310「レストラン「海と森」」(11月12日(金) 雨)

荻窪「ブックオフ」の横に「海と森」というレストランを見つけたのは、数ヶ月前だったろうか。ポルトガル料理、とあるところが私の食欲をそそった。

1991年、私は、ポルトガルに液化天然ガスを導入する計画の評価作業のため、同国を3度ほど訪れた。のべ2ヶ月くらいになるのだろうか。
「海と森」は1978-80にポルトガルの日本大使館で料理長を務め、その後六本木のフランスレストランで学んだ河田秀一氏の店である。

以下食べた味とそのホームページ等を参考に書く。
まずは食膳にワイン。ポルトガルといえばポルトワイン。あの甘く独特の味が忘れられない。日本の赤玉ポートワインは合成酒、てんで違う。
ワイン造りは、ぶどうの糖分を酵母によって発酵させ、アルコールに変化させる。しかし発酵の途中で、アルコールを加えて発酵を中断させると、糖分を残した甘口ワインになる。これを何年もかけて熟成させたものがポルトワインである。出張中、このポルトワインで有名なオポルトにたちより、ドウロ川ぞいにあるひんやりとしたワインセラーを見学したことを思い出す。
ついで「バカリョウ」という干鱈とジャガイモのコロッケ。干鱈の繊維質がおいしい。干鱈を1-3晩かけて塩出しし、これにマッシュポテト、卵、粉パセリ、塩、胡椒、オリーブオイルをまぜて、衣をつけず油で素揚げするのだそうだ。ただ私は干鱈自身をバカリョウというと思っていた。向こうではオムレツなどを何度か食べた。懐かしい味である。

壁にはポルトガルの写真が何枚も飾ってある。路地、赤い屋根の家々、窓から突き出した洗濯物、ペンサオの看板、古い市電・・・。バックに静かな歌声、ファドというものなのだろうか。ポルトガルは漁師の多い国、一度海に出て事故にあうと帰れぬ、そういう夫や恋人を思って歌うものだから悲しい感じがするのだ、と聞いた。

野菜のスープの後、鰯の塩焼き。これも代表的なポルトガル料理だ。うろこも取らず、岩塩をかけただけの鰯を、炭でジュージュー焼き、オリーブオイルと時によってワインビネガーをかけて食べる。これも何度も食べた。
蛸のリゾットの味は悪くないが、これもポルトガル料理かな、と思った。なんとなくパエーリャのような感じで、マドリッドで似たようなものを食べたことを記憶している。メインの鳥のポルトガル風、デザートのケーキ類も立派で、まずは合格のレストラン。

日本料理と違って、国同士の行き来が激しい西欧ではどこどこ料理といっても定義が難しいのかもしれない。ほかにポルトガル料理かどうかは分からないが印象深い料理に、リスボンのレストランで何度も食べたイカの炭焼き。小ぶりのイカを墨と一緒に焼いたもので確かチョコといっていたと思う。香ばしかったから今日の鰯のように焼いたのだろう。魚のスープ、濃厚なトマト味がうまかった。一度テージョ川を渡ったカシラスという町でカニを食べたがあれはいけなかった。塩辛いのがポルトガル料理の特色とのことだが、塩からいを通り越し、肉もパサパサだった。しかし今思い出すと懐かしい事ばかり、死ぬまでにもう一度いけたら、と思う。

ガールフレンドのAさんと、「海と森」でデイナーを楽しんだわけだか、実は二日前にランチで下見をした。パスタにスープ、サラダ、ケーキ、飲み物とつき900円。こちらも味がよく値段もリーゾナブルと感じた。ただし週3回くらいしかやっていない。皆さんも機会があったら一度如何ですか。(杉並区天沼3-3-3渋沢荻窪ビルB1F 3392-7077)

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