1438「「嫌われる勇気」を読む」(3月6日(日)晴れ)
2月28日の日記にNHKテレビテキスト「人生の意味の心理学アドラー」のまとめを書いた。アドラー心理学を扱って、これより先に出版され、100万部近い売り上げを達成し、ベストセラーになった本。著者は岸見一郎氏と弟子?の古賀史健氏。
こちらは5夜に渉る「青年と哲人の対話」という形式でまとめたもの。「どうすれば人は幸せに生きるか」という哲学的問いに極めてシンプルかつ具体的な答えを提示する、とある。
基本的には同じような内容だが、特にこちらの方が詳しく書いてあることを拾い出す。
本当の自由とは「他者から嫌われること」である。他者の評価を気にせず、嫌われることをおそれず・・・・自分の生き方を貫いて初めて本当の自由がえられる。対人関係の「カード」は常に自分が握っていることを忘れてはならない。
人生のタスクとは一人の個人が社会的な存在として生きていこうとするとき、直面せざるを得ない対人関係である。「仕事のタスク」自己完結的な仕事であっても他人とのかかわり合いによって成り立つ。次に「交友のタスク」広い意味の友人関係である。そして「愛のタスク」これは家庭の問題である。人生のタスクから逃れぬために
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自立すること
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社会と調和して暮らせること
そしてこの行動を支える心理面の目標として
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私には能力がある、という意識
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人々は私の仲間である。
と考えることが必要だ。そして時に人は様々な口実を設けて人生のタスクを回避しようとするので銘記しなければいけない。「劣等コンプレックス」「優越コンプレックス」などもそれか。
我我の悩みは他人に認められたいという「承認要求」によるところが多い。「ゴミを拾う」のはみんなのためだが感謝の言葉が無ければ」やる気が失せる。これは心に他人に褒められたいという欲求があるからだ。人は他者の期待を満たすために生きているのではない。同時に他者もまた「あなたの期待」を満たすために生きているのではない。そしてこれを理解するために「課題の分離」が必要である。勉強をしない子に対して、われわれは「これは誰の課題なのか。」という視点から考え、自分の課題と他者の課題を分離してゆく必要がある。「勉強をしない」という選択によってもたらされる結末は子供自身が引き受けるのであるから子供の課題である。他社の課題に踏み込まず、「ここからは自分の課題ではない」という境界線を作る必要がある。その結果「あらゆる悩みは「対人関係の悩み」であると説く」がこれから解放される。
対人関係のゴールは「共同体感覚」である。
他者を仲間であると見なし、そこに「自分の居場所がる」とかじられることを、共同体感覚という。ここでいう共同体の範囲は家庭、社会、世界と無限である。なぜ「わたし」にしか関心が無いのか、が問題であるが、ただし「わたし」は世界の中心に君臨しているのではないことも認識する必要がある。そして「この人が何を与えてくれるのか」ではなく「わたしはこの人に何を与えられるか」を考えなければいけない。他者のことを「行為」のレベルでみることなく、「存在」のレベルで見ることが大切だ。人間関係は「縦」の関係でなく、「横」の関係で捉えなければならない。赤ん坊は存在しているだけで価値がある。
これにブレーキをかける者が自意識過剰だ。共同体感覚で必要になるのは「自己受容」、「他者信頼」、「他者貢献」の三つになる。「自己受容」によって「変えられるもの」と「変えられぬもの」見極め、後者に注目してゆくべきだ。そしてそれを実践する勇気を持つべきだ、とする。信頼と信用は異なる。信頼することを恐れていては誰とも深い関係を結べない。他者貢献とは「わたし」を捨てて誰かを助けることではなく、むしろ「私」の価値を実感するために行うものだ。
「人生とは連続する刹那である」。最初から目標などない。今ここの一瞬をくるくるとダンスするように真剣に生きなければいけない。「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当てていたら、過去も未来も見えなくなる・・・・・。人生さ次第の嘘、それは「いま、ここ」を活きないことだ。
自由なる人生の大きな指針として「導きの星」を掲げる。「他者に貢献する」という事が導きの星だ。これを見失わなければ迷うことはないし、何をしてもいい。
・・・・最後に私の読後感。最近この歳になって私が考えていることとほぼ同じと考える。ただしこの心理学は、19世紀末オーストリアという社会に生きた心理学とも感じる。自覚しないものに教えるものに、他人の領分であるから踏み込むべきでないとは言えぬ、人生に競争も又必要、競争心があるからこそ進歩が生まれる、ともいえる。しかし反論はさておき、我々の生き方に何かしらの指針を与える著作である、と感じる。
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