スポーツクラブのサウナに入っているときそのニュースは流れてきた。「福田内閣官房長官辞任」・・・国民年金〔基礎年金〕保険料未払いの責任を取って突然辞職した、というのである。すごい手を打ったものだ、実にうまい先制パンチと感じた。
女優の江角さんが厚生省の年金ポスターにでたところ保険料未納期間があり、散々非難された。そのうち自民党の閣僚の中に福田さんなど未納者がいる事がわかり大騒ぎとなった。野党は管さんを中心にここぞと責め立てた。ところがその管さんはじめ多くに未払い期間があった、とわかっては腰砕けもいいところ。
しかし制度の欠陥というほうが正しい。未納は厚生年金などを脱退し、国民年金にうつる際に起こりやすい。厚生年金の脱退手続きは元の勤め先が行ってくれるが、国民年金への加入は本人が市町村の窓口でしなければならない。ところが請求をしろ、との連絡は最近やっと行うようになったが、前はなかった、届け出なかった場合、本人は老後の年金が減るが、お咎めはなし。年金財政への影響も、減収分は厚生年金で穴埋めされるから誰も問題にしない。そんな状況だから国民も役人も納付に無関心、未納がでて不思議はなかった。
こういった事が突然問題になった原因は老齢化が進み、財源が給付においつかなくなった点にある。従ってどう整合させるかを基本的に考えなければならなくなった。
年金法案が今国会で一部修正されて成立する公算である。サラリーマンの場合を軸におさらいをしてみる。
改正案では、現行の枠組みを維持するものの、サラリーマンと企業の負担がともに重くなる。厚生年金では現在労使折半で13.58%の保険料率が毎年0.354%づつ上昇、2017年9月以降は18.3%に固定される。同様に国民年金は13300円から16900円に増える。一方給付はサラリーマン時代の所得の50%を維持するとの説明がされている。これはモデル世帯にあてはまるというが、物価上昇などによりモデル世帯でもあやしいと判明した。
一方で育児期間中の減免制度拡充、国民年金保険料の段階に応じた減額制度、離婚時に厚生年金を夫婦で分ける制度〔2007年から〕などの改革が用意されている。しかしとにかく金がないのだから、年金給付額の伸びを自動的に抑える仕組みが2005年度から導入され、所得税の減税分がなくなるなど庶民は相変わらず大変。
野党、特に民主党は基本的には「職業に関係なく保険料を納める所得比例年金に一本化し、低所得者には税金を財源として最低保証年金を支給する」という考え方で、保険料を13.58%に固定する変わりに、消費税の3%を充てる。
年金一元化にこだわっている。しかし個人単位で所得に比例しない国民年金と家族単位でスライドする厚生年金を一本化するのは至難の業、不可能にすら見える。
話し合いの結果三党合意が一応なされた。その基本的考え方は
1) 社会保障制度全般について検討する小委員会を設置、与野党の協議会も設置する。
2) 年金一元化を含む社会保障全般を見直しを行い、2007年3月をめどに結論をだす。
3) 年金保険料は社会保障全体のあり方、経済社会情勢の変化などの事情を勘案し、必要に応じ検討を加える。
ところでこの通信を書いている間にとうとう管さんが辞職に追い込まれてしまった。後任で今もめている。せめてこの方向ででも議論が進めば、と思うのだが民主党内部には「三党合意は政府案に妥協しすぎだ。」の意見もあり、反故になる可能性もないではない。
最後にこれは全くの私見だが、そもそも年金は税金なのか、というような議論もあってもいいように思う。今回偉い人の年金未納が問題になったが、それだけ年金なんてみなあてにしていない、ということである。そこをバランスが取れなくなったから義務化し、強引に社会保障全部をカバーする案にしようとする方がおかしいのではないか。なんだか役人の権限拡大志向が隠されているような気がする!
年金が未納であるなら、それでも結構だがその分もらえる分が少なくなるだけ、最低補償はどうするというのなら、それは民主党の言うように消費税ででも補えばいいという考ええがでてもよいのではないか。そして上乗せ部分の徴収・分配には民間もいれたらいい。
何となく払い、役人が自由に裁量し、戻ってくる分は少なくなっているかもしれない、などということでは国民としてはやりきれない。
追記(5月16日)
小沢さんは国民年金に未加入の時期があったとして民主党代表になることを辞退したそうだ。未加入といっても国民年金加入が義務化される前の話である。報道では小泉首相も同様に義務化前に未加入の時期がある事が分かっている。辞任によって首相に圧力をかけるねらいがあるのではないか、と取りざたされている。
でもこんな風にも思う。彼が代表になることにみなが諸手を上げて賛成しているわけではない、変わってなると予想される岡田氏は小沢氏の薫陶をうけたいわば小沢チルドレン、今なるということは火中の栗を拾うようなものだ、民主党には彼以外に大物はおらず、いずれ彼にお鉢がまわってくる、そういう状況を考えればここで無理をしなくても、と考えたのではないか・・・・?
いづれにしろ、誰が加入していた、いなかったなんて次元の低い問題より、将来の年金がどうあるべきか真剣に議論してほしい。
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