1505「トランプ氏、勝利す」(11月9日(水)晴れ)
河北病院で目の検診。気になって仕方がなかったのが、アメリカの大統領選挙の行方。
事前予想はヒラリー氏の勝利、その確率は90%というものまでいた。
それを反映してか、日経平均はまずは500円近く上げていた。しかし東部から開票が始まってくると、それが平均ではないと言いながら、どうもヒラリー氏の票数が伸びていないようで不安であった。検診を終え、昼近く喫茶店で携帯電話を開くと500円近い下げに転じていた。トランプ氏が勝つのではないか、という予測が出始めたらしい。その傾向は止まらず、昼過ぎには一時日経平均は1000円以上下げ、円は102円を割り込んだ。夕方にはもうトランプ氏勝利の報道一色。一つ一つの株価など見る気もしない!
木村太郎という評論家がトランプ氏勝利を予測していたという。「日本人はCNN、ニューヨークタイムス、ワシントンポストの記事ばかり見ている。この3紙はえげつないほどヒラリーびいきの記事を書いていた。私はアメリカの様子などからそうならないのではないか、と考えていた。」
マスコミが現地の表面だけの情報を信じ、それを宣伝し、日本の世論が引っ張られるという構図は半年前の英国のEU脱退投票のおりで経験したばかり。あれは「そうせい」という会社の株主総会の時だった。大方の予想は残留であったが、脱退ということになり、株価は大暴落した。
しかし金融市場についていうのならば、憶測だけで今は株価も為替も上げたり下げたりしている。やがて落ち着くべきところに落ち着くのではないか。あのBREXITもそうであった。事前にはこれでEU崩壊などと騒がれたものであったが、ことが起こったときにバタバタ動くのは一番下手な投資家、ともいう。仕方がない、私はまな板の上の鯉を決め込み・・・・。
トランプ氏は政治の素人である。議員になったこともない。また軍隊経験もない。ある識者が、その選挙の仕方は一つのテーマを作り、そこで過激な発言をし、敵を作ってそこを論点にする、と言っていた。メキシコ移民が怪しからんから国境に巨大な塀をつくる、そしてその費用はメキシコ政府に払わせる、などという。現実にできるかどうかわからないけれども不法移民に悩まされる人々には熱狂的に受ける。しかしまたその素人っぽいところがいいのかもしれない。
誇張や失言は、日本のマスコミが取り上げるほど米国では騒がれぬのかもしれぬ。人種差別主義者の上、女性蔑視発言が暴かれる。日本のマスコミは「これは記事になる」と考えてこぞって取り上げた。男性と女性は半分づつ、そんなにひどいというなら、多くの票がヒラリー氏に流れていいはずだ。それがそうなっている様子でない、と言うことはアメリカの女性はそのくらいの失言に傷つくほどヤワではない、ということなのかもしれぬ。
ヒラリー氏であれば今まで通りの政治、しかしトランプ氏は大幅減税にばらまき、耳障りが実によとしい。加えて極端な発言・・・・この人になれば何かが変わる、その期待も大きかったのかもしれぬ。もともとアメリカ人は特にそういう傾向が強いのかもしれぬ。もっとも、民主党も共和党も3期続けて政権を維持したことはなかったというが。
今回の選挙の大きく影響を与えたという白人層の票の動きについて思いを巡らせれる。一票を投じるときに、誰だってまず考えるのは己にとってそれがいいか、悪いか、ということ。世界情勢やまして極東の片隅の日本のことなど考えるわけがない。
そうするとアメリカ白人たちの「移民は迷惑」「外国製品など入ってくるな。」「世界の警察なんてやってられない。」それらの考えはひどくまっとうなのかもしれない。彼らにして見れば「ここはアメリカ、俺たちが切り開いた国」くらいの意識があるのかもしれない。ポピュリズム、世界の評論家はそう呼んで警戒するが、そんなものはくそくらえ!
最後に日本の事前報道に欠けていたこと。この選挙結果を中国、ロシアがどう考えていたかということ。実は両国はトランプ氏の方をむしろ歓迎していてたらしい。これから日米関係はどうなるのか。分からぬ。トランプ氏も実際に政権についたら考えを少しづつ変えてゆくように思う。TPPもとりあえずは署名しないと発言したし、在日米軍費用の負担も日本は多くすべきだとも言った。しかし状況を見ていろいろ変化させてゆくのではないか
と思う。
トランプ氏以後について、面白いエッセイを見つけた。この4月頃書かれたもので山田順という人。タイトルは「トランプ大統領は「日本にとって悪夢」なのか? そんなわけがない」その中の一節。
「「もしアメリカが攻撃されても日本にはアメリカを守る義務はない。これは不公平だ」と、トランプ氏は言った。そうして「もっと日本に負担させよ」とも息巻いた。しかし、彼は日米安保の再交渉をすべきだとも言っているのだ。
ということは、日本の保守派にとって念願の日本の独立がかなうことになる。安保を双務条約にし、独自憲法を制定し、さらに核保有国になって「自国を自分で守る」ことが実現するのだから、トランプ氏は“歓迎すべき”大統領ではないのか?
」
・・・・とうとう日本の根本的な問題を考えねばならぬ時が来たか。
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