1702「ゴーン氏…普通の人間かも」(1124日(日)晴れ)

 

最近事件が起きると、その渦中にあった人物がどうであったか考えてみたくなる。栄枯盛衰あろうと動かすのはしょせん我らと同じ人間・・・・・。

以下いろいろな報道を引用しながらまとめてみる・・・・。

日産は1980年代「90年代までに技術世界一を目指す」の旗印のもと「901活動」が行われ、次々新しい車種を開発し、特に技術力で存在感を示していた。しかしそれらが陳腐化し、継続的な販売不振により、2兆円あまりの有利子債務を抱え倒産寸前の経営状態となった。

1999年にフランスの自動車メーカー、ルノーと資本提携し、同社の傘下に入り経営を立て直すことになった。契約内容はルノーが邦貨にして6430億円を出資し、日産自動車の株式36.8%、および日産ディーゼル工業の株式22.5%を取得するとともに、日産自動車の欧州における販売金融会社も取得すると言うものだった。そして日産の経営再建のために送り込まれてきたのがゴーン氏だった。

日産は縦割り組織の弊害から、開発、生産、購買、販売といった主要部門が「車が売れないのは技術が悪いから、いやコストが高くて営業力がないから」と責任をなすり付け合ってきた。そのために改革の意思決定と実行が遅れた。

来日したゴーン氏がまず取り組んだのがクロスファンクショナル(CFT)チームの設置だった。日本語に訳すと機能横断チームとなる。若手課長クラスが中心。彼らは「リバイバルプラン」をわずか4カ月で完成させた。

「リバイバルプラン」に従い、村山工場(東京都東村山市)や日産車体京都工場(京都府宇治市)など5工場閉鎖、グループ従業員の14%に当たる21000人の削減、コストの6割を占める部品調達では購入先を1415社から600社へ絞り込むなど次々行った。航空宇宙部門など本業以外の事業の売却、メインバンクとの株式持ち合いも解消等々、その規模や大胆さ、波及効果の大きさからどれもセンセーショナルなものだった。ゴーン氏は「コストカッター」の異名をとるようになった。

次にゴーン氏が定着させたのは「コミットメント(必達目標)」という概念だった。言ってしまえば、ノルマ、20013月期までの黒字化、20033月期までに営業利益率4.5%の達成と有利子負債の50%削減等々。ゴーン氏は「黒字化できなかったら責任を取って退任する」と宣言した。

そして 20013月期決算の通期業績見通しで当期純利益が過去最高の2500億円になると発表した。過去最高益の要因は北米での販売増やコスト削減による効果だった。倒産寸前だった会社がわずか2年後に最高益をひねり出すとは驚き以外の何物でもなかった。

カルロス・ゴーン氏、1954年生まれ、レバノン人であるが幼少期をブラジルで過ごし、今でもブラジル人の国籍を持つ。78年国立高等鉱業学校卒、同年ミシュラン入社、85-89年ブラジルミシュラン社長等、1996年ルノーに入社。上級副社長。そして1999年日産自動車最高執行責任者、2000年同社社長。私的には64歳、レバノン人で前夫人リタ・ゴーンさんとの間に一男三女をもうけるが離婚、キャロル・ナハスさんという女性と再婚、彼女は現在52歳前後とか。港区元麻布の超高級マンションに住む。その人柄について、普通の人という評価がある一方、出世意欲の格段に強い人、友人がいない、などともあった。また語学が非常に堪能であったという。

日産の改革成功は別の見方をすれば、日産側はなんとか会社の危機を救わねばならぬ、という思いが強かった。ゴーン氏自身もなんとかすることが自分の役割であった。両者の考えが一致し、必死の努力をした結果成功した。しかしその後日産は業績を伸ばす一方、ルノー本体はそれほどでもなかった。逆転!最近では日産はルノーの2倍を売り上げ、業績好調、一方ルノーは日産の配当が会社の利益の半分を占め、人の数だけは日産をはるかにしのぐとか・・・・。

こんな中でフランス政府まで後押しするルノー側の要請を受けて、ゴーン氏は日産の業績よりもルノーとの経営統合に軸足移したようだ。ルノーから派遣された彼の立場からすれば当然かもしれぬ。日産は皆に任せておけばいい、と出社日数も減ったとか。しかし日産の社員にとってみればたまったものではない。「売上半分の会社の子会社になるのか。」などの声が出ても不思議ではない。ゴーン氏の告発はもうこの春からひそかに進められていたそうだ。内容は会社組織を使った所得の過少申告、海外住居など会社に作らせた自己目的で使った、家族にかかる費用を会社に払わせたなど・・・。フランス側の取締役まで「これはひどい。」と言ったとか。

しかしゴーン氏は、優秀で努力家のごく普通の人ではなかったかとも思う。ただあまり他人の痛みは理解できないタイプであったか。来日当時46歳か。セブンイレブンと呼ばれたそうだ。7時に出社し、夜の11時に帰るからだ。それほど仕事熱心であったのだ。会社を成功させ、その頂点に立つとなれば少しはおごりも出て来よう。ただ額が大きいので世間は驚いているが・・・・。

今後どのようになるか。分からぬ。ルノーと日産の関係が元に戻るとは思えぬ。しかし契約は時と共に改訂されており、ルノーは現在日産の43%の議決権のある株式を持つ。取締役の選任等簡単にはことが収まるまい。

最後に友人のいった言葉が頭に残る「日本人はどうも外部から言われぬと改革ができぬ。明治維新も戦後の復興もそうであった。」

 

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