358「一人で5000人分稼ぐ」(5月16日(月曜日)曇り)

2004年の所得税額が約37億円、これから推定した推定所得は100億円を超えるとか。これに地方税を相当払ったって、自由に出来るお金は約50億円一体何に使うんだろう、などは要らぬ心配か。
日経新聞によれば、その46歳のK氏は野村證券の社員だったが、1998年に投資顧問会社に入社、主に企業年金を運用するファンドの運用責任者になった。株式市場が低迷するなかで15-35%の運用実績をあげ、2003年度は102%という驚異的な高利回り、元本は6年間で6.4倍に膨らんだ計算になるとか。
K部長を初めリーマンブラザース証券社員などマーケットの世界から6人が上位100人に食い込んだ。IT関係者やベンチャーの若手経営者もどんどん上位に食い込んでいる。土地長者は過去最小だった前年よりさらに2人減ったがそれでも5人等々・・・・なんだかこんな話を書くと、まじめに働くのが馬鹿馬鹿しく、自分自身の無力感みたいなものを感じてしまう・・・。
背景にはやっぱりカネ余り現象があるんだろうなあ、と思う。儲かりすぎた企業、たらふくカネを溜め込んだ老人たち、そうした人たちが余裕の資金をどう使おうか考えるがわからぬから、投資ファンドなどが潤うのだろうか。

素晴らしいと思う反面、暗い一面があることを忘れてはならないのだろう。最近の傾向は金持ちはますます金持ちになり、貧乏人はますます貧乏人になってゆく。つまり二極分化が激しいと聞く。たとえば若者、フリーターやニートが増加してその勢いはとどまるところを知らない。こういう層は年収200万も得られれば恩の字と言うものである。K氏はこれを考えると、一人で5000人分稼いでいる勘定になる。
我々老人だって「いじめられ組」。年金生活だけで過ごそうとしたり、あるいはそれもない身にとってはまったくすごいねえ、ため息がでちゃう。そして一方で社会保険財政の窮迫、消費税などの増税、将来にひとつも明るいところがでてきていない。

ところでこうした発表は所得税法に基づく公示制度による。「第三者のチェックによって納税者が正確な申告をすることを間接的に促進する。」というのだが、個人情報保護の観点からみればおかしいように思う。日経には12位に入ったインンボイスの社長の言葉として「氏名と住所が知れ渡るのは恐い面が強い。納税地と実際の住所を変えるなどの対策が必要になってくる。個人情報保護法が施行されて、会社として対策を強化しているが、国も整合性を取ってもらいたい。」が掲載されていた。この発表が犯罪に結びつかないと誰が言えるだろうか。

また人は対比されることにより、自分の立場を認識する。うれしくなったり、みじめになったりする。
田舎で自給自足にちかい生活をしていても、それはそれで満ち足りた気分を味わえる。年金暮らしの老人も、つましいながら充実した生活を送る事が出来る。それに続く若者もそういう老人のスタイルを見本とする。
ところがこんな発表が出ると、それを眺める彼らはどう考えるだろうか。別に長者が悪いわけではないが、それと比較された貧乏人の中には、まじめをやめて投機に走る者や、中には保険金詐欺でもやってなどと考えはしまいか。そう考えると、この制度は今の社会の一番悪い面であるカネ至上主義を助長しているようにもみえる。

註 ご意見をお待ちしています。
e-mail agatha@bekkoame.ne.jp
home-page http://www.bekkoame.ne.jp/~agatha