中国が有人宇宙船「神舟5号」の打ち上げに成功した。
以下日本経済新聞記事から、これに関係するニュースをまとめる。
全長8.86m、重量約7.79tで3人乗りとされるが、今回は一人で、人民解放軍の楊利偉飛行士が乗り込んだ。15日午前9時に、長征2F型ロケット(全長58.3m)で内モンゴル自治区にある酒泉発射センターから打ち上げられ、発射から10分で予定の軌道に乗った。同号は高度200-250キロの楕円軌道から同343キロの円周軌道に移行し、約21-23時間で地球を14周し、16日午前に帰還回収される、という。
有人宇宙飛行はロシア(旧ソ連)、米国についで3カ国目。中国は1999年11月に初の宇宙船打ち上げに成功した。神舟というのは中国の美称「神州」と同じ発音で、当時の江沢民国家主席が命名したとされる。2号機にはサル、イヌ、ウサギなどの動物、3,4号機にはダミー人形を搭載し影響を確認した。
中国は、開発に際し「後発組」の立場を最大限に利用したようだ。打ち上げに使ったロケット「長征」は1970年代以降、通算70回の打ち上げ実績があるが、人間が登場できる仕様に高めるため、米国ロッキード・マーチン社のアトラスロケットを徹底的に研究した。宇宙船本体は旧ソ連が開発した「ソユーズ」が開発の土台となっている。
中国は、今回の成功をバネに、宇宙開発分野で米国、ロシアを追い上げる考えと言われる。すでに昨年4月には月探査衛星「嫦娥(じょうが)」の開発に正式に着手、早ければ3年以内に月に打ち上げ、地質や土壌、資源の調査に乗り出す。月面に探索車や歩行ロボットを送り込むという意欲的な計画も打ち出している。さらに日米欧が参加する国際宇宙センター計画には参加せず、独自での宇宙基地建設計画を国家構想に盛り込んでいる。
中国の今回の打ち上げは、単に国家威信の発揚や衛星打ち上げビジネス拡大をねらうだけでなく、「軍事的自立」を模索する戦略の一環ともいえる。中国政府は一貫して平和利用の宇宙開発を強調するが「宇宙を制するものが世界を制する」という冷徹な計算が働いていることも事実のようだ。去る9月18日中国は欧州連合と2008年に稼動をめざす独自の全地球測位システム(GPS)「ガリレオ」計画への参加に基本合意している。カーナビにも使われるこのシステムは、米国が軍事目的で開発したもので、現在も米国の独占状態にある。巡航ミサイルもGPSシステムなしでは力を発揮できず、中国は米国依存から脱却を目指す、欧州の計画に便乗し米国の「一国支配」にクサビを打ち込もうとしているのだ。
宇宙開発は、米国にとって1960年代のアポロ計画以来、超技術大国のシンボルであった。しかしこの2月のシャトル空中分解事故で、大きくつまづき、どう立て直すか方向性を打ち出せないままでいた。そこに新た今回のニュースが加われば、「早期に有人宇宙飛行計画」を立て直すべきだ、との議論が起こっても不思議ではない。加えて中国のこの技術の軍事転用を懸念する声も日増しに高まっていると言う。
日本は過去に衛星の回収技術が軍事技術につながるとの懸念から、技術習得が遅れた面がある。その後個別の技術開発は進めたが、有人宇宙船の開発にはいたっていない。ただ今回の成功で、日本が参入を目指すロケットを利用した商業衛星ビジネスで、中国が圧倒的な力を持つようになる、との見方は少ない。中国ロケットの商業衛星打ち上げの実績はなく、「有人打ち上げと衛星打ち上げは別物」との指摘がされている。福田長官も対中国ODA援助の問題はともかく、宇宙空間の平和利用で日本が遅れをとったのではないか、という指摘には「そうは思わない。日本は日本のやり方で行けばいい。」としている。
しかし、庶民の私としては「遅れをとった!技術立国日本はどうした?」との漠然たる思いにかられる。技術は、従来米国様だったが、これからは米国様に中国様か?今回の成功は、日本の技術開発問題、防衛問題など、今一度日本が自国のあり方を見直すことを迫っているように思える。
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