1474「南シナ海問題お勉強」(715()晴れ)

 

この問題はなかなか複雑故、知識の整理をしながら考えてみたい。

南シナ海は香港、中国、台湾、フィリピン、ブルネイ、マレーシア、ベトナム、インドネシアに囲まれた海域の名称である。200以上の島と礁が知られており、南沙諸島、中沙諸島、西沙諸島、東沙諸島に分かれるが、大部分は南沙諸島にある。

古くから周辺諸国の海上交通路として知られていた。しかし、面積が狭く水資源に乏しいため、生活には適さない小島が多く、沿岸から遠く離れた島々についての領土的な関心は低かった。

しかし時代が変わり一つには排他的経済水域という概念が出てきた。これは沿岸国が海洋および海底下の生物・鉱物資源の探査・開発・保存・管理などに関して主権的権利をもつ水域である。その幅は沿岸から200海里(約370キロメートル)を超えてはならないとされている。日本が沖ノ鳥島にこだわるのはここが、日本の領土であるということになればその周辺の権利を主張できるからだ。

もう一つは海底資源の発見が相次いだこと。昔は考えられなかったが石油や多くの鉱物が海底から採掘することが可能になった。

そこで周辺各国は権利を主張し始めた。中国側報道ではベトナムが実効支配しているチュオンサ島に既に空港が設置され、住民がおり、軍隊も駐留し、南沙諸島指揮部はこの島にある。フィリピンもパグアサ島に同様の構造物を作っている。マレーシアはラヤンラヤン島で大規模な建設工事を行い、空港、港湾を建設し、旅館まで作り、世界的に有名なダイビング基地に変えた。

中国は海洋進出では後れを取ってしまった。中国は国作りに忙しく外洋どころではなかった。しかし国家が発展し軍事力も増強するにつれて世界の大国と認識し始めた。

国内に鬱積する不満を抑えるためには国民の目を外に向けさせる。太平洋戦争以前の日本もそうであったように各国のトップがとる考え方である。太平洋、インド洋に進出したいと考え、そのためには東シナ海、南シナ海等を支配し、自由に航行したいと考えだした。

ふたつの国の間に海がある場合、国際裁判の判例では双方の国の領海基線から等距離となる中間線を海洋領域とするのが一般的だ。

是では都合が悪いから、中国は東シナ海では大陸棚を領有権の境界線とし、中国の大陸棚は南西諸島西側の沖縄トラフまで続いていると日本に主張する。しかし南シナ海でそれを主張するとほとんどの海域がASEAN諸国の領有になってしまう。そこでこちらでは九段線を持ち出した。
九段線またはU字線、牛舌線は、南シナ海の領有権問題に関して、1953年からから中華人民共和国その全域にわたる権利を主張するために地図上に引いている破線である。断続する9つの線の連なりにより示される。

これを根拠に中国はすでに南沙諸島で7つの人工島を造成し、大規模な港湾施設や滑走路などを建設している。国が大きいからやることも大きい。これらの施設はもちろん軍事用にもすぐに転用できる。中国が周辺諸国の主張と大きく違うところは南シナ海全域に権利を主張している点と軍艦を持っている点だ。しかし米国にとってもこの地域は重要。航行の自由を盾にこの海域の安全は、米国が守るのだ、と主張するかのように、中国の人工島周辺をパトロールし始めた。

今回の問題は、各国が領有権を争う南シナ海の島々をめぐり、フィリピンが仲裁を求めたことが発端だ。フィリピンと中国はともに国連海洋法条約を批准しており、フィリピンは同条約に基づいて南シナ海問題を処理することを主張した。一方、中国は、南シナ海の島々の主権に関わる問題であり、同裁判所の管轄ではないと強調していた。

九段線とその囲まれた海域に対する中国主張の歴史的権利について、712日ハーグ常設駐在裁判所は「法的根拠がなく、国際法に違反する」と判断を下した。

@      九段線は国際法上根拠がなく無効である。

A      人工島は島ではなく排他的経済水域などの海洋権益を認められない。

しかし判決が出てしまった以上、中国にとって不利である。中国は国際社会の動きを有利に展開しようと李克境首相を中心にヴェトナム、インド、ポーランドなどと次々会談している。日本に対しては、直接関係ない国が口を出すな、という。日本にとっては中東からの石油輸送ルートになっており、ここが抑えられれば大変な痛手になる。またここで中国の横暴を許せば次は東シナ海であり、尖閣列島、さらには沖縄の問題にまでつながりかねない。そして中国はこれに対して仲裁裁判所のいかなる判断も受け入れない、紛争は二国間で今まで当事者二国間で解決してきたし、今後もそうする、という。しかしならばなぜ国際仲裁裁判所なるものが存在するのか。武力に頼りに一方的主張を押し付ける例が後を絶たないからではないか。国際的に出た判断を無視するという行為は、かって国際連盟を脱退した日本と同じだ、という人までいる。安倍首相が国際法に従えと説くのは至極当然に思える。

 

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