1499「フィリピン新大統領について素人発言」(1020日(木)晴れ)

 

大阪から派遣された20代の機動隊員が、米軍ヘリパッド建設に抗議する市民に言い放った「土人」。差別用語だ、けしからんと騒ぐが大きくなった。仕方なく政府関係者は陳謝し、本人はそれなりの注意を受けたようだ。しかし大阪の松井知事は、「表現は不適切だが、一生懸命職務を遂行している」と理解を示した。知事が追及されて弁明しているように「相手もめちゃくちゃ言っている。鬼畜生のように、けだもののように個人をたたいている。」が常識的と思う。

同時に、日本のマスコミは、沖縄の新聞やあのA新聞は別として、ずいぶんつまらない問題を針小棒大に取り上げるものだと驚く。党首の国籍問題に頬かむりして、相手のちょっとした失言を執拗に取り上げるどこかの政党、まさに「自分に甘く、他人につらく」は左翼の常とう手段か。しかしそんなことを言っている間に海の外ではとんでもないことが起っているように見える。

CCTVではフィリピン大統領がドウテルテが北京を訪問、中国要人と次々あっている様子が映し出されている。そしてしゃあしゃあと「アメリカから中国に乗り換えた」と発言する。結局目先の利益だけ追いかけているように見える。

この3月にアキノ大統領の下、日本とフィリッピンの間に軍事合意が形成された。東シナ海と南シナ海を力で支配し、軍事基地化しようとする中国。米国、日本、その他の東南アジア諸国は包囲網を形成して対抗しようとするものである。その一環のフィリピンが抜け駆けしようとしているのである。フィリッピン、面積約30万平方キロ、人口9200万余り、日本を一回り小さくしたくらいだがGDPでは日本の10分の1以下の国。

ドウテルテ大統領をウイキペデイアで調べる。「フィリピンのトランプ」などというものがいるが大違いなのである。国民の9割以上が支持しているのだとか。

1945年生まれというから71歳、私より4歳若いが同世代。父親は法律家、母は学校教師という家庭に育ち幼少時にダバオに移った。大学時代の恩師はフィリッピン共産党の創設者ジョマ・シソンであり、シソンからは大統領選での支持も受けている。また、共産党員を閣僚に起用する案を掲げるなど共産党との協力にも積極的である。

ダバオの検察官として10年間働き、1988年からダバオの市長を6期務めた。ドゥテルテの執政下では記録的な好況を実現し、ダバオは平和とタクシーのボッタクリが無くなるなど、治安の改善を実現した。ダバオ観光局はフィリピンでも最悪の犯罪発生率を劇的に軽減させることに成功し、「東南アジアで最も平和な都市」を標榜している。

ダバオでは、実は彼の支持のもと「ダバオ・デス・スクワッド」と称する自警団が存在し、犯罪者を裁判にかけるなどすることなく超法規的に私刑の形で殺害している。この点を人権団体やアムネステイ・インターナショナルが批判している。

この6月にフィリッピン大統領に就任した。そして「就任後の施政方針演説では「麻薬王や資金源、密売人の最後の一人が自首するか、あるいは投獄されるまでやめない。彼らが望むならあの世に葬り去ってもよい」と公言した。実際に、麻薬犯罪に関わる容疑者を裁判にかけることなく逮捕の現場で射殺する事件がわずか1ヶ月余りで1800件が発生している。この点をオバマ大統領が厳しく糾弾するわけだが、彼は逆に大統領をタガログ語で「売春婦の息子」と侮辱するなど、対立をエスカレートさせ、ついにはアメリカ-フィリピン首脳会談は中止に追い込まれた。

そして今回の中国への異常接近なのだ。しかしこのようにみてくればフィリッピン国民が彼を圧倒的に支持している理由がわかる気がする。麻薬問題に限って言えば、いつまでたっても解決していない、そこを少々荒っぽい方法であるが解決しようとしている。ただある評論家が言うように、公正な裁判は回りくどいけれども、必要でこのようなやり方では誤認逮捕や処刑もおこりえよう、その場合不満が彼に向けられる可能性も大きい。

さてこのように急に中国寄りに急旋回されて驚くのは日本とアメリカ。フィリッピン軍はとにかく弱いと言われる。背景に米国、中国、日本に比べ圧倒的に低い予算規模を揚げる者もいる。中国包囲網をしっかりさせるために、日本は「巡視船を無償供与し、海上自衛隊のP3C哨戒機を派遣してフィリピン海軍と共同訓練を行い、地位協定の協議をして同盟関係に入ろう」としていた矢先。また米国は2024年に新軍事協定を結び、米国軍の事実上の再駐留を認めさせている。毎年合同軍事演習を行っている。経済関係についても同じような発言。

25日からドゥテルテ大統領は国賓として来日し、天皇陛下、安倍首相とも会談する。これらの問題の行き着く先は今後どうなるのであろうか。・・・・・ただ最後に中国、米国のはざまに立つフィリッピン、との考えに立てば彼の行動もうなづける面もあるように感ずる。そして日本もはざまに立つ点では基本的に同じような立場。今後、どう考えてゆけばいいのか。

 

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