の旨い男であった。それだけでなくフルートが得意と言うところが素晴らしい。後年彼は会社の吹奏楽部?の部長になった。上役の受けもよく重役の一人に名を連ねた。bは退職後会社と関連のあった小さなボイラーメーカか何かに勤務している。「あいつは自分が能力があると思っている。然し企業は我我の会社とコネクションを保つために雇っているに過ぎない。そこが分かっていない。」とaはいうが実際はどうなのだろう。
78年の9月末に私は部下のa、bを誘って韓国に旅行した。4泊5日、営業所の一つの課の課長、係長、ヒラのトップがそろって海外へ観光旅行というのだから今では考えられない。それでも許されたのだから、すでに他界した当時の所長はよほど度量が広かったのかもしれぬ。
ソウル、扶余、慶州、釜山で泊まった。ソウルでは後にも、先にも一回だけキーサンパーテイというものを経験した。あれは気に染まぬサービスをされて、むやみやたらに金だけとられるものと悟った。当時は朴政権の頃で、全土に戒厳令が敷かれていた。夜11時以降は外出禁止、それにもかかわらず平気で遊び歩いたのだからお気楽なものだ。翌年民主化の波の中、独裁者であった朴大統領が暗殺されている。手もとに当時の日記が残っているが懐かしい。何を感づいたのか、それから亡くなった妻は、私が海外旅行に行くと言うと必ず同行を求めた・・・。
私は会社で大して出世しなかったから、仲人というものを生涯3度しかやったことが無い。その3度はaが口をきいてこの時代に行ったものだ。彼はなかなか女性にもてる。理由は親身になって彼女たちの悩みを聞いてやるからである。彼のおかげでその当時結婚したカップルを二組知っている。今日彼は面白いことを言っていた。
「男はグループで話せばいい。しかし女とは私は一人一人別個に接触することにしている。そうしないと本音の話ができない。もっともそのおかげで営業所時代は部下の女性と何かあるのではないか、と陰口をきかれた。」
もちろん彼は、バーやスナックも好きで一人でも遊び歩いていた。いつであったか彼が「たまにはどこかいいところでも紹介してくださいよ。」というから、先輩から教えられた銀座の某スナックに連れて行った。そこにはカラオケで恥かきばかりで私は結局2,3回行った程度だ。しかし彼は今日聞くと「あれからあそこの常連になって何度も行きましたよ。女性は3人しかいなかったから皆仲良くなった。しかしあのスナックはビルの建て替えでとうに無くなりましたよ。」
カラオケの話から「夫婦は同じ趣味が一つでもあるといい。」というと彼は「それにこしたことはないが、無くても良好な夫婦関係は築ける、わが家がそうだ。」と主張していた。
そんな関係であるから彼には親しみを感じる。彼が私をどう思っているか知らぬが、私は彼が私とは違った世界を持っていると感じ、そういうもののうちいい物を取り込めたらと思っている。
5時に新宿西口交番前で待ちあわせ、中華料理で一杯やった後、aがあらかじめ予約しておいたスナックに行った。然しママが突然のぎっくり腰という事で閉店、仕方なく私が高校時代の仲間とよく行く高円寺の音楽喫茶に行った。
7:30に開店。あの面倒見の良いママが来ていた。金曜日は本当は別の女性が担当なのだが体調が悪く、代理でこのところ勤めているという事であった。ママの面倒見がいいのか、8時半を過ぎると次々客がやってきて10人を優に超えるような状態。手作りらしいローストビーフがなかなかおいしい。私の高等学校の友人c君が現れた。今横浜の方の現場で働いているそうだ。彼はここの常連。最初は別々であったが、やがて3人一緒になり、世間話をした後、9時半ころ1曲づつ唄って我々は退散した。今日は思い出話を十分に堪能した気分になった。この店は朝の4時か5時までやるとか、とても付き合えぬ。
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