1644「「アフタービットコイン」を読んで」(4月26日(木)晴れ)
ビットコインのことがイマイチわからなくて悩んでいた。そんな時この本に書店で出会い、目を通した。著者中島真志氏は、長らく日本銀行に勤務しリサーチ関連の仕事をしていたという。
厚手で読みにくいように見えるが、素人にわかるように本質的に書いておりお勧めである。
ビットコインは「サトシナカモト」と名乗る人物が2008に発表した論文をもとに作成された「仮想通貨」である。ドルや円と言った通常の法定通貨は中央銀行など公的な発行主体が管理し、法的な裏付けにより強制的に支払いに用いることができる。これに対しビットコインは中央に通貨をコントロールする管理主体がいない。みんなで支えている。
ビットコインで困るのは同じデータを使って二度目の支払いを行ったり、偽のデータにより支払いを行う事である。これに対して暗号技術を利用して対応してきた。そしてこの分野で最近「ブロックチェーン」という技術が確立された。これにより不正使用がほとんど不可能になった。
ビットコインには取引の承認に必要なコンピュータ計算を行ったものに一定のビットコインを付与するシステムがある。マイニングと呼ばれるもので「自動的に新たなコインが生成して与えられる。」のである。
また仮想通貨と言えばビットコインと思いがちだが、多くの通貨が存在している。発行元になれば金が儲かるといくつもの企業が始めたからか。イーサリアム、リップル、この前問題を起こしたネム、イオタ・・・・等々。これらはビットコインにリンクした形で価格が決まるようだ。
ビットコインにダーテイなイメージを与えた三つの事件を著者は取り上げている。
闇サイトでその匿名性を利用して違法薬物取引に使われた「シルクロード事件」
大量のビットコインが焼失した「マウントコック事件」、社長が流用したのだった。
コンピュータが乗っ取られた、元に戻してほしければ身代金をビットコインで払え、と要求した「ランサムウエア事件」
ビットコインには発行上限が設けられている。そんなことで投機的動きが始まり価格が急上昇したが上限が近づいている。また(プログラムは)マイニングに対するリワードがだんだん低くなるように設定されており、このままでは業者の撤退が始まりかねない。
ブロックチェーンの仕組みが説明してあるが、やはりちょっとわかりづらく省略。
最近、ビットコインの価格は世界中で当局の監視が厳しくなったり、仮想通貨それ自体を禁止する動きまで出て急落した。1ビットコインが200万以上したものが70万円くらいまで下がった。しかしそこで止まっているようにも見える。
これらの状況から著者はビットコインが金融取引の主流になることはないとする一方で、この過程で開発されたブロックチェーン技術は今後幅広い分野で利用されるだろう、と結論している。ただし法定通貨との変更比率は変わらぬ、国家が中心とった仮想通貨は、これから発展してゆくのではないか、としている。キャッシュレス時代の到来である。
最後に私の感想。プログラムの管理者がいないことは大きな問題点ではないか。マイニングというシステム、規模が大きくなるほど報酬が減るようになっているが、発展させるためにはルールを変えなければならないのだろう。しかしそれを行う権限が誰にもないのではないか。
一方で法定通貨はかって絶対的な価値のある金に交換できた。それが出来なくなっても通貨としての価値を保ちえた。市場で対応する価値の商品と変えてくれたからである。
仮想通貨は、支える者は国家は影を潜め、みんなで支えあっており、ちょっと心もとない。100万円の仮想通貨は、明日は50万円の危険性はある。しかし国家もおなじような危険性はないか。今までこちらの通貨は100万円のものと交換で来た、明日もできそうだ、と人々が考えれば保持し、獲得しようと考えないか。
人々が仮想通貨を法定通貨に換えようとするのは、それが法定通貨と交換する比率が下がると考えるときだろう。しかし大多数がそう予測しなければ下がらぬ。一方でこのシステムでは下がると予測して売っても上がると予測して買う人が必ず出てくるのではないか。
人々が財をためよるのは一種の本能。それが仮想通貨であろうと法定通貨であろうと。そして豊かな社会では明日の生活に困らぬ限り、人々はむやみに元本を割るような売買はしない。
そんな風に考えればビットコインなど仮想通貨は規制強化により、メリットがすこし薄れたが、匿名性が完全に失われたわけではない。個人番号の普及、外国でためた金への課税、タックスヘイブンやマネーロンダリングの暴露など税務当局の規制強化はますます進んでいる。世の中には、ばれれば危ない金が余っている。そういったものの逃げ道、および投機の手段として、これまでのような急上昇は期待できぬが、アングラマネーのような形で残り続けるのではないか。
一応そんな風に考えたが、自分が投資をするかというと・・・・やっぱり迷っている。
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