1725「可愛ちゃんへお説教」(37日(木)雨のち曇りのちまた雨)

 

可愛ちゃん、今日はありがとう。

君がアレンジしてくれたおかげで、君と二人で話ができるってとてもうれしい。

今回、みんなで会食する件は、お父さんの都合でうまくゆかなかったけれど、いろいろ苦労してくれてありがとう。でもおじいちゃんは思うのだよ。君にとっていい経験だ。君が社会に出る、結婚する等のおり、人間関係を考えて調整しなければならぬ機会は多いと思う。

23歳だったね。ずいぶんきれいになったね。もう少しで薬学部を卒業し、社会に出るのだね。結婚するかもしれない。人生の一番いい時だよ。でも薬学のことは学んだが、まだ君は社会のことをよく知らない、私に言わせれば半人前と思う。これから学んでゆくのだけれど、困ったことに人生はやり直しのきかない出たとこ勝負、そこを何とかうまく乗り切ってゆく方法を、おじいちゃんなりに語ってみたい。

まず今まで自分を育ててくれたのはお父さん、お母さんとその周囲の人であることを忘れてはいけない。家族のことをまず考える、というのは実は欧米でも同じようだ。いつかスイス人の若い女性に「あなたにとって一番大事なものは何か。」と聞いたところ「私の家庭だ。」と言われてびっくりした。

次に今日は二人だけの会食、まずは会というものの本質を考えてみたい。

おしゃべりする会は3人以上5.6人くらいまでがいい。会話は二人の間を行き来する。1時間二人で会を開けば二人の会話が1時間。しかし3人で開けばAとB、BとC、CとAであるから、三分の一つまり20分だ。4人で開けば同じように考えて10分だ。人数が増えれば、特定の二人と話す機会はどんどん減る。しかし話題は、人が増えればどんどん増えて飽きることがない。人の意見をまとめたりする場合はもっと人数が多くてもいいのかもしれない。

ついでに、話題を提供することも大事だけれど、それ以上に大事なのがまず聞き役になることだ。聞いて相手の話の根本を理解し、それから自分の考えをまとめるのだ。よく一言二言聞くと、すぐにああだ、こうだという人がいるけれど、感心しない。また発言は明瞭にわかりやすく。思うことを相手に正しく伝えるっていうのは難しい。この点は書く時も同じだ。人に示す文章はよく吟味してから出すこと。

じっくり相手の話を聞き、自分の話を聞いてもらうには断然二人、しかしこの機会は家族の間でも社会でも案外ないものなだ。正月に集まっても騒ぐだけだ。そういう点今日はうれしい。

さらにお説教を続ける。わかっていると思うが、君がこれから社会に出、結婚してゆくために一番大事なことは、しっかりした自分であると同時に、周りに対する配慮、だよ。

例えば、結婚をするとき、よく「私はどのくらい幸せになれるか。」と考える人が多いけれど、「相手をどのくらい幸せにしてあげられるか。」と考えることも大切だ。

人は褒めるのがいい。褒められればうれしくなり、やる気が出てくる。たいていの人は自分が思っているほど世間に重要でも利口でもない、しかしそれなりに重要なのだ。だから亭主のほめ、いいところを伸ばすようにしてあげる、そして亭主の及ばぬところをバックアップしてあげる。

みんないい点も悪い点も持っているから、良い点を見つけるようにしよう。また自慢話は嫌われやすい、失敗談は相手の共感を得やすいということも心に留めておくといい。

少し具体的な話をしよう。人と待ち合わせるときに早めにゆくべきだ、ということを教えてくれたのは、塩月のおじいちゃん(亡妻の父)。亡くなったお母さんと結婚したころ、よくゴルフなどに誘ってくれた。社会では大先輩、費用はほとんど向こうもち、それなのに私はよく待たせてしまった。

塩月のおじいちゃんといえばもう一つ、塩月のおじいちゃんはお母さんの葬儀が終わったと私に言った。「あなたはまだ若いのだから、別の人を見つけなさい。」・・・・・・あれで元気づけられた。でも娘を失った身で、なかなか言えることではないね。相手の立場に立って物を考える、という姿勢はすごく大事だ。今回の調整なんかもそうだね。

感謝の気持ちを忘れてはいけない。これも重要だ。人からプレゼントをもらう、おごってもらう・・・・・実はそうしてもらう方も、注意が必要。まず相手の好意に対して感謝しなければいけない。ありがとうと言い、次に会うときには、もらったものを身に着けてゆくくらいにしたほうがいい。よくあっちのほうがいいだの、もう少したくさんほしいだの、余計なことは言う人がいるが失格!

70年以上生きて、人間はみな本質的には同じだ、と感じた。首相だって大科学者だって代議士だって、本質の部分で自分と同じ人間、それゆえに恐れることはない。

しかし同じであるのに違うのだ。人間の格というものかもしれない。会社で同じ課の先輩と仕事をして、嫌われた。向こうは私と同様ヒラではないか、上司も私に負けるな、くらいのことを言った。だから同じと考えたが、間違っている。先輩であり、向こうを立てなければならないのは当然だったのだ。

だいぶ書いたけれど、一言でいえば「謙虚に学び、自分を変えてゆく・・・。」この姿勢が・君が社会で受け入れてもらうために一番大切なところだ。おじいちゃん自身の反省も込めて、君に送る。

(以上個人名は仮名)

 

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