「たけしの死ぬための生き方」を読む。バイクの事故にあって死の淵をさまよって得た作者の死生観である。
「自分の意思表示もしないで、医者にまるっきり任せて、どうにでもしてください、いいと思うのどんどんやってくださいっていったら、自分の存在がないのと同じじゃないか。他人に自分のヌイグルミ貸しているようなもんだよ。自分が着てなきゃしょうがないわけだろ。それなりにおいらはこの自己を財産にして生きていく意思があったからね。」(31p)
・・・たけしは昭和22年生まれ、この本が書かれたのが平成七年というから、事故にあったのは、47歳くらいのときだったのかな。元気があるなあ。しかし医者にかかると素人はどうしようもないって所、分かるなあ。
「死はすべての終わり。・・・人生って生まれながらにして死ぬときのその対応の仕方をいかにして模索していくかが人生のような気がする。息抜きにいろんなことをやっているだけであって、基本ラインは死ぬことに向かって一直線に突っ走ってて、それに人間はどう対応するだろうかってだけのような気もする。」(37p)
・・・死んでしまえば何も残らない、フランスの有名な作家も言っていたなあ。この世は生きているもののためにある。だからその間は目一杯活動しないと損・・。
「人生もいかに生きていくかってことの考えることの量の多さと、何を見つけるかという質の問題ではないかな。だから悪い顔でもいい。悪い顔なら悪い顔なりの仕事のやり方があるし、自分なりの仕事を選んでいく。」(69p)
「将来を考えると、今の子どもたちがサラリーマンになったとき、給料の半分よこせといわなきゃしょうがないんだ。それを現段階で自分たちが生き延びちゃえばいいやという風にして、政治家たちが逃げ切ろうとしているわけだろう。そのしわ寄せがじゃんじゃん来ると、われわれの孫の時代にはどうなるんだろうと思うものね。」(76p)
・・・珍しくここは世評だ。でも国債発行を抑えようとしても、みんな景気回復優先の大合唱だもんなあ。「僕たちはよかった。これからの人は大変だろうなあ。」なんていいながら・・・。
「もっと人生は楽しむものだといわれたって、おいらにとっての人生の楽しみ方は、事故の前にやってたような事なんだ。バンバン行くのが楽しいってこともあるじゃないか。休みを一杯とって、ゴルフしてそれが楽しいという人とは、生きる目的が始めっから違う人生なんだ。」(87p)
・・・生きる目的が始めっから違う、というところは抵抗ある。たけしの場合はうまく見つけられた。私は会社で窓際になって会社生活がいいとも思わなくなっていた・・。
「結局人には持って生まれたその人なりの生き方というものがあって、他人が変えられるものじゃないんだね。どれがいいというんじゃない。」(89p)
・・・そう、人生は言ってみれば宿命みたいなところがあって、その勝ち負けってのは個人の考え方の問題だ、と思う。
「同じ深酒毎日続けたって、病気になる人もいれば全くならない人もいる。それで、はい、あんた病気ですっていわれたら、そのリスクは個人が払わないといけない。」(91p)
・・・長生きしたいと思えば健康には気をつけないと・・・。
「生きるか死ぬかというのは全部個人の問題なんだよ。個人的なことを離れて。五千人死んだから可愛そう、大変な事件だなんていうこと事態、人間を物として扱っていないということでね。」(96p)
「戦争であれ、病気であれ、戦いの場というのは、所詮一人で戦わなければならないんだ。周りの人の意見を聞いて死んじゃっても、責任は本人しかおえないんだもの。」(100p)
・ ・・死ぬときは一人、それはそれで正しい、結論はわかっている。でもそれじゃ寂しすぎるから、それまでのつかの間、友を求め、連れ合いを求め、愛するものを求める。
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