375「輝ける青春」(7月14日(木)曇り)

上映時間6時間、入場料もシニアパスを使っていつも1000円の我々には驚きの3500円。恐れをなしたがよい映画であった。

1966年.ローマ近郊に住むカラーテイ家。
一家は小さな事業を営む父を中心に、母で教師のアンドリアーナ、大学医学部に在籍する長男ニコラ、1歳違いで文学部に在籍する次男のマッテオ、姉で、後に検事として登場するジョヴァンナ、次女でマッテオの妹フランチェスカの6人である。
ある日、兄弟は、精神病院で不当な扱いを受けている少女ジョルジアと出会う。兄の大学の卒業も決まり、兄弟は仲間と共に旅に出ようとしていた矢先だったが、それより先に何とかジョルジアを救い出そうと彼女の実家を訪れる。しかし責任回避を続ける親の前に挫折し、そのことを悩み続ける二人。この事が彼らの人生の分岐点となってしまう。やがてニコラは精神科医の道を歩み、マッテオは警官となる。
以後、兄弟姉妹がそれぞれに時代に翻弄され、父、母がなくなり、紆余曲折をへてニコラが弟の恋人だったミレッラと結ばれる2003年春までの大河ドラマである。一家に起こった出来事を中心に丁寧に描かれるが、テンポの速さ、話題のスピーデイな切り替えなど作り方はきわめて現代的。

この映画は、特に私のように60年代後半から70年代にかけて学生時代を終えて社会を巣立った人にお勧め。同世代の人間が描かれ、共感できるから・・・・。激しい学生運動は「安保闘争」を、「赤い旅団」など過激派の活動は日本赤軍などを思い起こさせる。
特に私のようにイタリアを旅行したことのある人、もう一度行きたいと思っている人にお勧め。ローマ、フィレンツエ、パレルモ、トリノ、次々と美しいイタリアの観光地の実際みたいなものが楽しめる。特にフィレンツエの洪水シーンが驚きだった。私が順番待ちで列をなしたウフィッツイ美術館前のとおりが土砂の洪水、すぐ先のアルノ川はあふれんばかりで荒れ狂っている。過激派のニコラの妻ジュリアが銀行幹部暗殺をたくらみながら、娘や家族のことを考え悩むローマのコロッセウム内部の光景。またストロンボリ火山の爆発を挿入しながら、描かれるパレルモの市街や田舎の風景は旅情を誘った。
特に私のようにイタリア語をかじっている人にはお勧めである。イタリア映画だから6時間イタリア語のシャワーに浴びるようなもの。

監督マルコ・トウリオ・ジョルダーナ、1950年生まれで「ペッピーノの百歩」という映画で有名になったらしいが初耳の監督。しかし変化に飛んだ物語展開で6時間をあきさせない点、見ているものに感動を与え、考えさせ、それでいて見終えてほのぼのとしたものを感じさせる点、いづれも見事と思う。
ニコラ役にルイジ・ロカージョ、マッテオ役にアレッシオ・ポーニ、いづれもイタリアでは有名ということだが私は知らない。同行したガールフレンドのAさんによれば「私よりずっといい男」・・・・・その通りなのでしょう。
そのほかにお母さん役のアドリーナ・アステイ、ジョツジア役のジャスミン・トリンカなどの脇役もなかなかよい演技。

最後に、見終えてそう言えばということで、イタリア人の社会観のようなものが随所に背景として現れているように思った。
家を結構大事にする点、高校生以上になると日本にくらべてずいぶん成長していると思われる点、男と女のつき合いにおいて結婚に余りこだわっていない様子、女性が強く、男と女の関係でずいぶん積極的な点等々である。

註 ご意見をお待ちしています。
e-mail agatha@bekkoame.ne.jp
home-page http://www.bekkoame.ne.jp/~agatha