あれは何年前になるだろう。秋、河口湖から御坂トンネルを越え、勝沼から411号に入り、柳沢峠を抜け、丹波渓谷から奥多摩湖にでた。柳沢渓谷の手前に雲峰寺というお寺と裂石温泉があることを知った。丹波渓谷がこんなに美しく、小さな丹波川がやがて奥多摩湖に入り、多摩川になるのだと知った。
これも何時のことだか覚えていない。秩父湖に行き、栃本の関所跡というのを見た。昔、秩父と甲州の間は秩父往還と呼ばれ山また山で非常な難所であった。そういうところにも関所があったのだ。秩父湖一周をしようと思ったが工事中でできなかった。工事のおじさんが「1年かそこらで山梨に抜ける道が出来る。」といっていた。
この日記を書くにあたって雁坂トンネルのことを調べた。「一般国道140号の埼玉・山梨県にまたがる通行不能区間の解消を図ることによって、両県の産業、経済、文化の交流を活性化するとともに、周辺地域の新時代を築くことを期待して建設された。」開通は1998年秋・・・・・あれからもう6年になる。6625メートル、一般国道の山岳トンネルとしては、日本一の長さを誇り、通行に10分ほどかかる。
天気のよい暇な日曜日。ドライブを思い切りしてみようと考えた。青梅街道をそのままゆき、柳沢峠を越え、どこかで140に入り、雁坂トンネルをへて戻ってくるコースはどうだろう。大分あるが途中で一泊してもよい。裂石温泉にある旅館に電話すればいい。あそこは部屋にバス・トイレもない安宿、あいているだろう。
青梅を越えると少しづつ景色がよくなってくる。軍畑あたりで釜飯と書いてある川べりの小屋みたいな店に入る。座敷に上がりメニューを見ると釜飯1680円、昼飯になるものはほとんどそれしかない。高いな、と思ったが後には引けぬ。
新ジャガをゆでた突き出し、レンコン、かぼちゃ、にんじん、えのきなどを炊きこんだ釜飯。鶏肉、しいたけ、豆腐などの水炊き、しじみ汁、味も悪くないから合格かな。周辺にかざってあるチラシなど目を通すと、ここは全部自家製で、無農薬野菜使用が自慢。帰り際に頑固そうな爺さんがくれた雑誌のコピーには「からだにいい食事」と紹介され、じいさんは「ウチは食べたい人だけ食べればいい。」窓越しに青竹の林が見える。
奥多摩湖は岸辺で市がたっているのか、ずいぶんにぎわっている。にぎわいすぎて駐車場はいっぱいだったから素通り。ここから携帯電話を使って裂石温泉に電話を入れる。「今晩あいているか。」「何人?」「一人だけど・・・。」「じゃ、利用できません。」くそっ!
しかしいざとなれば民宿くらいあいているだろう、とタカをくくって、そのまま出発進行!岸辺からみえるまっさおな湖はなかなかよい。うーん、これで隣に美人がいればその辺の間道に車をつっこんで・・・・・。ブー・・・・対向車にご用心。
丹波渓谷は左右に山並みがせまり木々が何段にも重なって見えるところが素晴らしい。いまどきは新芽の林に車ごとつつまれるような感じだ。道もずい分よくなっており快適なドライブが楽しめる。裂石温泉はもう山梨側の麓近く。時々大菩薩ラインの看板がかかっている。別名をそういうのだろう。
トイレにも行きたいし、大体どこから140に入ればいいのだろう。持参した地図は古く簡便なものだからその辺が乗っていない。ひとまずと塩山駅にでた。交番は無人だったので近くのスーパーにより、一番きれいなお姉さんのいるレジに一直線。140に出る道を聞くと親切に教えてくれた。
140を少し行くと三富村から西沢渓谷の看板。そういえば1年かそこらまえ山歩きの会で西沢渓谷に来たとき幹事が「頭上のあの道路が雁坂トンネルに続く道」と教えてくれたことを思い出す。あの時帰りに寄った温泉も気がついた。ところがそこから雁坂トンネルまでの山道が結構長く、しかも沢山トンネルがある。ただし無料。やっと入口につくとバイクの一団が料金所で頑張っている。通行料710円を払い、トンネルに入ると長い、長い直線。途中2箇所くらい、途切れていて外が見えるが、切り立った山並み、よくこんなところにトンネルを作ったものと感心する。
トンネルをぬけて街道沿いの小さな茶屋で味噌おでんを食う。3時過ぎ。なんとなくこのまま今日のうちに帰ろう、という気になってきた。秩父湖をへて秩父、そこから入間、所沢とへて戻ったが、道に迷うなど大苦戦、8時前にやっと我が家に文字通りたどり着いた。この辺の話は省略。全行程約260キロ。ほとんど下だから相当の乗りでであった。
それでも達成感はなかなか大きく、寝床に入るとあの丹波渓谷の美しさがちらついた。
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