1531「「韓国はなぜ危機か」を読む」(2月8日(水)晴れ)
韓国経済新聞が作った「大韓民国未来レポート」をもとに作った日本語版。
「韓国がこのままなら第二の経済危機を迎えるかもしれない、どうすればこの厳しい現実から脱して明るい未来を開くことができるのか。」代案を探そうという願いから始まったという。
今あの慰安婦像設置問題等を背景に日韓関係が冷え込んでいる。我々から見れば韓国の動きは常識外と映る。しかし背景にある韓国人の考え方、社会の在り方を知りたい。この書はそれにこたえる著作のように見えた。何しろ、韓国の代表的な新聞が行っている物であるから・・・・。
韓国では国家債務が増え、財政健全性に対する懸念が高まっているが、国会は「知らんぷり」だ。国の財政事情は気にも留めず「ポピュリズム(大衆迎合主義)立法」を打ち出している。議員立法が急増しているがそれらの多くは特定分野を非課税にするなどばらまき法案が殺到している。
人事聴聞会制度は、金大中時代に導入された。「国会が公職候補者をしっかり監視しよう」という制度であったが、不適格の人をろ過するより候補者を個人攻撃して恥をかかせる装置に変わった。
米国をまねて作った国会先進化法は、多数党の強行採決を防ぐという意味で導入された。その中にすべての争点法案に「5分の3以上」の同意を売るように求められた。この結果野党は政府・与党の推進するすべての法案についてとりあえず反対してみることで交渉主導権を得てしまった。
巨大化する政府は「非効率」の代名詞になってしまった。公務員には「安定」「事なかれ主義」の悪評が付きまとう。「・・・・サービス精神は見られず、産業・技術が変わるのに古い法令集だけに固執している。」という批判があふれる。「私の所管ではない。」「前例がない。」「事なかれ主義」・・・などとなり何もしないのがベストになってしまう。それをさらに助長するのが単任、短任。長官が変われば下は全部入れ替わる、これまでの中央省庁の歴代の長官の在任期間を調査した結果、120人のうち1年未満が52人もいた!
目を民間に移せば、企業が多いと言っても生計目的の者ばかりで、サムスングループや現代自動車を創業したようなチャレンジング精神のある起業家が出てこない。金融産業もグローバル50位以内の銀行はゼロ、中国、インドにおいてゆかれる。競争力が劣るのは革新性がないからと言われる。科学分野は、研究費あてに論文だけ量産され、使い道ある成果なし、科学者でない官僚が政策主導、政権ごとに代わる研究内容、その結果が研究者たちがサラリーマン化していると嘆く。
さらに国の将来を暗くする大きな要因が労働市場の後進性だ。これは企業の競争力医低下と同時に正規職に対する過保護につながってゆく。それが名門大学を卒業しても、就職できず、落ちこぼれ
3放世代(恋愛、結婚、出産放棄)、5放世代(上記三つに加え人間関係、未来への希望)へとつながってゆく。この根本が80年代後半民主化の流れによって労働法制が労働者に大変有利に変わり、既得権益保護、若者たちの雇用を奪うという構図に代わっている。
もっと恐ろしいのが少子化。未婚女性に限れば「結婚はしなくてもよい。」と答えた女性はなんと60.1%。またOECDが加盟23国のうち2100年までに人口が20%以上減ると予想される国は韓国、日本、ドイツ、ポルトガルで、韓国は断トツの一位とか。そしてその結果が外国人なしでは回らない工場、ということになり、農漁村、工業団地を外国人が埋め尽くす・・・・。
激しい受検戦争の一方で教育界もクリエイテイブな人材を育てられない一方で、親への負担を過度に重たくしている。「公教育に比べて私教育の比重が大きい」ということらしい。
これらの結果が「「人のせいにばかりする大韓民国」ということになる。国のせいにする「ヘル朝鮮」、親のせいにする「土のスプーン」・・・・意味は明白だ。「私のせい」運動は展開されたものの、結局は批判を受けることになる。これらを背景に市民運動は「取れるものは全部取ろう」という無理強い運動に代わっている。そして不法駐車をとりしまれば「なぜ私だけ」となり「法を守れば損をするし、プロセスよりも結果が必要」という意識が強い。
この本を読んで感じたこと・・・・ひどい社会だ。海外では韓国籍を捨ててゆく人が出ているとも聞く、ひどさの点では韓国は日本の先進国だ。しかし下手をすると日本もこうなりかねない。どうすればいいのだろう、そんな思いで読み切った。
(追記) 元駐韓大使が「韓国人に生まれなくて良かった」と心底思う理由。ちょっと抜き書き。
一生子どものために働き、子どもには面倒を見てもらえない。・・・・・韓国外務省の合格者の7割超が女性であった。・・・・その一つの要因は、男性に科された徴兵制ではないか。男性が兵士に取られている間に女性は試験準備をしている。・・・・
「競争社会の中で必死にもがいても報われないとの不満。その不満が朴大統領に・・・・彼女が在任中、日韓関係を改善しようとしてきたことから、攻撃の先が日本に・・・・」と結んでいた。
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