六本木ヒルズで「サイドウエイ」を見る。
マイルズは国語教師だが、小説家希望、いつか出版して貰えることを夢見ている中年男。ワインについてはオタクといえるほど詳しい。しかし彼は2年前の離婚のショックから立ち直れない。一方ジャックはコマーシャルなどに出演する俳優、プレイボーイだが、それも年貢の納め時、1誌週間先にクリステイーヌと結婚する予定。
二人は大学時代の親友同士、独身最後のひと時を楽しもうと、カリフォルニアのワイナリー巡りの旅に出る。自己嫌悪まみれのマイルズと何事も楽観的なジャックの対比が面白い。サンタバーバラの美しい田園風景が繰り広げられる。
うじうじしているマイルズの前に、美人のマヤが現れ興味を持った様子。しかしなかなか動かず、ジャックをいらいらさせる。離婚した妻が再婚した話なども聞かされ、おちこむばかり。一方のジャックの前には中国系の子持ちのステファニー、二人はもう早速ベッドイン。マイルズもようやくそのあえぎ声に発奮?したのかやる気になったが・・・。しかし破局が思わぬところから現れて・・・・。
映画のもう一つの見所はワイン映画の随所に出てくるピノ種やカベルネ種などに対する薀蓄。マイルズがやけになってラッパ飲みする高級ワイン、61年のシュヴァル・ブラン。88年物のサッカシア。ワインも女性のように、ちょうど飲み頃というのが会って、すぎると味が落ちるというのを初めて知った。
監督はアレクサンダー・ペイン。あのジャック・ニコルスンの「アバウトシュミット」を制作した監督だ。「サイドウエイ」つまり人生の寄り道・・・・「旅に出て己を見つめなおす。」という設定は同様である。人の楽しみと裏に流れる悲しみを現実的にコミックに描く点ではこの監督は当代一かもしれぬ。作品をみながらそうだ、そうだと共感し、「くすっ」と笑いがこぼれること確実。マイルズ役にポール・ジマッテイ、マックス役にトーマス・ヘイデン・チャーチ、マヤ役にヴァージニア・マドセン、ステファニー役に韓国出身のサンドラ・オー、しっかりと演技派が固め、素晴らしいカルテット。この映画は批評家諸氏から絶賛を受け本年度ゴールデン・グローブ賞2部門受賞などを獲得している。
私もこういう旅にはあこがれている。いつかオーストラリアかアメリカにでも行って思い切りドライブしてみたい。ただ日本ではなかなかこうは行かないのだろうなあ、と感じる。日本ではこういうドライブ自体がなかなか行く気にならぬ。高速道路は味気ないし、一般道は込む、ホテルや旅館は一人客を歓迎しない、その上値段も高い、島国ゆえ広くないからすぐに行き着いてしまう、エトセトラ、エトセトラ。
それから友達というものはいいなあ、と思う。この映画はある面では70年代に出た「スタンド・バイ・ミー」にも似ており、その大人版といえるかもしれない。友達だからこそ、女の話もでき、あけすけに悪口もいい、同時に助言もし、勇気づけてもてくれる。そういう経験によって人は生長してゆく。
映画も小説も行ってみればそれを通しての疑似体験。もしあなたが人生に寂しさや限界をかんじているなら是非お勧めしたい映画である。
ただ最後に一言苦言。この映画に絶対に苦虫を噛み潰しているグループがいると確信している。警視庁交通課。・・・・・冒頭から二人で出発を祝ってハンドル片手にワインをあける。飲酒運転はいかんよ、絶対にいかんよ!
註 ご意見をお待ちしています。
e-mail agatha@bekkoame.ne.jp
home-page http://www.bekkoame.ne.jp/~agatha