深夜、私は東レパンパシフィックオープン準決勝を見た。
クルニコワが全身を弓のようにそらせて強烈なサービスを打つ。青いポロシャツみたいなラフな服装。ポニーテールにした金髪。アップになると形のいいブレスト。私はとたんに釘付け。ものになんとなくこだわらないような、それでいて唇が少し出っ張り強気そうな日焼けした顔、いかにも健康な乙女を思わせる。
彼女はロシアの選手で20歳、ものすごく人気があるのだそうだ。
昨期左足の疲労骨折で5ヶ月休んだが、かっては世界ランク8位までいった選手。復帰後も苦しんだらしいが、そんな様子を微塵も感じさせない俊敏な動きである。
強烈なバックハンドがダウンザラインにそって飛ぶ。しかしわずかにアウト、彼女はネットに尻をむけラケットを小さく地面にたたきつけて悔しがる。実に可愛い。お相手のセレシュはアメリカ28歳、めずらしく左打ちであるが、こちらはあまり可愛くないからどうでもよろしい。この大会はユーゴスラビアの17歳の妖精、エレナ・ドキッチが2会戦で姿を消してしまったから、最早クルニコワだけが魅力。
クルニコワの躍動する肢体に見とれて大分夜更かししてしまった。数日前のことである。試合は非情、最初のセットはサービスゲームを一つ落としただけで6−3で敗退。第二セットは取り返したものの、第3セットで力尽きた。
ガールフレンドのAさんと小平にテニスに行く。
冬、寒いのか、仕事に忙しいのか、いくつもコートがあるのに練習しているのは我々だけ。もっとも昼ごろから早稲田の学生がグループで練習に来るらしい。
彼女と練習させていただくにはいろいろ注文を聞いてやらねばならぬ。彼女に言わせると人のいないスペースにボールをうつような行為はけしからんのである。ボールは相手が打ったあたりに返すのが礼儀であり、そうしない者は人間性が疑われる!
その結果、私たちがゲームをするときはクロスのみを使ってやる。ダブルスレンジを使っていいが必ずクロスコートに入れなければならない。すると動かして勝つわけには行かぬから、サーブとスマッシュに頼ることになる。
クルニコワのような、全身を使った強烈なサーブがしたいものだ。トスはまっすぐ高くあげる。体を思い切りしならせる。えいやっとふる。びしっと爽快な音。ただクルニコワの場合はちゃんとサービスランより内側にはねるのだけれど、私の場合はネットに引っかかったり、衛星みたいにとんでもなく飛んでしまったり。
クルニコワのような、強烈なバックハンドが打ちたいものだ。えいやっと踏み込んでボールを打とうとする。しかしどうもバンドがあわないんだよなあ。おっとっととやっと返す。するとつんのめるようにして出したAさんのラケットにあたったボールが、ふらふらと私の頭の上を越え、ベースラインより内側にぽとりと落ちた。このーっ!
Aさんとのゲームの結果?まあ、いいでしょう。紳士のつらいところは淑女に花を持たせなければいけないことなのです。
上手な人間のプレーを何度も見ることは必ず参考になると信じている。クルニコワのプレーをもう一度見たいものだ。あの躍動する肢体、ブレスト・・・・。
(2月17日)
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