1583「友人と山陰山陽感傷旅行」(8月30−9月2日(水―土)おおむね晴れ)
大人の山陰山陽4日間なるパッケージツアーに参加。天候に恵まれたうえ、日程もゆったり、食事もよく、参加者が17名と少なくバスがゆったり席が取れ、快適な旅であった。
県別人口順位を知っているだろうか。2017年で1位東京1363万人。最下位鳥取57万人、46位島根69万人。ちなみにわが杉並区は56万人。新幹線で岡山に行き、そこからバスで皆生温泉に向か、途中で鳥取花回廊によった。夏の終わりで花があまり盛りでないせいもあったが、立派な施設のわりに訪れる人は少ない。過疎に悩んでいることがありありしているように見えた。
今回の旅はゆったりで初日は海辺の皆生温泉に泊まった。
2日目はまず足立美術館。地元出身の実業家足立氏が1970年に開館したもの。美術館には横山大観の作品130点余りのほか竹内栖鳳、橋本関雪、上村松園、川合玉堂等近代日本画の巨匠たちの作品がずらり、しかし劣らず素晴らしいのが50000坪の枯山水庭園。その庭園が窓を通して見えるところがまたいい。あくまで自然に見える点を重視するそうで、庭は職員が毎日掃除するがあえて掃除をしない日があるという。雪が積もった日である。ちょっと横道、足立氏は生前から戒名は自分で決めるとし「美術院高(好)色庭園居士」としたそうだ。
そして出雲大社。ここに始めてきたのは21年前。2月にカミサンが膠原病で他界した後、5月、ゴールデンウイークを利用して夜行バスを使った個人旅行。目をこすりながら大きなしめ縄に感激したことを覚えている。今回は団体旅行の特権で本殿に上って参拝した。神主のお祓いの後、太鼓に合わせて巫女が登場するのだが、ずいぶん緊張している様子であった。三朝温泉に泊まった。
3日目は鳥取砂丘。砂を固めた彫刻群。ちょうどさっぽろ雪まつりの砂版。今回はアメリカ特集であった。そして砂丘。長靴を貸してくれたから比較的歩きやすかった。夏の盛りであればもっと熱く大変とガイド嬢。それから出石に出た。但馬の小京都と呼ばれる街。武家屋敷が多く、寺と蕎麦屋が目立つ町。ただあいにく観光ポイントの辰鼓楼と呼ばれる時計台は工事中でほろがかかっている。自由時間に散策をして宗鏡寺というお寺まで歩いてみた。城崎温泉には午後3時ころついた。ここの温泉は昔ながらの銭湯方式。町の中に大きな公共温泉が7つある。客は浴衣姿で、下駄を鳴らしながら次々とそれらを尋ねる。私たちは一の湯、御所の湯の2か所だけ行った。21年前に比べ露天ぶろや洞窟湯ができずいぶん変わっていた。この温泉も国際化されたのか、肌の白い者や黒い者が目立った。夕食に焼き蟹に蟹の刺身、城崎とくればやっぱり蟹、ただし今は季節ではないのだそうだ。するとこの蟹は?
4日目、朝ホテルの裏手を散歩。城崎は大谿川とそこにかかる橋、柳などが売り物だが、この川は円山川から水門経由で水が入ってくる。旅館街とは打って変わってのどかな田園風景を楽しんだ。さて旅行も今日でおしまい。天空の城と呼ばれ、近年にわかに脚光を浴びている竹田城址。戦国武将の城址だが、山の上にあり。朝早くいけば地上から霧が立ち込め、遠くから撮影すると雲の中に城跡の石垣が浮かんで見えるとか。バスを乗り継いでゆくがそれでも最後1キロ足らずを上らねばならずちょっと疲れる。参加者の中で私が一番年長なのか添乗員がずいぶん気を使ってくれた。いつまでこういう旅行に来られるだろうか。登り切って高みから見る城下町の風景はまた格別。大きな川が流れている。朝、城崎温泉でみた円山川だそうだ。
バスにのりいよいよ帰路。表日本に向かう。ガイド嬢はなかなか優秀のようで備前焼のことなど詳しく説明していた。50年前まだ学生時代に岡山で学会があり、そのときに吉井川に沿って進む電車に乗って、備前焼の窯元を尋ねたことを思い出す。倉敷。昼食を含めて2時間、我々はすべてを大原美術館見学にあてた。倉敷紡績の社長大原孫三郎が画家の児島虎三郎に金に糸目をつけず集めさせた西洋絵画群。エルグレコの「受胎告知」、モネの「睡蓮」など前にも見たが素敵である。しかし倉敷の街も国際化し、やけにお土産屋、人力車等が目立った。最後に鷲羽山展望台。トンネルを抜けると瀬戸大橋が見えた。児島坂出ルート、3本の瀬戸尾橋のうち鉄道がとおっているのはここだけとか。展望台。島伝いに坂出コンビナートが見える。左側遠くには高松、屋島。夕日がゆっくりと西に沈んでゆく。これも学生時代、先輩の故郷児島を訪ねたとき、船を仕立ててくれた。初めて経験する舟釣りであったが、めごちが沢山釣れた。あの頃ののどかな風景と、瀬戸大橋が出来にぎわう風景。時代の変化を感じる。
今回の旅はゆっくり旅とは言いながらいろいろ訪問したけれど、バスの乗っている時間が多かった。ガイド嬢のうんちくと歌(下津井節、貝殻節)など聞きながら移り行く車窓を楽しんだ。一方でほとんど観光せずに乗っているだけの旅もあるようだ。ツアー客の一人が「新幹線にばかり乗って日本を一周する旅」に参加したそうだ。観光はほとんどなし、ただひたすら新幹線に乗る。船旅でどこにも寄港しない日などはそうであろうか。年齢とともにただ乗り物に乗って過ごす旅が好きになるのかもしれないとも考えた。
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