250「デジタル狂想曲」(4月6日(晴れ))


テレビを買い換えようと電気屋に行って驚いた。地上デジタル放送が始まり、今は過渡期にあるらしく、実に種類が多い。どれを買うべきやら消費者はとまどう。

地上デジタル放送が、昨年12月、華々しく東京・大阪・名古屋の3大都市でスタートした。普及台数のロードマップは、2006年ワールドカップ・ドイツ大会時で1000万世帯、1200万台。2011年4800万世帯、1億台としている。現在の地上アナログ放送は2011年7月24日での終了が予定されている。地上波デジタルテレビは今後10年で40兆円、関連市場を含めると200兆円の経済効果があるといわれている。素晴らしい!
しかし本当に額面どおり信じていいのだろうか。

デジタル放送は1996年に通信衛星(Communication Satellite)を用いたCSデジタル放送が始まったのを皮切りとする。
2000年に放送衛星(Broadcasting Satellite)を用いたBSデジタル放送が始まる。このとき、総務省と業界団体は「1000日で1000万世帯」という普及目標を立てたが、昨年8月1000日時点で目標の4分の1にも到達していない。
地上デジタルは、通常のテレビ放送が使っている電波帯域がデジタル化によって空きが出来るため、その帯域を利用する。すると高画質、多チャンネル、移動体通信など新しいサービスができる。簡単に言えば電波の効率利用を図りたいから・・・。
しかしBSデジタル放送の結果を知る人は冒頭で出たようなロードマップは達成できない、とする声が多い。日本中のテレビをデジタルに置き換えるには、毎年1400万台もデジタルテレビが売れなければならないが、日本のテレビは毎年1000万台しか生産されておらず、そのうちデジタル受信機は100万台足らずだ。

このシステムの普及になんといっても熱心なのはNHKである。世界に先駆けて開発したのに鳴かず飛ばずだったBSハイビジョン放送を、今度こそ絶対に普及させたいからである。民放は高画質・多チャンネル・移動体受信のどれも広告収入が増える見込みが少ないから余り熱心ではない。しかし国が金を出す(アナアナ変換装置)の話もあり、消極的に賛成に回っているという。
地上デジタルにより画面のちらつきがなくなりきれいに見えることは事実だ。
従来の地上波の放送は「インターレース放送」といわれ、有効走査線480iで放送・受信されている。「i」はインターレース(飛び越し走査)を意味し、走査線を一本おきに「飛び越して」画像を送っていた。デジタル放送の場合、デジタルの特徴を生かした圧縮技術(MPEG2)によって、今までにない大容量データの配信が可能になる。そのため走査線は一本づつ順番に画像を描いてゆく方式になる。従って垂直方向の映像信号が2倍になり、ちらつきのない画像が楽しめる、というのである。

さてこのような状況で迷える一般消費者としてはどんなテレビを買うか。
電気店に並んでいるテレビを見るとまず縦横の比率が4対3のものと横長の16対9の二つがあることに気がつく。デジタルの高画質を楽しむためにはワイド画面が一番ということで、16対9が主流になる予定である。端から端まで映し出すので、まるで実物を目の前でみているようなリアルな映像が楽しめるというのである。
しかし2011年まではサイマル放送が行われ、アナログ4対3とデジタル16対9のテレビが混在することになる。映像素材はハイビジョンカメラで取れば16対9、古いカメラで撮
ったり、イラク戦争の現地映像のように海外メデイアで撮れば4対3になってしまう。NHKの大河ドラマはそれぞれのカメラで撮って流すから問題ないが、民放はそんな芸当はできない。一つのものを二つの放送で流す。
その結果16対9素材の場合、アナログ放送では上下に黒味をだす(レターボックス)、左右を切る(サイドカット)などを行う。4対3素材の場合は逆になる。

次ぎに迷うのはデジタルチューナー一体型がよいか、どうか、という点である。もちろん、2011年までに徐々に地上波放送は徐々にデジタル化してゆくだろうが、今すぐ買う必要があるかは疑問。さらに言うとケーブルテレビを用いる場合には不要である。

最後に結論はやっぱりお財布と相談。16対9、デジタルチューナー内蔵、液晶パネルまたはプラズマパネル使用のものは22インチで25万近くする。もちろん40インチ50インチの大型のものもある。しかしこのテレビを買ってもいいけれど、4対3の画像も当分残るからそれで万能、というわけには行かない。4対3でデジタルチューナーも入っていないものは液晶タイプの同様の大きさで12万くらい、これがブラウン管タイプになる少し大きい25インチものでも6万以下・・・・。さあ、あなたならどうする、どうする?

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