1549「江の島行き」(424日(月)晴れ)

 

最近では珍しく、キョウヨウ、キョウイクのない私。

しかし天気は良い、ガールフレンドのAさんを誘って江の島に行くことにした。

江の島に行くといえば昔は小田急と相場が決まっていたが、今は新宿から湘南スカイラインが便利。藤沢で江ノ電に乗り換えて、11時ころ江ノ電江ノ島駅。

少し早いが、駅近くの漁師がやっているらしいレストランに飛び込み生シラス定食、小ぶりのイセエビの半身を出しにした味噌汁が付いていた。

陸と隣接する島が満潮の時には海で離れ、干潮の時にはつながるという地形は世界的には珍しくはないようだ。トンボロ現象という。いつかある女性が「フランスに行きたい。モンサンミッシェルっていいらしい。」というから「江の島でいいじゃないか。」と言われたらにらまれた。天童よしみが歌う「珍島物語」も同じ伝だ。一番有名なのは「出エジプト記」にある話かもしれぬ。もっともここ江の島は関東大震災で少々隆起して、今ではほとんど陸続き傾向にあるとか。車線と歩道の二つの橋ができ、少々離れ島の風情が少なくなってしまった。

江の島はなかなか思いいれが深い。

会社の先輩に連れられて、昔クロダイ釣りに来たことがある。釣竿を浜で振ると、浮きが飛び、遠くに落ちた。遠くと言ったが先輩の半分ほどの距離、何度もトライしたがなかなか遠くに飛ばなかったのを覚えている。お目当てはクロダイ。沖に浮かんだ浮きが沈むのをひたすら待つ。ぎゅっと沈み、それ来たとひくとかなり引き、来たかと喜びいさんで引き上げると「ひいらぎ」という骨と皮ばかりの小魚。スズキの一種だそうだが、小さくてあれは食うところがない。鯰の子分みたいなやつが釣れたこともある。「ごんずい」というやつで毒があり食えぬ、と先輩の指示で海に捨てた。またあるときはずっしりとさお先に重みを感じた。しかし重いばかりで左右に動かず、竿先だけがぶるぶる震える。子蛸であった。クーラーに放り込むと怒って墨を吐きまくった。そのうちに家族も連れて行った。しかしクロダイは結局一匹もつれなかった。もっとも先輩も1シーズンに10匹も釣れぬらしいから素人の我々はしょせん無理だったのかもしれぬ。2,3日前に荻窪の魚屋でクロダイをぶつ切りにして売っていた。赤い方が人気があるのか普通のタイに比べて安い。買って帰り、塩焼きにして食ったが実にうまかった・・・・。

橋のこちらも向こうもずいぶん変わってしまった。遠くには江の島港、江ノ島水族館が見え、島の入口には巨大なスパ、商店街も整備され、島の頂上には江の島タワーまで作ってしまった。江の島神社も同様、人集めにいろいろ作っている。日本三大弁財天とは安芸の宮島、竹生島、それにここの弁財天とのこと、しかもここは裸弁財天、妙音(色ではない!)弁財天ともいう。江戸時代から特に多くの信仰を集めた様で、海の神、水の神の他に、幸福・財宝を招き、芸道上達の功徳を持つご利益の深い神様とか。海のシーズンではないのだが、ずいぶんにぎわっている。

昔はクーラーと釣り竿を抱えて、この階段を上り、さらに奥のこぶみたいなところを二つ越えて向こう側の浜に出た。そしてその投げ釣りに及んだ。帰りには浜伝いに別のルートを通って帰るなど平気であった。道は昔に比べると驚くほど整備された石段続き。左右にはお土産屋にさっき食べたものと似たシラス丼などを売る食堂。石段が少々きつい。植物園も江の島タワーも洞窟もよらずに向こうに出て、少し散歩した後、連絡船に乗って戻ってきた。

このまま戻ろうかとも思ったが、せめてコーヒーくらい。しかし案外気に入った喫茶店がない。結局ぶらぶら歩くうちに鵠沼海岸の三笠会館まで出てしまった。ようやく一服。

ちょっと横道。Aさんから鵠沼の鵠はどういう意味かと聞かれた。くぐいともいい白鳥の古名だそうである。「燕雀、いづくんぞ鴻鵠の志を知らんや」・・・有名ですな。昔は鶴で一杯であったかもしれぬここも、今や完全に住宅街、浜に面したあたりはマンションの林立。

つい最近まで真夏になると一日か二日、一人でこの鵠沼海岸に来る。浜にある公営のスポーツセンターで海水パンツになり、波乗りや浜での日光浴を楽しむ。1時間もいると肌が焼けてくるのを感じるからあがってしまう。それから浜近くにある焼き肉のサカイに行ってビール片手に一杯やるというのが定番である。今日はAさんがいるから少し高級?

三笠会館でコーヒーとケーキを楽しんだのち、鵠沼海岸から鈍行で相模大野に向かう。それだけのはずであったが、相模大野で駅員曰く「柿生で人身事故があったので電車が動きません。中央林間までもどりそれから田園都市線に乗ってください。」

あとから知った話。柿生で老女二人が電車に飛び込んで亡くなったとか・・・・。何があったのか知らぬが、こんな風に日がな一日過ごせた私たちはまだ幸せであった、と言うべきか。

 

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