1637「佐藤愛子の著書二つ」(3月27日(火)晴れ)
「こんな生き方もある」・・・佐藤愛子・・・・・佐藤愛子と言えばかなりの年齢のおばさんと思っていた。読みだしてずいぶん若い様子の記述。
慌てて最初のページを見ると「本書は1987年10月に小社から刊行された文庫「こんな生き方もある。」の角川新書版である。」・・・46歳のときの作、なんだ、騙されたと思ったがなかなか良い視点にびっくり。しかも見開きに彼女は大正12年大阪生まれとあるから、1970年ころ、彼女は現在御年94歳という事になる。
佐藤 愛子1923年大阪市生まれ・西宮市育ちの小説家。
小説家・佐藤紅緑と女優・三笠万里子の次女として出生。異母兄に詩人・サトウハチローと脚本家、劇作家の大垣肇。甲南高等女学校卒業。
ついでに父親の佐藤 紅緑(1874年―1949年)「劇作家,小説家、俳人。昭和初期に圧倒的な支持を受け、「少年小説の第一人者」として知られる。サトウハチロー、佐藤愛子、大垣肇の父。3人とも母は異なる。晩年の紅緑は、少年たちに理想を説く小説を書き続けたが、長男ハチローをはじめとする4人の息子たちは、すべて道楽者の不良青少年となった・・・・」
さて内容。エッセイだからみなそれぞれが独立。気の付いた物を点てつ。
「完全主義のオトシ穴」では「なぜか私たち女には妙な完ぺき主義があって、その完璧主義のために生活リズムを崩してしまうことがある。」と指摘する。
「へんな言葉「夫と妻の話し合い」では夫と妻は興味の対象が異なる、家庭は黙っていられる時に黙っていられる場所であるべきだ、と指摘し、一方で「愚妻呼ばわり大いに結構」とする。
「女のあわれ」では、昔の女は「家庭の建設」という大義名分に向かって一心不乱に邁進し、男たちは「だから女にはかなわんのだ。」など嘆いた。逆になっているように見える現代はおかしい。
・・・・女のあわれさを指摘すると同時に、彼女は男は強くあるべきだ、と主張している様子だ。ふと私は生い立ちがそのようにさせているのかも知れぬと思ったが・・・。
4章「男の本音・女の本音」第5章では「男たちの顔」では男の本質に見事に迫り、思わず私は苦笑してしまう。このころ彼女は「男性評論家」として名をはせたとか。
「男の嫉妬」では女に勝るとも劣らぬそれを指摘する。また「男にとっての女、女にとっての男」では女は「お若いですねえ」など言われると、「お世辞を言って!その手には乗らぬ」と警戒するが、男は喜んでしまうのが百パーセントと指摘する。
「女性よ、大いに遊ぶべし」では大いに女性が活躍し「やたら男に向かって敵対し批判することではなく自分の内なる因循さと戦い、進取の気迫を持つことが大切、という。さらに「ゴキブリ亭主」では近頃よわくなってしまった男を嘆く。
「まことの男」では著者は日頃女にサービスする男はダメ男、と考えていたが、最近宗旨を変えた話だ。「男は女にサービスした方がいい。常に女をいたわることを念頭に置くべきである。特に・・・・」ちょっと調子の良い話にも聞こえる。
読み終えて、最近書かれた「90歳、何がめでたい!」を買ってきた。
鋭い切れ味はないように思うが、それでもこの歳にしてよくこれだけのものをまとめたことに感心。構成がうまいしユーモアもある。ただ当然のことながら彼女も私と同様、時代についてゆけず、昔をなつかしみ、現代はけしからんとぼやくのだけれど・・・。
しかしエッセイの基本は自分に正直であること、自分自身をさらけ出すことをいとわないだと思うが、その通りで読むものを納得させる。
「こみあげる憤怒の孤独」では、自転車の若者に危険を感じるが、一方で若者は「自転車の性能がいいからね」「道路がいいからね」「この数年の文明の進歩の目覚ましさは感動的よね。」・・・・何が文明の進歩だ!、感動的だ!と怒る。
「懐旧の春」では花粉症は昔は「春のハナ風邪」と呼んでいた。これが「花粉症」を経て「アレルギー性鼻炎」。著者は去年になってようやく治った。「年を取れば治るらしい。」一方で著者は「完全婆アになったということ」と達観する。
「いちいちうるせい」ではヴァイオリニストの高嶋ちさ子が息子の「ニンテンドー3DS」をまっ二つに折った事件を取り上げ、「私にはよくわかる」と共感する。「親の心得」なぞ正論をぶってもどうにでもなる者でもない、したいようにすればいい。ビーフカツに異物が混入と騒ぐが「らしい」と言うだけで4万枚も破棄するのか、もったいないと嘆く。
「答えはみつからない」ではパソコン入力時に間違って記入され、万引きをしたことにされ、高校に行けず自殺してしまった話。本来あるはずの「情」がなくなってしまったと嘆く。ほかにもいろいろ面白い話があるが省略。
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