ニッポン放送の経営権をめぐって争っていたフジテレビジョンとライブドアが、和解することになった。フジテレビジョンがライブドアの保有するニッポン放送株をすべて買い取り、さらに第三者割り当て増資引き受ける形でライブドアに12.75%出資、さらに業務提携を行う方向で話し合いを進めるという。
新聞にはフジテレビジョン側の3人と堀江氏が、昨日までの喧嘩は嘘のように、にっこりとがっちり握手している写真が掲載されている。堀江氏はあいかわらずラフなジャケット姿、しかしあえて背広などでしゃちほこばらぬがよいのかも知れぬ。それによく見ると彼は案外おしゃれ、毎回着てくるジャケットやシャツが変わっており、それも高級品。
しかしこの「2ヶ月戦争」が残したものは何だったんだろう。
表面上はライブドア側が勝ったとは言いがたい。ニッポン放送の株は買値でフジテレビジョンに買い戻されることになったし、出資される400億からの金は今までの資金調達費用でかなり消えるかもしれない。しかし会社はリーマンブラザース、フジテレビジョンの出資?で大きくなり、しかも1400億の自由資金を得たのだから大成功ともいえる。ライブドアの知名度向上と言う点でも大きい。損したのは一般株主だけ、リーマンブラザースにフジテレビジョン、ずいぶん株の価値が薄まっちまったなあ!
フジテレビジョンは新聞によればライスドアへの出資440億円、増配100億円、新ファンドその他防衛策のために273億円、その他を含め900億近くの損害?という。しかし考えようによってはライブドアへの出資は2年後には、うまく行かなければ売ってもよい話しだし、もともとテレビ会社の収入に対する株主還元は悪すぎたと考えれば増配分は当然のもの、新ファンドその他防衛作分は勉強代と思えば仕方あるまい。
金のことより、私は今回の事件が社会に与えた影響を評価したい。
もっとも勉強したのは経営者だろう。株式を公開すると言うことは他人の金を集めると言うことである。オーナー経営者は株式公開した途端に資金運用責任者に代わるのである。それをあたか自分の金であるかのように振舞っている経営者が多い。それが何より証拠に利益の株主還元率が非常に低い。事業拡張のためとか、合理化のためとか、不時の備えとかいろいろ理由をつけ、内部留保を多くする。株主の立場からみればなぜこんなに利益が上がっているのにこちらにはまわらない、あるいは株式取得した金額に対しリターンが悪すぎる、ということになる。
敵対的買収が現実の者であることを強く認識させた。しかも当然のことと思うけれども保身のための買収阻止は司法から完全に否定されてしまった。もちろん会社は株主のためのみならず、社員のもの、社会のものなどという幻想も打ち砕かれてしまった。そのこと自体は社員もまた認識させられることとなった。
政府や政治家も勉強させられた。あわてて敵対的買収に対する防衛措置のメニューを準備しだした。外資のM&Aが容易になる三角合併の1年繰り延べというおまけまでつけてしまった。
もちろん、一般大衆が勉強したことも間違いない。そういった意味を考えれば、後から論で「手法は感心しない。」とか「結局はかねじゃないか。」などという意見があるが、私は堀江氏は素晴らしいことをした、と思う。こういう人がいなければ世の中は変わらない、という当初感じたことは正しいと思っている。
最後に堀江氏の繰り返す「想定の範囲内」について考えたい。みな範囲内なら範囲外は何か。私は多額の負債につぶされ、たち行かなく状態だけが想定外で後は全部想定内であったのだと思う。事前に結末など予想していたわけではない。漠然としたアイデアはあったが、IT事業と既存メデイアの統合など具体的な案があるわけではない。しかしニッポン放送の持つ資産を考えればTOBをやる価値ありと考えたに過ぎない。それが夢である「世界のメデイア王」への第一ステップと張り切ったかもしれない。今回は思ったほどボロもうけにはならなかったが、損したわけではない、むしろ巨額の資金を手にしたことはプラス、それが堀江氏の満面の笑顔に繋がったと思う。
彼およびそのグループは1400億をまた何かに使ってくる、ゲーム感覚で、今度はどこがねらわれるか?
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