229「イラクへ自衛隊派遣」(1月17日(曇り))

イラクの復興支援活動のため、陸上自衛隊の先遣隊約30人がクウエートにむけて出発した。かれらは陸路で活動予定地であるイラク南部のサマワに入る。彼らの報告を踏まえて政府・与党は早ければ今月末に施設部隊、来月下旬から本隊を順次派遣する。

首相は自衛隊派遣を幕末から明治維新にかけての開国か攘夷かをめぐる状況になぞらえ、「一国平和主義か、国際社会と協力して平和と繁栄を図るかの問題。」とし、「将来は必ず理解される。」と繰り返す。野党が対米追従主義と非難すれば「それではアメリカとの関係はどうなってもいいのか。」とやり返す。私としては賛成、反対より現地に赴く隊員に頑張ってください、と言いたい。

ただ、これについて感じる事があるのでまとめておきたい。

第一に大きな流れとして日本人の考え方が大きく変わり、原則論が崩れてきている。
日本の原則は字義通りには非武装中立であった。
しかしいまだに平和憲法を標榜し、自身の身の振り方が分からぬ社民党は選挙で大敗、共産党は自衛隊と天皇制は認めます、と綱領を変えた。民主党も10年も前だったら何が何でも反対だったろうが今では「アメリカ追従はけしからん、国連の決議が必要だ。」と言っているに過ぎず、条件さえ整えば派遣やむなしとの考えである。
地球の裏側にまで自衛隊を派兵するとなっては、平和憲法の非武装中立原則はいつのまにか崩れたとせざるを得ない。
ただこの選択に私は必ずしも反対しているわけではない。正直言って思う。国家に永久に決まった方針などあるものか。国家は会社と同様だ。時勢にあわせて、姿、形、方針を変えてゆく。

ただ、今回は日本国民の行った大きな対処療法的に選択が行われた感はいなめない。これから先同じ様な状況が起こったとき自衛隊を派遣するのか、と言った人がいる。しかし、今の状況ではそのときになって考える、としか答えられない。

従って次に思うことはまだ基本方針が議論されていないという点だ。そろそろ、はっきりさせる時期に来ていないか。平和憲法は日本の守り神だった。それを盾に日本は大東亜戦争を反省して見せ、平和な社会を実現し、奇跡的復興を図ることに成功した。しかし日本が経済大国となり、中国や今では北朝鮮の脅威にさらされ、さらに非武装中立などと言うきれいごとではすまされない国際情勢を勘案に入れれば、変化して当然であると思う。平和憲法の精神は遵守するにしても、あれはアメリカさんの作った憲法、これを機会に検討することは必要だ。

第三に、これは少し喜んでいるところ。少しづつ正直なイデオロギーにとらわれない議論が国会の場でも、国民の間でもされるようになってきた、と感じる。
ようやく自衛隊は軍隊らしいと認識されてきた。当たり前で国際的に見れば志願兵による軍隊に決まっている。イラクはどこも危険である。危険でないところなどイラクにあるわけがない、それでも行くべきだ、という考えがはっきりした点はそれでいいと思う。
ただ、だからと言って国民が政治を真剣に考えるようになった、ということではない。何となく政治にスタンスをおくムード、何を言っても大した関係があるわけではない、というムードが蔓延している。政治不信の裏返しと言えようか。

これが困ったことなのだ。今こそ頭を冷やして憲法の精神と異なるから反対、平和憲法墨守?なぞと、子どものような議論をせず、日本としてどのように考えたらいいのか、そのために必要なら憲法も変えよ、くらいの視点で、国民一人一人が政治にもっと熱くなり真剣に考えるべきではないか。

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