1497「あかやあか月」(1010日(月)晴れ)

 

詩吟にうたうものは漢詩のほか、和歌、新体詩、俳句などいろいろある。あるとき先生に「次の大会ではどんな和歌を吟じてもいいのか。」と聞いたところ先生は「よろしい」という。それなら「この歌はどうだ?みじかびのキャプリキ取ればすいちょびれ、すぎ書きすらのはっぱふみふみ」…先日他界した大橋巨泉が万年筆会社の広告のために作ったもので大人気となった。しかし先生は「とんでもない。」という表情であった。

書道では「書とは文字を墨できれいに書くものである」とばかり、先生に中国の「簡体字」で書いたものを持っていったら、「だめです、これはだめです。」と激しく言われた。しかし韓国人はハングルの習字を書くのだろうか、欧米人が英語で書をしたためてはいけないか、など考えた。いまだに結論が出ていない。

どうも私はひねくれもので先生を困らせてばかりいる。

書道で今の先生は百人一首を書かせる。お手本を書いてきてくれるのだが、変体仮名をふんだんに使うことを得意とする。変体仮名はたとえば「あ」という文字一つでも「あ」やこのもとになった「安」、カタカナの「ア」、そのもとになった「阿」さらに「亜」などいろいろな書き方があり、しかもどれを使うかは作者の勝手気まま。それを披露するのがご自分が得意なのであろうか。

その先生が「あなたたちもどんな和歌を書いたらいいか自分で考えて作品を作ったらどうですか。」というからこんな歌を書きたいと提案した。

「あかあかやあかあかあかやあかあかや あかあかあかやあかあかや月」

「これを書けば「あ」と「か」の練習にはなる。しかしこんなにたくさんの「あ」や「か」が書けるかなあ。」半分は美人の先生だからからかっているのである。先生は苦笑しながらいろいろな書き方を教えそして「さっさと書いてみろ」という様子。こんどは私が困っている。

ところでこんな歌を知っているほど私は才人ではない。会社で先輩で会った人の受け売りである。

あかあかや月というのは赤い月という意味ではないようだ。明るい月ということか。

国立天文台サイトの説明「月が赤っぽく見えるのは、大気の影響による現象で、朝日や夕日が赤く見えるのと同じ理由です。地平線(水平線)近くに月があるときは、月からの光が、厚い大気の中を通過することになります。すると、青い光は届きにくく、赤い光だけが私達の目に届きます。そのため、月が赤っぽく見えるのです。」

明恵上人とこの歌についておもしろいそうなサイトをみつけた。

http://www.kuniomi.gr.jp/geki/ku/1honmyou.html

以下少し抜き書きしてみる。

「明恵は承安三年(1173年)、紀州有田に生まれた。八歳のとき両親と死別し、その後、京都の神護寺に入門して修学に励んだ。のちに後鳥羽上皇から賜わった京都西北の栂尾(とがのお)の地に高山寺を創建し、また東大寺の学頭にもなった名僧である。

月をこよなく愛し、月を歌った歌が多いため「月の歌人」とも言われている。自撰の歌集『遺心和歌集』があり、これを中心に弟子高信が編んだ「明恵上人集」もある。この歌は一風変わった歌だが、月の明るさ、清らかさ、さらには、求道一途の彼が理想とする、人のあるべき姿をうたったものという説が一般的である。

「明恵は承安三年(1173年)、紀州有田に生まれた。八歳のとき両親と死別し、その後、京都の神護寺に入門して修学に励んだ。のちに後鳥羽上皇から賜わった京都西北の栂尾(とがのお)に高山寺を創建し、また東大寺の学頭にもなった名僧である。

「明恵は、「阿留辺畿夜宇和(あるべきようは)」を座右の銘にしていたといわれている。・・・・ 河合隼雄は、その著作「明恵夢を生きる」で『日本人好みの「あるがままに」というのでもなく、また「あるべきように」でもない。時により事により、その時その場において「あるべきようは何か」と問いかけ、その答えを生きようとする』ものであると述べている。何でも受け入れる母性的な「あるがままに」でもなく、肩肘張って物事を峻別しようとする父性的な「あるべきように」でもない。・・・・・違いを認めながら共和する心が大事だという、古代から連綿と続いている歴史的な知恵と相通ずる思想である。

ただ、この中の時により事により、その時その場において「あるべきようは何か」と問いかけ、その答えを生きようとする、何となく共感する。皆さんはどうですか。

書の方はいろいろ考えた末、先生の趣味に合わせていろいろな変体仮名を組み合わせて書いてみた。手元にあった「漢字くずし方辞典」という書物を利用。

あかあかや 亜下亜下亜下屋 阿可阿可哉 愛家愛賀愛歌夜 悪香弥悪佳月 

 

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