ガールフレンドのAさんに誘われてスペイン映画「女王フアナ」(銀座テアトルシネマ)を見る。
時は15世紀末、スペインは、東西二国に分断されていたが、1469年東のアラゴン王国国王フェルナンドと西のカステイーリヤ王国女王イサベルが結婚し、ほぼ統一された。92年にはイスラム教徒の最後の牙城グラナダを攻め取り、レコンキスタを終了させた。同じ年コロンブスがアメリカ大陸を発見した。
同じころポルトガルもアフリカ西海岸を次々に攻略して行った。利害のぶつかりそうになった両国は、94年に有名なトルデリーシャス条約を結び、世界を両国で二分することに決めてしまった。この後、98年にポルトガルのヴァスコ・ダ・ガマは、喜望峰を回りインド洋を渡り、カリカットに到着する。
この得意の時代に、スペインはフランスのイタリア侵入を妨げるため、16歳の二女のフアナの婿に神聖ローマ帝国を支配するハプスブルグ家の嫡子フェリペを望んだ。
映画は、女王でありながら半世紀近くにわたってトルデリーシャスの城に幽閉されたフアナの話として展開を始める。1496年、フアナは、大艦隊を従え、フランドルはブリュッセルのハプスブルグ家に嫁いで行った。ところが金髪の若者フェリペはフワナに接吻すると、すぐに形ばかりの結婚式をあげ、真昼間からベッド・イン。その大攻勢にフアナはすっかりのぼせあがってしまった!
フアナは多産で長女レオノールを皮切りに、二男四女を産んだ。1500年に生まれた長男は後の神聖ローマ帝国皇帝カール5世、スペイン王としてはカール1世にあたる。しかし1504年に母イサベル女王崩御の知らせで悲しみに浸るまもなく、夫フェリペの浮気現場を目撃してしまった。激しく愛していただけに到底許しがたい裏切り・・・・彼女は狂ったように泣き叫び浮気相手の女官の髪を切る、決闘をせまるなどする。
カステイーリヤ王国王として夫と共に迎えられるも、このころから精神に異常をきたすようになる。そして1506年、夫の不慮の死。彼女は棺の蓋をあけ死体に接吻し、荒野をさ迷い歩く。議会は狂女として彼女の幽閉を画策し始める。歴史的にはフアナは狂女とされている。しかし私には情の濃い女性の愛しすぎたが故の行動にうつった。
なおカールが神聖ローマ帝国とスペイン王を兼ねることになったのは、資格者が次々と死んでしまった結果である。しかしハプスブルグ家が「戦は他国にさせておけ。幸いなるオーストリアよ。汝は結婚せよ。」(江村洋「ハプスブルグ家」)を地で行き、スペインを手に入れてしまったことも事実である。
原作は「女王フアナ」、ホセ・ルイス・オエアイソラという人の作品で、角川文庫から出ている。監督は、1926年バルセロナ生まれのヴィセンテ・アランダ、スペインを代表する映画監督である。主役のフアナ役はスペインで絶大な人気を誇る78年マドリード生まれのビラール・ロペス・デ・アジャラ、相手役のフェリペには71年ローマ生まれのダニエル・リオッテイ。
ついこういう作品は原作に引きづられて焦点がぼけるものが多いが、主題が明確で非常にしまっていて面白い。一見をお勧めする。アジャラは冒頭近くのフェリペとの対決シーン、雨にぬれながら泣き叫ぶシーンなどなかなか好演。その上とびきり美人。サンセバスチャン国際映画祭最優秀女優賞、ゴヤ賞主演女優賞に輝いている。
最後に私は男と女の関係から興味があった。激しく恋におぼれる女性、ラテン系に多い?・・・・惚れられた男は、男冥利につきるが、圧倒されてしまうこともある。そしてしばしば息抜きが欲しくなる、結果が軽い気持ちの浮気。しかし女はそれを絶対に許せない。世の中、なかなか難しいものですね。
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