1503「ヒラリー・クリントン」(115日(土)晴れ)

 

Yahooの引用記事に面白い記事を見つけた。「東洋経済オンライン 岡本純子」

「ヒラリーが、しぶとく嫌われ続ける根本理由 女性リーダーが陥る致命的な落とし穴」

私も含め日本人には、ドナルド・トランプのような「とんでもない」候補者が、どうしてここまで粘ることができのかが不思議に映る。「移民が入ってくるからいけない、メキシコとの間にバリケードを作れ。」「自由貿易などくそくらえ。TPPは反対だ。」「数々の女性蔑視発言」「差別発言と差別用語の乱用」どれもこれもひどいものだ。しかも相手は経験豊か、知的で有能。しかもクリントン元大統領夫人!

しかし8日投票らしいが、トランプ氏が追い上げ、接戦が予想さえている。市場にいたってはトランプ氏勝利によって市場が混乱すると考え、株価は下げ、ドルは売られている。となればどうしてアメリカ国民がそのような行動をとろうとするのか考えてみる必要があろう。その意味でこの記事はアメリカ人の本質を指摘しているようで面白かった。要点を書くと

*ドナルド・トランプのような「とんでもない」候補者がここまで粘ることができた理由として、・・・・大きな要因となったのが、相手候補クリントンの圧倒的な不人気である。

FBIは以前にも国務長官時代のクリントンの私用メール問題を調査していたが、今年7月、違法行為の証拠はないとして、調査の終了を発表していた。ところが今回、新たな証拠となるかもしれないメールを見つけ、調査を再開した。ただしこれに国家機密となるものが含まれているのかは全く分からない、としている。まったく選挙妨害のように見える。

*イェール大学ロースクールを卒業し、弁護士、大統領夫人(ファーストレディー)、国務長官、上院議員というきら星のような要職を歴任してきたバリキャリエリートである。それだけに、どうしても官僚的なイメージが抜けず、「上から目線」な物言いが反感を買うことも少なくなかった。かつて、「私は家でクッキーを焼いて、お茶を入れるようなそんな女じゃないわ」と啖呵を切り、物議を醸したこともあった。

*まさにプロの政治家であり、経験が豊富であることが逆に、現状の政治に不満を持つ人に、「彼女のせいで、ここまで状況が悪くなった」と思い込ませてしまっている。その男顔負けの強さは、長年、女性差別に対して、最前線で戦ってきた闘士そのもの。ただ、その姿が、トランプのような古いタイプの男性の目には「傲慢」で「脅威的」に映る。

*トランプ支持者は「トランプは偽悪的なだけでクリントンよりもずっと正直」と思い込んでしまっている。オバマ大統領が、ティーンエージャーの父親として、ミシェル夫人の夫としての「素の顔」を所々で魅せたのとは全く異なり、プライベートの顔もあまり見えない。

*そもそもリーダーには2つの資質が必要だと言われている。「Competence(有能であること)と「Warmth(人間としての温かみ)である。この二つがバランスよく高いことが求められるが、どちらにも秀でるのはなかなか難しいものだ。

*女性は、母親らしさ、女性らしさを暗黙のうちに社会的に求められてきた。しかし、そうしたイメージが「有能だ」「できる」という印象を打ち消す働きをする場合もある。クリントンは、「できる」姿を、優先的に見せるような戦略を取ってきた。(その結果)「温かみ」が陰に隠れるようになってしまったのだろう。

*さらに、不幸なのは、「冷たい」上に、「ヒステリック」というイメージもまとわりついてしまったことだ。彼女の力を込めた話し方に、「なんで彼女はいつもそんなに叫んでいるんだ」と揶揄する声もある。男性ならそうは見られないだろう。「できる」女性は、冷たく、エラそうで、怒っているように見えてしまう危険性があるということだ。これがリーダーを目指す女性のジレンマだ。

*多くの人は、政策うんぬんよりも、自らの信条や候補者の印象など、本能的な、直感的な「好き」「嫌い」によって投票行動を決めている。クリントンやトランプに対する嫌悪感はもはや動物的直感であり、ディベートの結果や、スキャンダルなどはそもそもの支持者の考え方には大きな影響を及ぼさないようだ。

・・・・・特に最後の指摘は印象に残った。政治家にとっては政治がすべてであるが、平均的な有権者にとっては政治は生活の中のごく一部である。逐一政治家の発言や行動をチェックし考えているわけにはゆかないし、情報をそれだけ得られるわけでもない。彼らの質の問題もある。熱心な人から見れば時に「愚か者」に映る連中、学校出たばかりの世間知らずの若者も、ボケ老人も、精神異常も、移民も、白人も、ヒスパニックも、黒人も、みんな一票を持っている。勢い平均的にはマスコミなどが流す表層情報に左右され、いい加減にも見える投票行動に現れる。それを怒ってみたところで仕方がない。とにかく結果はどういう事になるのか。

 

註 ご意見をお待ちしています。

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読者から次のようなメールをいただきました。

先日、「愚民文明の暴走」という刺激的なタイトルの本を読みました。

世の中の大部分の人は自分の生活を維持するのに精一杯で日常は「社会を良くするためにはどうすればよいか」などは考えていない。議会制民主主義ではこれら多数の愚者と少数の賢者が平等に一票を与えられるので、「愚民文明」に陥り易い。これを防ぐために代議員制があり、選挙で選ばれた代議員が政治を行う。一般に、代議員は、社会のことを日頃から考えている「賢者」が多数を占める。「賢者である代議員」と、難しい試験をパスした「優秀な高級官僚」によって政治が運営されることによって「愚民文明の暴走」が回避されている。彼らに政治を委ねたのに、イギリスのEU離脱、スコットランド独立、大阪都構想などの大事な政治決定を「国民投票」によって行うのは間違えである。愚者を扇動して自分の思いを達成しようとする行為にほかならない。

と書いてある。ひとつの考えであるように思う。

これに沿ってみると、アメリカの大統領選では、トランプはプーアホワイトと言われる「愚民集団」を支持基盤にし、クリントンはインテリ層や中流層で「賢民集団」を基盤にしているようだ。大接戦という各種の世論調査を見ると,格差拡大によってアメリカの中流階級の没落による「愚者集団」の増加がうかがわれる。クリントンが勝っても、今までのような「強くて豊かなアメリカ」としての政策はとれないのではないか。