1763 「あなたはどのお墓に入りますか。」(11月6日(水)晴れ)
クラス会の幹事などやっていると、悲しいことに訃報が次々届く。
一部の者は終活の準備をしたり、老人ホーム探しを始めているとの報も届く。
そうなると、自分自身の死についてもいろいろ考え出す。
墓の問題もその一つだ。自分自身死後自分をどうするか。私の父は3男であった。実家はあの広島の原爆で全滅した。結局父は杉並に居を構え、所沢に自分の墓を作った。私は長男であるから父親の墓に入るのが順当だろう。しかしほかの考えがあるのかもしれぬ。また私の子達、孫たち、弟やその家族、はどの墓に入るつもりか?自分で作る気でいるのだろうか。
少しウエブサイトを引きながら墓を考えてみる。
墓を設けるのは人類共通の習慣ではなく、これを用いない民族・文化も多い。インドやインドネシアのヒンドウー教においては、遺体を火葬した後に遺灰と遺骨を川もしくは海に流し、またはガンジス川に遺体そのものを流して水葬にし、墓を設けない。また墓を建てても、子孫らがそれに継続的に参拝することは必ずしもイコールではない。キリスト教徒も、かつては教会内部に死者を納め、最後の審判時に復活することを待った。
墓に石塔ができてきたのは仏教の影響と関係の強い近世の江戸時代あたりからであり、それ以前は遺体は燃やされずに埋葬され、石塔もなかった(「遺体・埋葬・非建立」型)。また、浄土真宗地域および日本海側では、伝統的に火葬が行われ、石塔は建立されなかった(遺骨・埋葬/非埋葬・非建立型)。第二次世界大戦前までは、自分の所有地の一角や、隣組などで墓を建てるケースも多かったが、戦後は、基本的に「○○霊園」などの名前が付いた、地方自治体による大規模な公園墓地以外は、寺院や教会が保有・管理しているものが多い。都市部では墓地用地の不足により、霊廟や納骨堂内のロッカーに骨壺を安置した形の、いわゆるマンション式が登場している。
墓を守るのはお寺であった。しかしその寺院の経営がひどく苦しくなっているという話を聞く。半分以上年収300万以下というような記事をどこかで読んだ。檀家制度がほとんど壊滅し、葬儀や死者の供養もすたれてゆく中、本来の収入は減り続けているのだろう。仏教、もう少し広く言えば宗教自体の意義が薄れてゆく世の中。一方で観光や不動産業の経営などにより裕福な寺があることも事実。
このような状況の中で改めて墓の意義を考えると、墓は個人の眠る場所であると同時に、家全体の象徴であるという側面が強いと思う。来世を信じ、先祖を敬うという習慣はこの家制度の維持を目的とした部分が強い。大体は長男が先祖の墓を受け継ぎ、次男以下は外に出自分の家を興す、それゆえ別に墓を設ける。女性は嫁ぎ先の家に属し、そこの墓に入るというシステムで会った。
しかし戦後は家父長制度そのものが廃止された。平等が叫ばれ、遺産相続は生きている者の間で平等に行われることが原則になった。家という概念が否定された。私のご先祖は父母、その上はその父母で4家、その上も同じで8家で無限に広がり、誰が誰やらわからぬ。かって守ろうとしたものは家全体の関係であったが、今は極論すれば夫婦と親子しかない。兄弟も爺さんばあさんも、孫も無関係な個人として存在すると考えた方がいいのかもしれぬ。
哺乳動物にも夫婦と親子の関係は大体維持されている。子は親がいなければ生きていけない、生きがいという者があるのかどうか知らないが、食うこと以外に使命として残されているのは子を作る事だ。そう考えれば家制度が壊れて動物本来の考え方が重視される等になったということか。
ビルの中に納骨堂を作り、本当に小さな仏壇を段知識に入れてしまう。あその仏壇が必要な時だけ、つまり拝む時だけ、所定の場所に出てくる。親子、夫婦だけの間の墓ならこれでもいいのかもしれぬ。親子関係、夫婦関係は消滅してゆくとき、墓そのものがなくなっていく。永代供養などははやらぬ。
樹木葬や灰にして海にまいてくれという者がいる。あれはこの親子、夫婦の関係すら拒絶してこの世から消えてゆきたいという願望なのか。ひょっとしたら私自身にも、町にある納骨堂や灰にするような選択枝があるのかもしれぬ。
この世に生を受け、自分流で楽しみ、後も先も知らぬ。それが現代流なのかもしれぬ。哺乳動物と同じ流儀だ。しかしまだ古い要素の残っている私には少々寂しく感じられる。
最後に、家という概念がなくなると、特に女性は自分の墓をどう考えればいいのだろう。私にはガールフレンドがいる。彼女は夫に死別した。すると夫の家の墓に入れぬ、実家の墓にはすでに一度嫁に出たものであるから入れぬ・・・・・どういうことになるのだろう。
また別の女性は、あまりそりの良くなかった夫が亡くなった時小さな墓地を買い墓を作った。しかし彼女は葬儀が終わった後「私はあの墓には入らぬ。」と叫んでいた。このように最近では「夫の墓には入りたくない。」という女性もいると聞く。
時々、みんなに聞いてみたくなる。「あなたは死後どこの墓に入るつもりですか?」
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