1616「成人式雑感」(18日(月)曇り後雨)

 

成人の日、昔は115日に決まっていた。それを2回目の月曜日とでも決めてしまったか、今年は今日になってしまった。どうしてか分からないけれど、成人の日はいつも天気が悪い。今日も午前中曇り、午後になって雨模様。

公会堂の前に行くと振り袖も美しい新成人たちがたむろしている。昔はそういう中を一人ひとり品定めしながら歩いたもの、しかし最近は道路の反対側を歩くようにしている。

今年はとんでもない詐欺が発生したそうだ。着物を貸す、着付けをするなど言ってネット等を通じて金を集めた業者がドロンしてしまったのだ。「はれのひ」といういかにも人を馬鹿にした名前。

ただこの報道をテレビやネットで見ながらおや、と思ったことが一つ、

だまされたものはみな怒っている。

「一生に一度の機会だのに・・・・。」「60万円も払ったのに・・・。」「お母さんの着物を使おうと預けたのに返っててこない。」・・・・・・当然である。

しかし案外落ち着いている様子なのだ。泣いたりわめいたり押している様子はない。評論家みたいに「けしからん。」「困った」を繰り返しているように思う。

20年前に亡くなった私の妻は、里から金を出させるなどして娘に高価な振り袖をあつらえた。娘たちは何度か利用したが、女の子でも出来たらこれを着せればいいと我が家のタンスにしまっておいた。虫がつく、振り袖には普通のナフタリンでは臭いが付く、お父さんではわからぬ、と何度かメンテナンスにやってきたこともあった。2年ほど前その女の子、つまり私の孫娘が成人式を迎えた。彼女は薬科大学の学生であった。しかし「私は着ない」と無視してしまった。

成人式にどんな意味があるのか、なぜ振袖を着るのか、その辺をネットで調べると

*昔から日本では男子は元服、女子は裳着などの儀式があった。現在の成人式は1946年埼玉県で行われた「青年祭」が発端。敗戦で気を落としていた世の中、未来を担う若者が明るい希望を持てるようにしようとして開いたもの。それが48年の祝日法で「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます集い」となった。

*振袖は江戸時代前期に誕生した。踊りを披露する際に舞台で美しく見えるように長くした。1600年代は55-95センチであたが、だんだん長くなり今の大振袖は114pとか。

*振り袖には袖を振る=愛情を示す、袖にすがる=憐れみをこう、求婚に応じる=袖を左右に振る

求婚を拒否する=袖を前後にふる

などの意思表示に使われるほか、厄払いとの意味もあったようだ。

既婚女性は袖を振る必要がないので留めそでにして既婚者であることをアピールするようになった。

*成人式の式典はある市の場合

国歌斉唱、市長議長の挨拶、来賓紹介、新成人の誓い、新成人へのメッセージ、市歌斉唱

しかしどうも参加者の意識は

「友達同士が久しぶりに会える同窓会」

「振り袖やスーツを着て20歳になった若者が集まるイベント」とか

振り袖の費用は誰が出すのだろう。昔は親が出すのが当然であった。娘はそうしてきれいに飾って嫁に出す、というのが標準コースで会った。しかし今の娘どもはやたらに独立したがる。私は小さなアパートを経営しているが、娘さんたちが結構入っている。しかしその出身地を見ると立川とか八王子、つまり無理すれば通勤できない距離ではないところに実家がある。それを高い家賃を払ってあえて独立の道を選んでいるのだ。

そんな状況であれば学生は別として、勤めていれば多くは自分で払うのか。そして成人式のありようがネットの様であるとするならば、「友達と飲みに行く」「海外旅行に行く」などのイベントと同じものと考えるのではないだろうか。そういえば何やらクラブという旅行会社もさんざん客を募集しておいてある日突然倒産した・・・・・。

そんな風であるから、わが家の孫娘も世間体で振り袖は着たいが、着られなくてもそれはそれで構わぬ、位軽い気持ちなのかもしれぬ、と思ったりする。

再び公会堂あたり。二十歳の娘たちがしゃなりしゃなりと歩いているが普段和服を着ていないから慣れていない様子。そういえば和式旅館や和風割烹では新入社員がまず勉強することは自分で着物が着られるようになることであった。この中に自分で振り袖を着た娘はいるのだろうか、など考えたりした。・・・・・嫌味な老人で申し訳ない。

後記  仲間内の話。・・・・「あの晴れ着詐欺はひどいね。」「中国に逃げて捕まらないだろうか。」「捕まったって向こうに金がないのだから戻って来やしないさ。」この事件は何だか世相の移り変わりを映し出しているようにも見えた。

 

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