いよいよ25日に万景峰号が新潟港にやってくる。入港に賛成、反対いろいろの意見があるが、どう判断すべきか難しい。自分なりの知識ベースを整理して考えてみたい。
万景峰号は、全長126メートル、全幅20.4メートル、総トン数9672トン、定員は270人、貨物運搬量は2000トン、船内の最大の格納庫は車100台分の広さがある。新潟―元山を約27時間で結び、日朝間を年に30往復、在日朝鮮人の祖国訪問や物資輸送に使われている。年間乗船客は7000-8000人。一般客の運賃は、日本からの往復で5万円。
この船は1992年の「金日成生誕100周年」と「金正日総書記誕生50周年」を記念して、在日本朝鮮人総連合会が約35億円相当の資材を寄贈して作られた。現在のものは初代「万景峰号」「三池淵号」に続く3代目にあたる。
同船をめぐっては、5月下旬、元北朝鮮技師が米国の上院総会で「ミサイル部品を運んでいる」と証言したほか、軍事転用部品の不正輸出や工作員の乗船などの疑惑が出ている。今年は1月中旬以降、SARS対策を理由に来航を中止。6月9日に入港し運航を再開する予定だったが、日本側の厳戒態勢などに反発して直前になって入港を見送った。
今回の抗議行動は、上述の理由に加え、多くの日本人を拉致し、その事実すら「知らぬ存ぜぬ」を通し続けていること、あるいは座礁船の補償をしていないことなどを挙げている。また新潟県では知事が「港湾施設使用の許可を行わない事がある。」との条例を作り、国に抗議の姿勢を示している。
万景峰号は国交のない日本と北朝鮮の、唯一の公式ルートである。食料問題、エネルギー問題などで追い詰められている北朝鮮にとって、日本との貿易は非常に重要。しかしこの船の就航中止に伴い2,3割それが減っている、さらに9月9日の建国記念日にむけて物資を調達しなければならぬ。そんなことで北朝鮮側としてはぜひ受け入れてもらわねばならぬ事情があるようだ。
6月出港出来なかったとき北朝鮮は、「今回の日本当局の入稿拒否行動、わが共和国への制裁の一環だとしたら、重大な事態になる。」などブラフをかけた。今回も同様の強面の対応を示している。日本の朝鮮総連もこれに呼応し「万景峰号を故意に「犯罪船」視する日本の一部勢力による反対行動は、祖国への人道的な自由往来を望む在日同胞に対する重大な人権侵害である。また、これは朝・日両国間の関係改善に反する非友好的行為である。」などとしている。
日本政府は、新潟港が国際港である以上、交戦国以外の船の入港は拒否できない、として受け入れることにしている。もっともこれは言い方で、北朝鮮を表立って敵に回せない、という諸般の事情がからみあっての結論と言えそうだ。ただし反対運動も強いから、弱腰と言われぬよう、徹底的に検査しなければならない。検査等の内容は以下のとおりだが、それにしても船が港に着くと大変!縦割り行政の弊害そのままにガンガン行う?
1)国土交通省
安全性検査「ポートステートコントロール(PSC)」実施。同船に対しては10年ぶり。
2)海上保安庁
入港時、出港時に立ち入り検査。ヘリコプターを投入し24時間体制で監視。
3)法務省・入国管理局 入国審査および密航者のチェック
4)財務省・税関・(経済産業省)
エックス線装置や麻薬探知犬も使用し、輸出入品を検査する税関をサポート
5)警察 機動隊を中心に1500人体制で港を警備
6)厚生労働省 感染症対策のためネズミなどの有無を確認
これでは、われわれノーテンキの国民の一人としては、「設備について今回は北朝鮮も準備万端で来るに違いない。だから大きな問題点はみつからないかもしれない。しかし工作員や日本工作についてはどう検査するのだろうか。また年間1千隻以上も北朝鮮から日本に船がやってきている。こちらの方もしっかりやってくれよ。それをやらなければ今回の厳戒態勢は各省庁のデモンストレーションにすぎないじゃないか」などとぶつぶつ言うのが関の山か?やれ、やれ・・・・。
ちなみに仲間との歩く会で、何度か玉川べりを歩いたが、そのときにハングル文字でなにやらスローガンの書いてある朝鮮大学校に気づいた。同校では入港見送りの影響で今年4月以降の修学旅行はすべて中止になっているとのことで、今回の入港に「みな安堵の表情を浮かべた。」という。
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