1660「小鴨とカメの命」(6月20日(水)曇り)

 

ラジオ体操に行こうといそいでいたとき男が声をかけてきた。

「公園で小鴨が生まれましたでしょう。ところカメが水の中からかみつき殺してしまうのですよ。小鴨がかわいそうだ、と一部の女性から声が上がったのですよ。カメは皆が夜店などで買ったものの、大きくなって仕方なく池に放したんです。元々は外来種。駆除すべきだ、という事です。調べたところ和田濠公園では「かいぼり」という方法を使って駆除したそうです。一度池の水を抜き、からにしてしまうのです。しかし和田堀公園は東京都の管轄、我々の妙正寺公園は杉並区の管轄、それで署名活動をして陳情することにしたのです。」

公園の鴨は冬になるとずいぶん増える。シベリアあたりから沢山の鴨が渡ってくる。良くは知らぬがオナガガモなどのような少し大きいものが多い。彼らは春になると飛びまた北に飛び立ってゆく。パートナーを見つけ子を作る作業は向こうで行うらしい。しかし春になると公園には小鴨がぞくぞくできる。カルガモの子である。この鴨は居鳥というこらしくほとんど渡りをしない。それが子づくりを始めるのである。「カルガモはマガモの一種であるが、日本のそれはアヒルとの種間雑種が多い。狩猟の対象で本来は人を恐れるはずだが、だんだん恐れなくなってきた。」などとどこかに書いてあった。

しかし妙正寺公園の場合ほとんど育たない。特に孵化して間もないころが一番危ない。このころの鴨は前に行く事しか知らぬ。空からはカラス、丘からは猫が狙う。そして水の中からはこのカメが狙うわけである。カメが小鴨を食うかどうかは知らぬが確実に狙う。

しかし「かいぼり」をしたら、カメはどうなるのだろうと考えた。カメもなかなか愛嬌がある。カメは池のまわりによじ登り、わずかの草地に卵を産む。よく観光旅行で見るウミガメの産卵と全く同じである。後ろ脚で懸命に土を掘りその中に卵を一つ一つ生む。

カメについて次のようなブログ

「日本でもっともペットとして愛好されているカメ、ミドリガメ。正式な名称はミシシッピアカミミガメで、北米原産の淡水カメです。実は、この「ミドリガメ」が現在、日本国内で侵略的な外来種として問題視されています。今年の春、環境省が国内全国で野生化しているミシシッピアカミミガメの個体数は790万匹に登るとする推定値を発表しました。この数が多いのか少ないのかすぐにはピンとは来ませんが、在来種のニホンイシガメ野生個体の推定値が100万匹とされるので、圧倒的にアカミミガメが多勢を占めていることが分かります。この数値からも、アカミミガメがほかのカメや動物たちの餌や住処を奪って、在来の生態系に悪影響を及ぼしているのではないかと、爬虫類学者や生態学者は懸念しています。」

全国的に問題となっているのは鴨の子供ではなく、ニホンイシガメの根拠地を奪っているとのことのようだ。かいぼりをやれば結局このカメをなにかの方法で殺してしまうのだろう。鴨もカメも同じ生き物ではないか。カメはあとから来たというが鴨だって同じではないか。

私は昭和22年からこの地に住んでいる。そのころこの池は半分田んぼで鮒と蛙の天下であった。良く追いかけたものである。蛙はずいぶん勢力が少なくなった。よせばいいのに道路にまで出るものだから車に敷かれてぺちゃんこになったやつをよく見かける。鮒はその後増えた鯉に皆食われてしまったか。そういえば昔いたというカワセミを見かけぬ。あれは木の枝にとまり、水の中をじっと見つめている。そして餌を見つけるとさっと飛び込み長いくちばしで捕獲する。小魚を狙った鵜もほとんど見かけぬ。自然の摂理、環境が変われば生きる生物も変わっていっていい。そう考えれば何も小鴨だけ保護する必要はないではないか、と考えたくなる。

「せっかくだがカメも殺したくないので署名しません。」と言ったら男は「そういう考え方の方もいらっしゃるようです。」と去っていった。

そもそもこの問題に在来種、外来種の観念を持ち込むのはおかしい。日経記事によれば外来種の問題は三つ、@日本に元々ある生き物を食べる。Aヒアリのように人を刺すなどの害を及ぼす。B農作物に被害 という。このカメの場合には、ニホンイシガメが滅ぶという観点でとらえるなら問題だが、カルガモ対策ならどれにも当てはまらぬ。さらにそもそも渡り鳥は在来種なのか、外来種なのか?そんな疑問もわいてくる。

どうしてカルガモがかわいそうだ、というのであれば鴨の方を移せばいい、という考えはどうか。

実は池から川に水が流れ出る暗渠のようなものがある。大雨の時にここから川に流れだしたカルガモ親子がいた。川にカメはいないらしく、「七羽、みんなすくすく育っている。」と洋服屋のおやじが嬉しそうに言っていた。また井草の森公園というものが近くにある。そこはまだ数年前に公開したばかりで池もその時造った。そちらもカルガモの子はみな正常に育っているようだ。

 

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