1639「エイプリルフール」(4月1日(日)晴れ)
「習近平総書記が脳卒中で倒れて、北京の病院に入ったんですってね。」
3人に話しかけた。二人は「本当、大変なことになったわね。」
更にそのうちの一人は「あんな永久独裁体制なんて敷くからよ。」
しかし「今日は4月1日でしたね。」というと、二人とも怒り出した。そして
「最近はエイプリルフールは流行らないのよ。」
一人だけは「嘘でしょう。」と見破った。「習近平はあんなに元気!」
毎日短い中国語の日記をスマホに打ち込んでいる。今日は日本訳でこんな風に書いた。
「3月31日私はこの日記を4月1日に書いている。聞くところによると北朝鮮がミサイルを発射し、北海道の風連湖に落ちたそうだ。幸いなことに死傷者は出なかった。CCTV放送によると習近平総書記が卒中で倒れて北京の紫禁城病院に入院したそうだ。噂によるとトランプ大統領は近々奥さんを離縁し、21歳の日本の女性と結婚するそうだ。今日はエイプリルフール。みんな嘘をついてもよいのでしたね。」安倍首相についてはどういう嘘をつくべきであったか。
10年くらい前まで4月1日には必ず嘘を書くようにしていた。
最初に書いた嘘は2003年4月で、通信の50に掲載されている。
「朝起きてみると郵便受けにD公告王室からの手紙。私は15年前私がイギリスに留学していたころ、寄宿先近くの森の中で倒れていた女性を助けた。それがなんとD公国の王女様だった。もちろん二日くらいで彼女は戻っていった。」この間に起こった事件は下敷きに「ローマの休日」。さて手紙には「あのときできた王子が大きくなりました。こちらにいらっしゃいませんか。国賓待遇で迎えます。」私は行くべきか否か・・・・。
そんな話だったが、文末に「ま、今日はApril the first!」と書いたにもかかわらず、友人の一人は真顔で「お前がそんな悪いやつとは知らなかった。見損なった!」と怒った。
調子に乗って翌年はフセイン大統領が日本亡命を打診した話、さらにオサマ・ビン・ラデイン氏は実はもう亡くなっている話、私が歌手としてデビューすることになった話、ダヴィンチのモナリザの贋作の話、パソコンに侵入するひそかに開発されたSuper-Winnyというソフトの話、源氏物語の光源氏は雲隠れした後、実は奥州に行ったのだという話、ウイグルから亡命してきたという娘の話、2070年の私の朝の話、あの世から私の評判を聞く話・・・・・。
まあ、よく次から次へと考えたものだ。ただしみなエープリルフールとは書いておいた。「南の国でリルという名前の猿がフーっ吐息を履き何やら「る、る。・・・・」とつぶやいた、などと言うのもあった。エープ(猿)のリルがフーっで「る」とつぶやけばエープリルフール!
しかし2012年ころでやめにしてしまった。実はこういう嘘話を書くのはなかなか大変で半月くらい前から考えねばならぬ。嘘は本当らしく、そしてみんなの興味をひかねばならぬ。それでいて他人を傷つけたり、実害をもたらしたり、プライバシーを侵したりしてもいけない。
今年は、新聞によると電気自動車で有名なテスラの社長が「とうとうわが社が破産した。」とツイッターでつぶやいたそうだ。株主は大慌て、株価が下がったそうだが、もちろんエープリルフール。こんなことを書いたら「お前のお陰で大損した。」など訴えられかねない!
しかし嘘を書いているうちにその嘘が本当に起こってもおかしくない、と思えてきた。
その後の流れを見ても、フセイン大統領は失脚したし、パソコンに勝手に侵入するソフトは今やおおはやり!、私が歌手としてデビューすることはさすがになかったが、オサマ・ビン・ラデインは亡くなったし、2070年の朝の話で書いた太陽光パネルの普及などは現実となった。
そして変化の速度はますます早くなってゆくように見える。明日のことさえ予測できぬ。
しかし本当を言うと、こういう嘘話は脳を活性化するという意味では、なかなか良いと思う。
人はすでに起こったことは関心がある、それに対する怪しからん、素晴らしい、などの感動もある、しかし将来何が起こるかは何となく無責任なことを言うような気がして書いたり行ったりしないものだ。「ドラえもん」があれだけ人気があるのは、あそこに出てくる荒唐無稽な話だ。ああいうばかばかしいことを想像しているのもよいことではないかと思う。
そこでこのエッセイを読んでくれた読者に一つお願い、大嘘をひとつ考えてくれませんか。ちょうど時期は4月、陽気の良い季節、1年が始まる日、いいじゃありませんか。
え、なんですって、あの山中教授が飲めば50歳若返る薬を発見したのですって?
「肌はつやつや、髪は黒黒、あそこはぴんぴん・・・・。ただし1錠100万円、5回は飲まないと効果が出ない。」・・・買います、買います!
註 ご意見をお待ちしています。
e-mail address agatha@ivory.plala.or.jp
ホームページ http://www4.plala.or.jp/agatha/