1647「南北首脳会談と米朝会談」(427日(金)晴れ)

 

また素人の政治蘊蓄。

歴史的な「南北首脳会談」でもちきりである。韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が南北首脳会談を終えた。平和協定の締結を目指すという。ただ朝鮮半島の非核化などは唱えるものの、北朝鮮の核兵器をめぐる話は、トランプ氏と金氏の会談まで先送りした感じだ。

日本の報道は今のところ事実だけを伝えている様子に見える。本当は南北融和がこのまま続いてゆくのか、そして日本に対する影響はどうで、日本としてはどういう行動をとるべきか。

前者については文在寅氏も金正恩氏も、いまのところ戦術でこのように動いているようにも見える。文在寅氏は国内世論、国際世論が指示していることをうけて、過去何度も北朝鮮に騙されていたことに目をつぶり平和を唱えているように見える。

単なる平和推進だけでないことは、一方で朴槿恵前大統領、更にはその前の李明博氏などへの対応を見ても明らかだ。国の首長ともなれば、少なくとも在任期間中その国の歴史を作ってきた人々である。それを否定するという事は自分の過去、言い方を変えれば自分自身を否定するという事だ。彼は前任者がやっていたことを否定して、もっと早く北朝鮮に頭を下げているべきだった、と言いたいのだろう。

一方金正恩氏についていえば、昨日まで核実験にミサイル発射を繰り返し、アメリカを脅していた男である。さらに張沢氏をはじめとする多くの側近を残酷な方法で粛清してきた男である。それがにわかに平和、平和と唱えても簡単に信じられるわけがない。

核兵器の廃棄の進め方については格好の先例がある。リビアは2001年に包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名、2003年にすべての化学・生物・核兵器を放棄と発表した。米英専門家とIAEAが査察入り。2004年に開発関連資材の米国向け搬送が完了した。

ただし、その後カダフィ政権は独裁体制を続けたが、チュニジアやエジプトの革命の影響を受け、2011年に東西対立に基づく内戦が勃発した。国際社会が反カダフィ政権に加担、リビア空爆などが行われた。反政府軍に追われたリビアのカダフィ大佐がその年の10月に拘束、殺害され、42年間続いたカダフィ政権が終焉した。

北朝鮮は、国連安保理が反政府勢力を鎮圧するリビア政権に「軍事制裁」の決議を採択し、英仏を中心に7か国が連合して政府軍を攻撃したことが、カダフィ政権の崩壊を招いたと総括した結果、体制をさらに硬直化させ、核開発に拍車を掛けることになった。

510日)いよいよ米朝会談がたぶんシンガポールで開かれるころになったらしい。

民族のこと、アジアのこと、世界のこと、人はいろいろ考える。しかし一番に考えることは自分、次に自分の周囲のことだ。トップも同じ。

最近の流れを見ると、その先はわからないけれども、南北朝鮮の融和の流れは、次第に消し難いものになってゆくようにも見える。リビアの場合も後戻りはなかった。考えてみれば南北朝鮮などというのは第二次大戦後の米ソ対立の中で38度線を引いて人為的に作り出したものに過ぎない。

金正恩氏は何を考えているのだろうか。

すこし楽観的に考えてみたい。北朝鮮が消滅して金政権がなくなってもいいと考えていないか。しかしカダフィのようになっては困る。体制保障とまではゆかなくても自分たちの将来が保証されなくては困る。せめて統一後の政権は、どちらかがどちらかを飲み込むのではなく、南北が一緒になった政権ができることを期待したい。

問題となるのが核とICBMの破棄。彼らは核実験場は廃棄するとしているが、こちらについてはまだ何も述べていない。この会談以降の話になるのだろう。日本にとって最悪のシナリオはアメリカをターゲットとした長距離ICBMの破棄だけに終わり、経済援助だけはむしり取られるというシナリオ、常に考えておかねばならぬ。

核廃棄で現在問題になっているのが、2015年にオバマ政権下の米、欧州の英仏独ロ、それに中国の6カ国とイランが結んだイラン核合意。これをアメリカが離脱すると表明し、大騒ぎになっている。この条約はイランが核開発を大幅に制限する見返りに米欧が経済制裁を緩和する内容。核不拡散体制(NPT)を維持した成功例として評価される一方、イランが制限付きながら核開発を続けられるため、敵対するイスラエルなどが反対姿勢を示し、オバマ前政権との関係悪化の一因となった。イランが核開発にこだわるのはイスラエルという宿命の敵があり、アメリカが神経をとがらせるのはこの地区に石油があるからだ。

ところが朝鮮半島にはそれがない。それゆえ交渉次第では核のない朝鮮半島が実現する可能性があるのかもしれない。日本としては統一を歓迎しつつも、核が半島から無くなるようになんとしても動くよりほかに手段はない。

 

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