231「株式譲渡益課税」(1月28日(曇り) )

今年も所得税の確定申告時期が近づいてきた。
今年から個人が上場株式等を売却した場合の株式譲渡益課税制度が大きく変わる。従来源泉分離課税、申告分離課税いずれかを選択できたが、申告分離一本に集約される。

株式の売却等による所得金額は次のように計算する。
売却金額―(取得費+委託手数料等)=売却による所得金額
簡単明快に見えるが実にややこしい。

株式の取得費は、その購入金額となるが、同一銘柄の株式等を2回以上に渡って購入している場合はその平均になる。1000株を100万円で、2000株を230万円で買った場合、一株あたりの取得費は、その加重平均になり1100円となる。従って1100円*売却株数が取得費の金額となる。

この辺まではいい。しかし2000株だけ売って、次にまた2000株を150万円で買った場合を考えると、まえから残っていた1000株は110万円、新しい2000株は150万円でその加重平均を求めることになる。従って同じ株の売り買いを続けると、保有株式がゼロに成らない限り、何時までたっても過去の取得価格をひきづることになる。
増資、減資、株式分割等があるとまたややこしくなる。個人の場合、よほど几帳面でないとやっていられない。

さらに問題になるのは取得価格の確認方法である。国税庁の説明では
1)証券会社から交付される取引報告書があればそれを使う。
2)なければ取引証券会社にある顧客勘定元帳を用いる。これは商法上10年の保存義務があるそうで、証券会社に請求すると交付してくれる。
3)1)、2)がなければ本人の手控え、たとえば日記帳や預金通帳があればそれを使う。
4)それもなければ保有株券の裏面等の記載によって名義書換日を確認し、これを取得時期とみなす。その日の価格は証券会社のデータベース等を使う。

取引報告書など、どこまで保管しているかが疑問、顧客勘定元帳は大体が人に見せるために作ったような代物ではないから実に見難い。しかも個人は何らかの理由で証券会社を変える事がある。変な株を薦められたときもあろうし、手数料の安いネット取引に変えよう、と思うこともあるだろう。すると過去取引のあった証券会社すべてから取り寄せねばならない。私の例では父から相続を受けた株式が問題である。父も私もそれぞれ2社ほど証券会社を使っているし、父の記録などわかりようもないところがあり、苦労している。日記帳や預金通帳の提出になってはもう警察の捜査でも受けるような感じだ!

しかし取得価格は申請しないとみなし価格を適用される。価格は平成13年10月1日の終値の80%に相当する額である。公平なように見えるが、納税者からみればとんでもない時期の価格である。その前の9月にニューヨークテロで世界貿易センタービルが破壊されたばかり、株価は最低のころだった。そのさらに80%がけ、というのである!

これらの代替策として特定口座制度というのがある。証券会社に特定口座を開設した場合、株式等の売却による所得を証券会社が行い、年間取引報告書を送ってくる。これを使えば簡便な申告を行う事が出来る。しかし、この場合、証券会社に個人が縛られることになりはしないか。特定口座から株をひきだすとき、問題はないだろうか。

最後に忘れてはならないのが、上場株式の譲渡損失の繰越控除だ。株式を売買した場合、「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算書」または「特定口座年間取引報告書」を提出するが、譲渡損失の繰越控除がある場合、別に申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の繰越用)を提出しなければならない。税務署は、そんなものを出されると翌年の税金が減るからか何か知らないが、別の窓口に行って請求しなければくれない。まったく油断もスキもありはしない,というのが率直なところだ!

そのほかに利益が出た場合「上場株式を売却した場合の軽減税率の特例」「平成13年9月30日以前に取得した上場株式等の取得費の特例」「購入金額1000万までの非課税の特例」などがある。これらは経過措置、あるいは一方で締め付けすぎると、株式市場が停滞してしまうことを恐れて導入されたものだが該当する場合は注意をようする。

税務署は、税金を払うために行う個人の努力など屁とも思っていないのではないか。歳をとってぼけて、みんなみなし価格でやり、損失の繰越なんかやってくれなければいい、と思っているに違いない。怒鳴り声の一つも上げたくなる。しかし繰言をのべても仕方がない。私とすれば、出来るだけ税金を少なくするより努力するばかりだが、皆さんも大いに頑張ってください。

註 ご意見をお待ちしてます。
e-mail agatha@bekkoame.ne.jp
home-page http://www.bekkoame.ne.jp/~agatha