157「アカシアの雨が止む時」(5月7日  曇り)

妙正寺公園でジョギングとラジオ体操を終った時の一こま。
「あの木はなんていうんだろう。ふじの花みたいだけれど。」
丸い葉である。白い房状の花が沢山咲いている。
ベンチに座っていた中年氏が「アカシアですよ。」
「へえ、あれがアカシア?初めて聞く。」「いいにおいがするわ。」

「似た木でナンジャモンジャというのがありましたね。」「あ、あれは10年位前までこの公園にも植わっていたんですよ。今では見かけなくなりましたね。」「深大寺に3本植わっていますよ。」5,6人が話しに参加し、輪がひろがる。
「それにしても緑が美しい季節になりましたね。ほら、イチョウも、ヒマラヤ杉も」「イチョウなんか新芽は薬になるそうですよ。」「そうそう、葉を輸出しているとか。」「柿の新芽も利尿剤になる。」

「アカシアの雨に打たれてこのまま死んでしまいたい。」・・・・・中年氏が歌いだした。「どうしてこの歌がはやったんですかねえ。」「それは西田佐智子のものうい声ですよ。」
昭和35年、私は予備校生、日米安全保障条約締結の頃だったことを覚えている。

ところで、帰宅して図書館で調べると

「アカシア属の樹木はほとんどオーストラリアを原産地とする暖地性の常緑高木で、数十種もあるという・・・・・日本には明治末に渡来し、関東以西の暖地に栽植されたというが、東京ではほとんどみられない。・・・・・札幌はエルムの都とかアカシアの都といわれているが、このアカシアは本当はニセアカシアである。・・・・正式な和名はハリエンジュで・・・・せめて詩歌の世界ではアカシアの雨などというように、偽の文字を抜いて用いられるのがなぐさめであろう。」(東京化学同人 山田正篤 気になる木)

あわてて写真を探すとアカシアは黄色い花であることが分かった。ハリエンジュがまさしく公園の木と同じもので「満開になると、あたり一面に甘い芳香が漂う。花は食用にもなる。」などと注釈がついている。(山と渓谷社 日本の樹木)

似たような植物というのは注意していないとなかなか分からない。

数日前は石神井公園でメタセコイアとラクショウのことが会話にのぼった。どちらもスギ科の高木で幹がまっすぐに伸びている。前者は葉が対生するが、後者は互生する。前者は1945年中国四川省で発見され、生ける化石として有名になったそうだ。2-3月に開花し、10月ころ卵状球形の褐色の実をつけるという。後者はメキシコ原産で、4月ごろ開花し、10月頃前者と同じ様な実をつけるのだそうだ。

また1年ほど前に問題になったのが、サワラとヒノキ。

近くの神社に大きなサワラのご神木があるが、ヒノキとどう違うという話になった。ヒノキの葉は、先が鈍く、「葉の裏面の上下左右接するところに白い気孔線があり、Y字形に見える。」(日本の樹木)、サワラの葉は、ヒノキより小さく、先がとがり「裏面には白い気孔線があり、白っぽい。時には気孔線がX字形になるものがある。」(いづれも「日本の樹木」)というのだが、私はいまだに判然としない。

最後にナンジャモンジャというのは正式にはヒトツバタゴという。日本では愛知県、岐阜県、対馬にだけ自生する珍木の一つ。数十メートルの大木が白い花を樹冠全体につけ、遠くからみるとあたかも雪がふったように見えるという。写真で見たが、垂れ下がってはいない。先述の「気になる木」によれば、「ナンジャモンジャ」という名前は水戸黄門が土地の人に「この木はなんじゃ。」とたずねたところ、うまく聞き取れず「なんじゃもんじゃ」と聞き返した。これを黄門様が木の名前と勘違いしたからだという。

現役時代は木の名前など関心がなかったが、時間ができてそういうものを気にする余裕ができたように感じる。少しづつ勉強してゆきたい。

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