1745「78歳、敦煌へ行く」(7月6日(土)曇り)
中国は結構行ったが、西安だけは行ったことがなかった。昔の長安。もう78歳、今のうちに行かぬともう行けなくなる、そういう焦りもあった。幸い弟が一緒に行ってくれることになったので決心した。西遊旅行社、秘境を得意とする中堅旅行会社のパック旅行。
6月22日朝、私は弟と一緒に成田をたち上海に向かった。上海で皆と合流、一行は関東から9人、関西から6人、それに添乗員であった。一行の中で私が最年長であったが、全体的に年配者ばかり。カップルが4組もいた。もう一つ、みな海外旅行経験豊富な人ばかり、コースについても映画「敦煌」を見たり、NHKで放送されたシルクロードを見ているなど事前知識豊富であった。
上海から蘭州に飛び、夜9時ころ現地ガイド李氏の案内でホテルに着いた。
翌日からバスに乗り、河西回廊の旅が始まる。どの町も少なくとも駅前には高層ビルが建ち、ひどく発展していることに驚く。
張掖という町での話。公園で老人が大きな筆を用い、コンクリートの地面に水で見事な字を書いている。隷書スタイルだ。やってみろ、というから、書道を習っているものとして見過ごせぬ。愛という字を書いた。お世辞にもうまくない!しかしあの長い筆は案外に書きやすいように感じた。
東京に戻ってから書道具屋に行きその長い筆を探した。安い物で一本4万円、高いものは16万円と聞き、びっくりした。またこの公園では歩行や屈伸などが遊びながらできる老人用体育器具が設置され、老人が利用していた。遊園地を子供ばかりでなく、老人の健康増進のために使う、というのは良いアイデアかもしれぬ。
皆についてゆくために、七彩山に登る頃からストックを持参した。七彩山、はげ山の連続だが、構成する地層のせいで、赤白青など多彩な色の縞模様を作っている。雨上がりは特にきれいなそうだ。バスで4か所巡り、降りたところからそれぞれ数十段の階段をのぼって展望台に行く。
履物は何よりも掃きなれた靴を勧める。私はラジオ体操に使う運動靴で通したが、中には地下足袋まがいで参加したものもいた。ストックは特に足に自信のない人に勧める。
嘉陽関は明の時代に、元民族を追い出すために作られた関所。この辺が万里の長城の果てらしい。
大したところでなかったらしいが、最近観光用にすっかり整備した。屋上を歩いていると女の子たちに囲まれた。聞くと11歳、小学校4年生、玉門関から来たという。彼らにしてみれば「日本人とかいう奇天烈なものがきている。」という事か。このように中国人自体があっちこっち動き、観光産業が盛り上がっている様子。平和だ。
4日目にようやく敦煌市、敦煌山荘という素晴らしいホテルに到着。
翌日莫高窟を見学、洞窟内にある多くの仏像、菩薩像、あるいは壁画に感動した。
45窟が特に人気があり、ここを見るためになんと入場料と別に200元払え、という。釈迦が真ん中、左右にアーナンダと摩訶迦葉を従えている。その外側に菩薩2体、さらに外側に二天王を従え、合計7体。このうち菩薩二体が豊満で色気があり、皆が見たがる、それでこれだけ特別料金という事らしい。オイロケ大好きは世界共通?
鳴沙山は敦煌山荘正面にあり、砂丘のような広大な砂漠。空からの観光、ラクダ観光、砂山登りなどみなそれぞれに楽しんでいる。その隅に月牙山というお寺風の建物と池のある昔のオアシスがある。元気な弟は砂山登りだが、私はそこを観光した。ここにまで「一帯一路」と書かれた岩がある。宣伝は徹底している!
敦煌最後の日は異民族の侵入を防ぐために作られた陽関、玉門関を観光した。私は同行者と共に陽関で砂漠に向かって王維の「元二の安西に使いするを送る」、王翰の「涼州詩」を吟じた。玉門関でも王之漢の「涼州詩」涼州詩を吟じたい、と考えていたが、機会がなかった。また漢時代は観光した場所に玉門関があったが、唐代のものはずっと手前にあったということだ。またこの詩は冒頭に「黄河遠く登る」とあるが、黄河は全く別のところを流れているとのこと。
7日目は列車で24時間かけて西安に戻った。昔の長安。1000万都市。今まで通過してきた街もそれなりに賑わっていたが西安はけた違い。迷子にならぬようにせねばならぬ。
秦の始皇帝の作った兵馬俑を観光した。1m85もあるという巨大な兵士群に感激するが、ここはまだ修復中、掘っていないところなど多いらしい。あの報道で見る兵士像は地下で壊れて埋まっていたものを拾い集め、復元したものとか。
西安と言えばもう一つ、大雁塔に行った。30年くらい前に来たことがあるという夫婦が「昔は何もなかった。」という。今ではいくつもの堂宇や玄奘三蔵像がつくられている。習字の手本である褚遂良の大唐西域記序の碑文を探し当てたが、何回も拓本がとられたためか、摩滅して、ほとんど解読できないほどであった。
以上だが、最大の成果は、怪我することもなく無事に帰ってこられたことかもしれない。
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