243「風雲陣馬温泉・・くそっ!」(3月6、7日(晴れ))

高等学校同期の碁の合宿。場所は陣馬山の麓にある陣馬温泉。
いかにも山間の温泉という感じで回りは何もない。窓から見下ろすと崖下に鱒を飼っているらしい池がみえ、向かいの山にもかなりの数の桜が見える。花見時は綺麗なことだろう。
高速道路が出来る1年前に開いた、というから昭和39年開業らしい。露天風呂はないがこの雄大な景色を見ながら入れるヒノキ風呂がある。料理も鱒のみそ焼きなどまずまず。
碁、将棋の会場が素晴らしい。碁盤が20近くずらりとならび、ゆったりとソファーに座って対局できる。主人が好きなのだそうだ。こんな山里なのに結構込んでいる。I君が見つけてきたのだが、碁の仲間の間では有名らしい。

しかし勝負の世界は厳しい。
やってもやっても負ける。Bクラスは4人いたが3人は2勝1敗、つまり負けは一手に私が引き受けて3敗。Aクラスとやると、スコアに応じて6目だの7目だの置かせてもらうのだが、いつのまにか防戦一方になり、あげく大石が死んでしまう。

T君の言う事が面白くない。「ハルウララ」だって・・・。競馬で目下105連敗、妙に人気の出ている馬の名前。この次武豊が騎乗するとか聞いた。勝てるか、どうか?
目的が碁だから、ひたすらに碁をやる。昼食もそこそこに戦闘開始。夕食後もこれから打ち続けるという。こちらは酔いもあった面白くもなく早々に寝てしまった。しかし翌朝は逃げるわけにも行かず、また連敗街道驀進!幹事のN君がこれではいかん、とお情けで一勝させてくれたが結果は1勝7敗。クシュン!

出かける前のこと
「おれが一番弱いんだよ。」というとガールフレンドのAさんは
「負けると分かっているのに出かけるなんて私には理解できない。私って負けず嫌いなのよ。今日はテニスでパートナーがへたくそでとても疲れたわ。」
それで分かった。彼女とテニスをやると負けると怒りはしないが、途端にぶつぶつ言い始める。「私はダブルス専門で、シングルスは慣れていない。」「疲れたわ。」「今、スコアはどうなっているの。」「人のいないところにボールを打つんだから性質が捻じ曲がっている。」「ハードコートだから慣れてないのよ。私はクレーコート専門・・・。」仕方ないから半分勝たせる。そうでもしないと、次やってもらえない。

考えてみると女性は本来負けず嫌いなのかもしれない。その証拠に碁や将棋の世界に女性は少ない。人は「女性はやさしいから・・・。」というが嘘だと思う。「女性は負けると頭にきて自分をコントロールできなくなる。それを過去の自分の経験で知っており、取り乱したくないからこういうゲームをやりたがらないだけだ!」

実を言うと、私も人後に落ちず負けずぎらいの悔しがりやだった。
卓球が好きだったが、負けると悔しがってラケットを台にたたきつけるのである。何度も何度も・・・。そのうちに鈍い音がしてラケットの根元にひびが入ってしまう。何本ひびをいれたやら・・・。テニスでもこれをやった。フレームにひびが入った。

我が家に戻って夜になる。「少し強くならないといかんなあ。」とパソコンに向かう。
日本棋院のサイトからダウンロードした九路盤のフリーソフトがある。ひかる君相手にたてつづけに数局。4分の1しかないから勝負は5分も立たぬうちに決まってしまう。ダウンロードしたころはなかなか勝てなかった。

ところが今度は半分くらい中押しで勝てる自分を発見した。自分を慰める。「進歩、進歩!この調子で行けばいつか勝てるようになるさ。将棋だって始めたころは歩三つの親父にまけたものじゃないか。そのうちT君だって・・・・。大体、ここまで負けて、碁盤をひっくりかえさないのは、君の人間ができてきたからさ!」

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