1682「台風の朝、小学校のころ」(94()曇り、風強い)

 

「今世紀最大の」・・・・まあ、マスコミは大げさな言葉を考えるものだ。そんな台風が四国、更に岡山に上陸、足早に駆け抜けてゆく。

今回の台風はその影響範囲が大きいのが特色の様で、東京も時折強い風が吹き、雨が降る。

私の傘はいつの間にか500円傘になっていたが、ガールフレンドのAさんに勧められて少し高級な傘、上品な色合い、骨の数が多いし、おちょこになっても壊れない。しかしその分おちょこになりやすく町中で何度もおちょこになった。

それにしてもこれだけ文明が進んでも人間は自然災害ばかりはコントロールできぬことに驚く。台風の進路を変えて、中国か韓国にでも送ってしまえば無理にしても、いまだに川の決壊に、地滑り、家の倒壊にそれらによる人命の損失・・・・・。今年はひどく台風が多い。災害の歳とでも名付けるべきか。

昔は台風の去った朝歩くのが好きだった。近くの家の栗の木が栗を落としていた。それを拾ってきた。いつかが300円拾ったことがある。100円札が3枚、道路にベロンと落ちていた。拾って帰ってそれを警察にもっていったか、どうかよく覚えていない。それ以来そういう時は道路を見ながら歩くが幸運に巡り合ったことはない。つい最近は側溝の蓋が何か所か乱れていることに気が付いた。大半は乱れていない。あれはきっと大雨で側溝があふれた。セメントや鉄で出来ている蓋は動かなかったが、いくつかはプラスチック製、それが浮いたに違いない。

今日は朝少し遅れてしまったので、ラジオ体操に行かず、私の小学校まで歩いてみた。

私は小学校に23年の4月に入学した。桃井第5小学校。

授業は2部制、教科書が不足、私はくじ引きではずれてしまった。すると父親が先生から借りて一晩でそれを書き写してくれた。あの教科書はたぶんまだ物置のどこかにあるはずだ。それを布製の粗末な肩掛けカバンに入れて通った。

小学校までは、今日歩いてみたところでは2000歩くらいだから、1,3キロくらいであろうか。子供にはそれなりの道のりであった。もっと息子の嫁は、実家が伊豆の松崎近くで子供の時は5キロ歩いて学校に通ったというからそれに比べれば大したことはない。

その頃は家がぽつり、ポツリで畑と田んぼばかりであった。井草川と言うのであろうか、小さな川が流れていた。学校の帰り、こらえきれなくなって川辺で野糞をしたことも思い出す。

その果てに妙正寺池があった。ザリガニやメダカ、春にはオタマジャクシが泳いでいた。田んぼにはイナゴがいた。幼稚園の時の遠足がどこかの田んぼにイナゴを取りに行った。一升瓶を持参してそれ一杯にイナゴを取っていたおじさんがいて羨ましかった。

今では住宅が、それこそ立錐の余地もないほどに立ち並ぶ。道路はきちんと舗装され、妙正寺池は立派な公園になり、ラジオ体操で通っている。公園の鴨の子を亀が襲うから、駆除しろ、と言う運動を起こしているグループがいたが、何か違和感を感じる。川はみな暗渠になり川辺まで住宅群。最も川は川で道路ではないから、どこかに道路があるのだろうが・・・。

小学校4年生の時に近くに四宮小学校ができて転校した。私はアルバムが多くなりすぎるので、数年前写真を全部パソコンに取り込んだ。そのころ私の父のように趣味であった人をのぞけば、まだ写真は何か行事のある時に撮るくらい。それゆえ少ないが、転校したときの集合写真が残っている。全体250人位いるだろうか。よく一枚の写真に収めたものだ。判別しがたいが、スカイラーク生徒は女子はおかっぱ頭にスカート、男子は坊主か坊ちゃん狩り、父兄は母親が多いが和服が目立つ・・・・そんな時代であった。2年生の時に一時期変わったが、私はほとんど6年mと言う先生が担任であった。格好いい先生であったが、父兄の中には悪く言う人もいた。分からぬ。しかしその先生も数年前にパーキンソン病で他界された。

帰り道別のルートを通って戻る。中学校同期であった女性が3人も住んでいた。一人はクラス会を開くとき、私のパートナーでよくやってくれたけれども20年くらい前に亡くなった。残り二人のうち一人は先日の同期会に現れ、未だテニスをやっているとか言っていた。上品なおばあさんになっていた。もう一人は体調を崩したという事であった。3人の住んでいたあたりもすっかり変わり、他人の家が立ち並ぶ。方丈記の冒頭を思い出す。

あれこれ思いめぐらして甘美な世界に浸る。時代は流れる。過去の波のかなたにみんな押しやられてゆく。いつの間にか家の近くまで戻ってきた。何も拾わなかった。雨は降らぬが風はそれなりに強い。コンビニ喫茶によりコーヒーでも飲もうと思ったがやめにした。便利な世の中になったものだ。しかしこれが良いのか、悪いのか・・・・。

後記 6日、今度は北海道で大地震。日本はどうなってしまうのだろう。

 

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