「今日は、高等学校同期のザックの会で南アルプス、魅力の入笠山高原ハイキング。
6時34分八王子発松本行きで、小淵沢より向こうの富士見まで延々3時間。
参加者は17人。たまたまこちらに別荘を持つA君も参加。
タクシーで分散して大阿原湿原で集合し、湿原の中を散策。
昼ごろ、戻ってきて今度は入笠山に上る。30分かそこらのきつくはないのぼりである。一方に八ヶ岳などアルプスの山々、反対に秩父連山。
頂上で昼食。昔懐かしい歌など歌った後、少し下り、後は一気にゴンドラで下山。
近くの水神の湯でくつろぐ。
帰りに特急券をケチり普通電車で帰ったから、我が家には夜10時前・・・・・。」
と事実だけをならべれば今日の日記はこのようになる。そしてこれに雑談やらエピソードを入れると記録になる・・・・・。
しかし今日のコースは山の草花がことのほか美しかった。湿原にも山にもゴンドラ駅から温泉までの道にも色とりどりの変わった形の花が咲いていた。入笠山が1955メートルというからほとんど高山植物あるいはそれに近いもののようだ。
湿原の奥でまずクリンソウを見つけた。誰かが「プリン草」といったように聞こえたから「フリン草」(この名前ならもっと興味がわいた?)と聞き返したら、Bさんが「クリンソウ」と言い返してくれた。サクラソウ科の花で山地や亜高山帯の湿地に生育する。丈40-80センチになる大型多年草。5-6月が盛りでもう満開!紅紫色のサクラソウらしい25ミリ前後の花である。クリンソウという名は、花が多層に輪生するところから来ており、シチカイソウともいう。球形の朔果をつけるとのことだ。
ウツボグサもよく見かけた。シソ科の植物で山地、向陽の草原、丘陵に生育する。同種のタテヤマウツボグサは高山帯の湿地に生息するとあるが、見かけたものは普通のものと思う。丈20-30センチの多年草。7-8月が盛りで今が見ごろ。紅紫色の唇形を横に突き出したような花が花穂になっている。その長く伸びる形が矢をいれる靫(うつぼ)に似ているところからつけられた。別名カコウソウといい、夏枯草で、夏になると花穂が黒っぽく枯れる。花穂に可溶性のカリ塩類が含まれ、強力な利尿作用を持ち淋疾や水腫病に有効。
ホタルブクロはお茶の先生が一度飾ったから、なじみがありうれしかった。キキョウ科で山野、山地の草原や木陰に生育。ただし見かけたものはヤマホタルブクロらしい。ホタルブクロとの違いは、花をささえる顎片が反り返っているかどうかで見分ける。6-7月が盛りで今が見ごろで、釣鐘のような花を沢山ぶら下げているものもある。この花の開花時期がホタルの繁殖期と同調するので、子どもたちがこの花をつんで即席の蛍籠にしたところからその名がきたとか。ホタルブクロはハナバチが花粉を運ぶ典型的な植物の一つ。あの花の大きさがぴったりだそうで、アブなどは大きすぎて中に入れないのだという。
ツリフネソウは赤紫色だがキツリフネも多く見かけた。いづれもツリフネソウ科。丈50-80センチの一年草。6-7月が盛りで今が見ごろ、形が可愛い。シモツケは花が小さく群生し、とてもそうは思えないがバラ科である。ただカライトソウやワレモコウもバラ科だからおかしくないかもしれない。どちらも多く見かけたが、これらも茶花として飾られた事があったから知っていた。
クガイソウは、ちょっとカライトソウに似ているように思ったが、縁もゆかりもないゴマノハグサ科。葉が3-6枚の輪生で、それが何層にも重なってつくので葉の輪生を仏像の頭上をかざる天蓋になぞらえ、それが何層にも重なるので九蓋草あるいは九階草という。丈50-100センチになる大型多年草で、茎頂に青紫色の小花を密集させた茎頂20-30センチの総状花序をだしている。これも花季は8-9月、山地一帯に育つ。
ヤナギランは「蘭の一種ではないそうです。」とBさんが言っていた通り、アカバナ科である。丈が高く、ヤナギに似た葉を互生させるのでこの名がある。
そのほかにも今を盛りに咲き誇り、ずい分話題になった植物があった。ズミ(バラ科)、アヤメ、ノハナショウブ(以上アヤメ科)、レンゲツツジ(ツツジ科)、シロバナヘビイチゴ(バラ科)、ヤマオダマキ(キンポウゲ科)、オオバセンキュウ(セリ科)、ノハラアザミ、ノアザミ(以上キク科)、クサレダマ(サクラソウ科)等々。解説は省略。
みんなも私同様、山の花には興味があったらしく、いつもよりゆったりした行程であったのに、写真をとるもの、薀蓄をかたむけるものが続出し、なかなか行列がすすまず幹事さんをやきもきさせていた。ゴメンナサイ!
まさにお勉強。ゴンドラに山を下り、ゴンドラに向かう途中で買った「入笠山に咲く花」、自宅にあった山と渓谷社「野の植物誌」、図書館から借りてきた東京新聞出版局「カラー高山植物」などを参考にしてこのエッセイを書いた。
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