1646「五木寛之に学ぶ」(55日(土)晴れ)

 

老人がどう感じるかというのは実際に歳をとってみないとわからないのだと思う。

これからの人生、どう考えるか、私なりに悩む。

考えるために私より少し先輩の経験談など読むことに興味を持つ。

・・・・知人はゴールデンウイークに石原慎太郎の「天才」を読んだと書いてきた。私は書店で何となく見つけた五木寛之の本を2冊。「デラシネの時代」、「百歳人世を生きるヒント」

五木寛之 1932年生まれ。終戦時は平城にいたが、ソ連軍進駐の混乱の中では母死去、父とともに幼い弟、妹を連れて38度線を越えて開城(ケソン)に脱出し、1947年に福岡県に引き上げる。

早稲田大学文学部露文科中退。1966年「さらばモスクワ愚連隊」、1969年「青春の門」を書き始める。1972年ころより休筆、活動を繰り返す。浄土真宗に傾倒している様子。

前者は帯に「デラシネという言葉は「故郷を捨てた人々」として否定的に語られてきた。だが社会に根差していた当たり前が日々変わる時代、むしろ私たちに必要なのは自らを「デラシネ」・・・根無し草として社会に漂流する存在・・・・と自覚することではないのか。「大河の一滴」「下山の思想」など時代の中でどう生きるかを考え続けてきた作者が、自らの朝鮮半島の引き上げ体験を引きながら、絶対的なものが融解する時代を生き抜くヒントを提示する」

・・・・敗戦の時、国家の崩壊を身にしみて感じたのは内地より外地にいた人間ではないか。守るべき関東軍に置き去りにされ、棄民として放り出される。しかも当時の日本政府は外地からの引き上げに対してひややか。日本国全体が食糧難でただでさえ大変な時に何百万という日本人が引き上げてきたらどうなるか。こういう時お上のいう事をそのまま信じていたらろくなことにはならぬ。平城に残った者はみな死んで行った。

著者はこの体験を現在のシリア難民たちの映像に重ね合わせる。他人事とは思えぬ。

「イスラム圏がイスラム教の下にまとまってキリスト教やユダヤ教と対立しているのであれば流民は出てこないはず。内部抗争をするから出てくるのだ。日本は戦前天皇教で国家を包み込み、内部対立を抑えてきた。それが明治維新以後のあれほどの急激な進歩を可能にした。」

翻ってこれからの日本はどうまとまってゆけばいいのか・・・・。

・・・私の感想。結局根無し草の覚悟を持ち、国家の庇護があればありがたいと感じることが寛容なのではないか。

後者は年代ごとに分けてそれぞれに著者の思いを述べている。

50台の事始め  人世まっさっかりであるが、「登山」より「下山」が大事との認識を持つべきだ。茂木のり子の「倚りかからず」という詩を引用しているが同感。

「もはや出来合いの思想にはよりかかりたくない、・・・・もはや出来合いの学問にはよりかかりたくない・・・・」その思想の大事な頃。(デラスネの思想に近いのか?)

60代の再起動  59代のイメージを実現化する。群れから離れる覚悟を持たなければいけない。自分の体が大事、正しい呼吸法を身に着けよう。この世代はまた介護も避けて通れぬ問題。自分の生活、肉体、精神まで壊して他者に尽くすことをどう思うか?

70代の黄金期  現役を離れ、手習いをはじめ、学美の楽しさに目覚める。新しいことにも挑戦しよう。倖せの期待値を少し下げるとよい。年代に合わせた食養生。60代を超えたら腹5分、70代なら腹4分・・・・。体験を超える想像力もある。身につけよう。退屈も楽しもう。

80代の自分ファースト  もはや嫌老感を持たれる世代。しかしそこであえて嫌われる勇気をもとう。所詮一人で生まれてきて一人で去ってゆく世の中、死の影を恐れない勇気を持とう。経済問題は悩んだって仕方がない。

国は「人生100年時代構想」など打ち上げている。誰がこれを支えるのか。この世からの退場の仕方も考えよう。一番大事なのは「今日一日を生き延びればいいんだ。」という考え方。

90代の妄想の勧め  記憶は無尽蔵の資産。想像力よりも妄想力を働かせて自分の人生を豊かにしよう。回想世界に遊ぶ至福、歴史はノスタルジーの宝庫、心の渇きをうるおしてくれる郷愁・・・・。見える世界から、見えない世界の住人になる。あの世のこともそろそろ・・・・。

最後に著者「マスコミや政府が言い始めた「人世百年」時代の到来。本来ならば欣喜雀躍してもいいころなのになぜかやれやれという気持ちになってしまう。「今日一日自分の納得するように生きよう」と感じている。取るに足らない小さな一日が。百年続いて私たちを次の世界に運んでくれる・・・・・。

・・・・私は24日に77歳、80歳も近い。黄金の70代は終わり、自分ファーストで生きる80代になるのか。できるだけ長く人に頼らず生きて行ける自分でありたい。

 

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