年をとったせいか、朝早く目を覚ます。その影響で朝食が早い。当然の帰結としてかなり早く腹が減ってしまう。そこで最近9時頃焼き芋を食べる。買ってくるわけではなく、トースターで20分くらい加熱して作る。芋は4つで200円くらいの小ぶりのものを使う。一人で「お殿様、焼き芋の儀、整いました。」「うん、それでは食うぞ。」などとつぶやきながら、加熱によって浮き上がった皮をむく。ムシャムシャ!「なかなかの絶品、余は満足!」お茶か牛乳など用意し、一緒にほおばるともう立派な「お十時」である。
戦後の一時期、我が家でも母がサツマイモを栽培したことがある。母は畑を耕したり、肥料をやったりずいぶん苦労したらしいが、子供心には、うねを渡りながら楽しんだ芋ほり、ふうふう吹きながら食べたふかし芋の味等をかすかに覚えている程度である。
サツマイモの栽培発祥地は中南米だそうだ。ヨーロッパへ伝えたのはコロンブスである。16世紀にフィリピン、マレー、インドネシアなどに渡ってきた。日本には17世紀初頭、琉球、九州に入った。1735年、江戸・小石川養生所(現在の東京大学附属植物園)で、青木昆陽がサツマイモの栽培を始めた。
現在世界中で栽培され、中国が一番の生産量、次いでインドネシア、インド。日本では鹿児島がやはり最大で年間約50トン、4割を占める。芋のほかつるも福岡県や沖縄県など一部では野菜として利用されている。
サツマイモは、やせた土地でも栽培が可能で、豊凶の差が少なく、飢饉の際の作物として役立ってきた。1732年の享保の大飢饉、第二次世界大戦中などに人々の飢えと命をつないだ重要な野菜である。主成分は炭水化物。ビタミンCや腸内をきれいにする植物繊維等も多く含まれ健康にきわめてよろしい。もっとも植物繊維がおならの原因であることも良く知られている。また、寒さと水気に弱い。ビニール袋に入れて保管すると群れて腐るし、冷蔵庫保管も推奨できない。
品種改良がめざましく、多くの品種がある。東日本では焼き芋にするとホクホクとおいしい「金時」(旬は10-3月)、「高系14号」(7-8月)、お菓子などによく利用される「ベニアズマ」(9-11月)などが主流。西日本ではほかに「コガネセンガン」なども多い。ほかに昨今アイスクリームなどに使われ話題の紫芋がある。ほとんどが九州、沖縄の栽培である。
江戸の町に焼き芋屋が現れたのは18世紀末のことである。川越のサツマイモは、その焼き芋用に大発展したそうだ。世界で唯一の「サツマイモの資料館」があるそうだ。
最後においしい焼き芋の作り方。
プロが進めるうまい焼き芋作りの第一のポイントは低温長時間加熱。
サツマイモにはでんぷん質を分解する酵素が含まれている。この酵素は50-60度で長く加熱すると、活発に働くようになり甘みを増す。石焼芋は60度より少し高めの石の中に埋めてじっくり加熱するのでおいしく出来上がる。焚き火で作る焼き芋もほぼ同じ原理。しかし電子レンジで加熱すると、急速過熱になるため、酵素が働かぬうちに出来上がり、甘みがすくないものになってしまう。
第2のポイントは水分加減。水分が65%程度のものがもっともおいしい。
第3のポイントはサツマイモを収穫後2ヶ月ほど寝かせて熟成させること。こうするとサツマイモ自体の甘みもまし、焼いたときにさらに甘みが強くなる。
しかし実際にはこんなに七面倒くさいステップは無理。その結果、私の場合はちょっとトースターで、ということになるが、第1のポイントを、わずかだが生かしているといえるかもしれない。
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