1512「世界の流れと日経記事」(124()晴れ)

 

122日日経新聞の原田論説委員長による「極なき世界の航海」という短い記事に同感した。以下参照しながら、自分の体験をもとに考えてみる。

トーマス・フリードマンの「フラット化する社会」は出版からほぼ10年がたつが、その中で地球が「小さく平ら」になり、個人の力が強くなる大変革期の到来を予言しているという。その結果というべきか米欧には反移民や反自由主義のうねりが見られ「世界の警察官」不在の中東などに混迷をもたらしている。

毎年2-3度の割合で海外旅行に出かける。パック旅行に参加するだけであるからたいしてみられるわけではないが、それでも何かしらを感じる。今年はモロッコと南アフリカなど4か国に行った。そこで見たものは急速に西欧、あるいはトーキョウと同じになりつつあるアフリカの姿。近代的なビルにしゃれたレストラン、衣装店がならぶケープタウンの港、田舎は確かにチョベの小学校で見たように遅れてはいるけれども、親が子たちの教育を願い、少しでも都市に後れを取るまいとしている姿は、いづれ変わることを予感させていた。

「だが国際経済システムがどれだけグローバル化しようと、政治構造が国民国家を基本としていることに変わりはない。この矛盾が反グローバル化の火種となっている。」

その通りなのだ。世界的に見れば「国家は一種の利権団体」という側面を持っているのではないか。イギリスはEU脱退を選び、アメリカはトランプを選んだ。責任ある大国とうそぶく中国は台湾の反中国政権を締め付け、東シナ海、南シナ海での影響力を強めようと懸命である。それらを考えれば「いくら平和主義でも軍事力がしっかりしていなければ何も言えぬ。」のではないか。

「「象のチャート」と呼ばれるグラフがある。世界の所得上位1%と、30-60%の所得層は20年間で実質所得が6割も増えているのに、上位80%前後の所得層はほとんど収入が増えなかった。」

「グローバル化とIT化は一握りの金持ちと中国などアジアで勃興した中間層に恩恵を与えた。一方で先進国の中韓層にはメリットが十分浸透しなかったことになる。」

25年ほど前イギリス中部に留学していたが、そこで見る人々は収入が多いように見えなかった。それに対し、一部の中國人等の金持ち連中はすごく、金で女を争っても絶対に日本人は勝てぬというような話を聞いた。そして韓国のように一部の金持ちのエリート意識。

日本はずっと平等な国と感じる。しかし子たちが我々より良い生活ができるか、と問いかけられると今では逆のように見える。30-60%の所得層には下から上がってくるものと上から落ちてくるもの双方がいることを意識しなければならないのではないか。

原田氏はさらに「もともと先進国の中間層は人権や機会均等を尊ぶ。民主主義の中核的な担い手だ。それが豊かさが実感できないために、グローバル化に懐疑的になり、政治批判を先鋭化させている・・・」

人権や機会均等を尊ぶのは先進国に限ったことではない。この層に入ってきた者「すべてに平等であるべきではないか。」彼らはそういいながら、「他人のことはどうでもいい。自分がその恩恵に十分にあずかれないことは怪しからん。」と考える。かっては宗教や家族制度があった。しかし民主主義はそんなものを否定する。これをあおるのが情報化の進展だ。世界中のことが瞬時に耳に入ってくる。人々はそれを参照し、比較し、自分がどのくらい不幸であるか認識する。

「オバマ大統領は米国は世界の警察官ではないと明言した。」

不満のたまった人々、あるいはその集団である国家を押さえつけるのはそれより強い権力であり、それがアメリカで会った。何かに「かっては世界のGNP5割が米国であったが、今では2割。」というようなことが書いてあった。要するにアメリカの世界における相対的な力が弱くなり、プアーホワイトにつながってゆく。アメリカ国民にとってみれば「世界の平和より自分のこと。」と考えトランプを選んだのは成り行きかもしれぬ。さらに元をたどればこの地球は世界の人口73億に満足な生活を与えるにはもはや十分ではない、ということか。

「グローバル化がもたらした地殻変動は、米国を先頭に主要7各国(G7)が世界をリードしてきた時代は終わりを予感させた。・・・・しかしこの後を中国やインドなど新興国も交えたG20G7を代替えしない。」

「米政府の国家情報会議が近未来を予測した「グローバルトレンド2030」では、「国力」は依然米国がトップであり続け、2040年代まで中国に抜かれない。結局当面米国以外に世界の盟主は見当たらない。」

・・・・となれば素人が当面信頼できるのはドル、私はそう考えることにしている。

 

註 ご意見をお待ちしています。

e-mail address   agatha@ivory.plala.or.jp

ホームページ    http://www4.plala.or.jp/agatha/