1498「夜更けに一人で酒を」(10月19日(水)晴れ)
9時過ぎ。一人でマーボウ豆腐らしきものを作り、350mlのビールを片手に夕食を終えた私。少々眠くなってきた。しかし何だか今日という一日が、また無駄に費消されてしまった気がする。
今日はTVが9月初めの陽気と伝えるほどでずいぶん暑かった。今日も寝巻に着かえても寒さを感じず、心地よい。このまま寝床に入ってもいいけれど、なんだか寂しいと焼酎を取り出す。夏に北海道の利尻礼文に旅行し、その時かった昆布の海苔があったから、それを肴に少し飲む。知人からときどき酒は飲みますか、と聞かれる。「晩飯の時に350mlのカンビールだけですよ。」と答えるが時々こんな風に内緒で羽目を外す。
友も伴侶もいないと寂しい。傷をなめあって生きてゆける。しかし不思議にいつもそばにいるとうるさく感じる。人とは本来他の生物と同様自分勝手に生きたいものなのだ。
孫娘と会食する話が持ち上がった。それにいつの間にか母親と私の義理に従妹が加わった。義理に従妹は最近亭主を亡くした。勉強好きの優秀な亭主であったが、何かしらとっつきにくいところがあった。彼女は時々亭主の悪口を言っていた。しかし亡くなった現在彼女は何を感じているのだろうか。そんなことがあって彼女とは話したかったので良い機会かもしれぬ。
私は90歳まで生きるとして、後5000日余り。私は妻が他界した後の寂しさを紛らすために、いろいろやっている。ガールフレンドを作った。時々友人が「そういうのが一番いい関係」という。四六時中一緒というわけではないところが少しは新鮮に感じるのか。友達の輪を広げた。友というのは本音で話し合える相手を言うのか。よくゆく喫茶店にはいつも私と同じ年くらいの男が二人来てコーヒー片手に世間のこと、政治のこといろいろ話している様子。羨ましい。趣味の輪を広げた。書道、詩吟、中国語、スクールにはゆかぬがカラオケ。面白いが社会に何の役にたたっているかと聞かれれば何の意味もない。自分の暇つぶしになっているだけだ。
どれもこれもそれなりの効果を上げているけれど、いつまでこんなことを続けられている。そのうちに足腰思うように動かなくなり、ボケも始まる。本人もそうであるが周囲がそれに気づき始める。電車で席を譲られることはうれしいことなのか。それとも自分がそうみられるようになったことを嘆くべきなのか。世間が同情の対象とみる一方、もう役に立たぬものと見始めた証拠かもしれぬ。いづれにしろ寂しい話。そんな風に自覚するなら死んでしまえばいい、という人もいる。しかし死ぬという行為は勇気のいることだ。それゆえ若いうちは簡単に死んでみせるが年取ると命が惜しくてならぬ。これも聞いた話。胃ろうにまでなったとき、この管が生きている証と感じて、抜けぬものだそうだ。
人は何のために生きるか。今更考えてみても仕方ないけれど、私流に最近感じていること。元気なうち個人は自分の欲のために生きる。やりたいと思うことがあふれているころ、つまり欲でみなぎっているころは若さがみなぎっているのだ。しかしすべて己の欲が根源である、と言えばしらけるから、世のため、人のためとたいていの人は言い繕う。
情報はアッという間に世界に広まる時代になり、そしてそれをどう判断しようとカラスの勝手と認められる時代。かってはそうではなかった。宗教や道徳が周囲から叩き込まれ、情報も限られていたから、人々はそれなりに従って生きた。それが今では自由な時代。
個人の集まりが国家を作っている。グローバリズムに対する批判が多いという。世界がよくなるためにみんなこのようにすべきだ。建前は良いけれど、具体的な移民のような問題に直面するとたちまち怪しくなる。自分たちが税金を払って作った素晴らしい国、そこに国を追われた奴らが来て福祉を享受する、そんなことがあっていいのか。
それでもこのグローバリズムをアメリカは懸命に支えようとしている。世界の警察国家。非難する国家や人々は多い。しかしグローバリズムがなくなった場合にどうなるのか。弱肉強食の混沌が来るだけではないのか。自国の地益中心の中国には期待できぬ。
人世に目的はあるのか。この歳になって少しわかってきた。答えは「ない」である。
人間は一個の動物だ。そんなものがこの世にあらわれたときにそんなものを考えるものか。本能的に叩き込まれているのは生きてゆくことと子孫を残すことだけだ。・・・・動物だったらどうか、という考え方は物事の本質を考えるときに役立つ。「子種を残さぬ男に意味はない。」「結婚、出産できぬ女の一生に意味はない」・・・・また大失言。しかしそれを延長して言うなら、私たち後期高齢者などもはや社会にはお荷物以上の何物でもない人種。
吉幾三の「酒よ」という歌は面白いなあ。「ひとり酒、手酌酒、演歌をききながら、ホロリ酒、そんな夜も、たまにゃ、なあ、いいさ。」しかし人生を振り返るようになればおしまいかもしれぬ。
何を書いているのかわからなくなった。そろそろおやすみなさい・・・・・。
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