1701「一粒の麦」(11月20日(火)晴れ)
今日はわが母校の高校同期会。何と高級。新宿のハイヤットリージェンシー20階のスカイルーム。
新宿にはいやっとと名の付くホテルは三つもある。おかげでまよってしまった。
会費はお手頃で7000円、何でも幹事の女性の中に関係者がいて特別に安くしてくれたとか。
もっともそれでも仲間内のメールに少し変わった男の投書。
「年金生活者、納豆と豆腐しか食えぬこのオレに高級ホテルでパーテイ、行けぬ。」
しかし私たちは知っている。彼は確か高校の教師をしていたはずだ。そんなに金がないわけではない。絵描きであるからそちらの方に金を使い、こちらは回らぬという事か。
まことに人は金の稼ぎ方、ため方はよく研究する。しかしためた後、どう使うか、学ぶ機会は少ないようだ。脇から考えるとずいぶん滑稽な使い方をするのだが・・・・・・・・。
同窓会は2年ぶり。最初にこの2年に亡くなった者たちの紹介があり、黙とうをした。10名。全員が男子である。平均寿命の違いがはっきり出ている。年取って一番寂しいこと・・・・自分と同年代の友が少なくなってゆくこと。年を取るという事は‥‥とってみなければ結局わからぬ。旅行でいつも一緒に行った男、小学校のころから知っていた卓球のうまい男、古文書が読みたいといった男等々。
学校時代の仲間というのはどうしてこううれしいのだろう。多分、お互いに利害関係がないからではないか。企業に勤めるもの同士の関係は、心の奥底ではずいぶん冷たいように感じる。松本清張の短編であったろうか。「多面体のあなた」というタイトルの作品があった。内容は忘れたが、人はいろいろな側面を持っている、そして人が邂逅するとき、ほんのその一部だけを見せて接触する、という事を事件を通して教える。そして邂逅するときに常に自分の役割、というものを考えている。人が分かり合えるためには、全部とは言わなくてもかなりさらけださねばできぬ。
学校時代の友人と言えどもそこまではゆかぬが、少なくとも一部を除く会社時代の知り合いより共通の物を感じられるから気楽になれるのかもしれぬ。
私たちの高校は男子300、女子100人であった。最近医、医大の入学試験でそっと男子有利に採点している、けしからん、という情報がある。最初から男子何人、女子何人と分けて募集すればいいのにと思うのだが・・・・。話が横にそれたが、こんな高校では女子は貴重品、持てる。今日も昔はきれいであった?女性を中心に会話が盛り上がっている・・・・。「いつになっても男と女は同じ関係だね。」「それがなければ世の中、意味がない。」と誰かとの会話。
だんだん何をするにも億劫に感じる。一日一つの予定はあるとそれで満足する。二つ以上になると大変と感じる。それでいて何もないと寂しく感じたりする。孫や友達と同じ。人間というやつは勝手なものだと思う。こういう会に出席することも自分にとっては一日一つの予定。
ある人の話。「人のことを考えるより自分のことを考えろ。」これは今の私たちに当てはまるか。
若い時はエネルギーが余っている。自分は一介の学生に過ぎないのに、天下国家を考え、革命など言い出す。すこし年を取ると自分とその周囲のことを考えだす。しかしさらに年をとるとそういったことすら面倒になる。それがある人が言っている段階。もう少し進むと自分のことすら面倒を見られぬ年齢になるのかもしれぬ。
高級ホテルであろうと7000円であろうとこんな会を企画してくれた幹事に私は感謝する。実は私周辺にもそろそろ手じまいの雰囲気にある会がある。自分が中心でやればいいのだが、そこまでの情熱もない。
そういえばそろそろ年賀状の季節。あちらも毎年減ってきている。最近どこかに年賀状をやめにする動きが出ているとも聞いた。世の流れかもしれぬ。
最後に学友歌。高校の数学の先生をやっていたa君が元気に指揮していた。
「地に落ちよ、一粒の麦、実れ、わが命の枝に、知恵のブドウの房一つ。」
作詞者はキリスト教系であったのだろうか。それはともかく私たちは知恵のブドウの房になりえたか?
2次会が一階下で企画されているらしい。私は出席を予定していたがやめにした。酒が弱くなって寝てばかりいるような状態になることを恐れた。体力の限界か。
ガラス張りの外が見えるエレベータ。見下ろすと、忙し気に車や人が行き来している。
みなどんなことを考え、どんな目的で忙しく動き、最後はどうなるのだろう。
追記 11月23日。b君の話。cという男を知っているか。あいつが一番元気に見えた。前は暗かったがカミサンと別れて少し元気になった。それが同期会の時には24歳も年下の彼女を得た、まだ夜も大丈夫だ、と豪語していた。・・・・羨ましいというべきか。加油!
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