「私、どうも献血って、する気にならないのよ。」
医者のAさんに言われて、私もそのように思っている、と言った。献血が大事なことはわからなくはない。若いときに景品などに釣られて二度くらいしたことがある。しかしやった後どうも力が抜けるような感じがし、大丈夫かな、と感じたのを覚えている。ここ20年くらいはああいうのは若い者がやるものだ、年寄りは自分の体を守るので精一杯だ、などと自身に言い訳をして、街頭でそんな車を見つけても素通りする。
話頭は献体に移った。彼女は学生時代に数人で一個の死体を解剖実習した事があるそうだ。学生にとってはまたとない機会でそのときだけはずい分予習をしていった、という。
「でも献体しても、私みたいな新米に私の体が切り刻まれると思うと、とてもする気にはならないわ。」これはなかなか傑作である。
「まあ、自分中心さ。臓器提供だってとてもじゃないけどやる気にならない。」
ところがこれにAさんが反論する。
「でもお孫さんのためなら腎臓くらい提供するでしょう。」
うーん。これは難しい。そういう状況になったらどうするか、どうも判断ができない。
我が家に戻ってインターネットなどを使い、こういった話を少し調べてみた。
献血には全血献血のほかに成分献血というのがある。これは血液の赤い部分はそのままで、血液に含まれる栄養だけを抜くものである。
全血献血には400ml献血と200ml献血がある。サイトには「400ml献血は、少人数の献血者の血液を患者さんに輸血でき、輸血による副作用を減らすことが出来る、200ml献血による場合の5人分以上の血小板製剤や血漿製剤を作る事が出来るから是非ご協力を」
しかし私個人にとっては、献血がどの程度血を抜かれた体に影響があるかだ。
身体の血液の全量は体重の1/13といわれる。すると私のように65キロくらいの人間では5キロ=5lが血液ということになる。ここから400ccの血液を奪うということは1/13奪うということにほかならない。
「頭には1日2000lの血液が流れる」
つまり血液を5lとすれば400回転していることになる。これが30回転分くらい悪くなるのだろうか?試験の前など献血は禁物だ?
「赤血球は1ミリリットルの中で男子で約500万個、女子で450万個もふくまれている。赤血球は新しく生まれてから、100-120日たつと廃棄処分になりスクラップとなって腸内に排泄されます。」
ということは、1日に全量の100-120分の1再生されている、ということになる。すると失われたということで多少加速されるかもしれないが、元に戻るには1週間くらいはかかりそうに見えるがどうだろうか。
こう考えると献血はやっぱりしたくなくなる。気になるのはあの献血車やこういうウエッブサイトの書き方である。献血の必要を訴えるのはいい、しかし献血されたときに体にどのような影響があるのか、それは性別、年齢、身長・体重などの個人的特色などによって、どう違うのか、その辺がはっきり唄われていない。
規則によれば15歳から69歳で血液を検査した上で、ということだが心もとない。しかし身内の一大事となれば話はべつなのだろうなあ、それにみんなが拒否すると外国人のわけの分からない血を使わざるを得なくなり、いざというときには困るなあ。
ついでだから、成分献血のことを調べて驚いた。
「輸血というと献血した血液をそのまま使うと思われがちですが、現在では赤血球、血漿、血小板などの成分だけをそれぞれの患者さんに輸血する成分輸血が主流です。」
具体的には遠心分離の原理を使った機械で、血漿、血小板を分離し、残りをまた体に戻すのだそうだ。それでは効果はというと
1血小板や血漿を採取した後、体内での回復に時間のかかる赤血球は再び体内に戻すので、体への負担が軽い献血である。
2全血献血に比べて、一人から多くの血小板や血漿を採取できるので、輸血効果を高めたり、副作用を軽減したりするのに極めて有効。
血小板献血は採血量は400ml以内だが、採血時間が60-90分と長くかかり、対象者は18歳から54歳ということである。
血小板は大量出血時のほか、おもに白血病やがんなどの治療を支えるために使用される。有効期間が採血後72時間で長期保存がきかないそうだ。
血漿成分献血は採血量は300-600ml、採血時間は40-60分で、対象者は18歳から69歳。こちらは血友病の治療に欠かせないアルブミン製剤などの原料に使われる。現在これらの製剤の多くは外国からの輸入だそうだ。
もし、われわれがするとすれば血漿成分献血か、と考えながらパソコンを閉じる。
今日は骨髄バンク、臍帯血移植、肝臓移植、腎移植、献体問題なども書きたかったが次の機会にすることにした。
追記
輸血血液の汚染問題が広がっている。輸血血液でB型肝炎にかかり、死亡した女性が出たという。汚染の恐れのあるものは6400本。献血された血液は2回の検査を受け、初めて使用されるが、肝炎にかかってごく初期の場合など血液中のウイルスが少なく、検査で発見されない事があるのだそうだ。(ウインドウ・ピリオド)
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